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異世界転生して人外娘と恋がしたい!  作者: こま
第一章 ゴブリンキング
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一ヶ月ぶりの和食

サザラテラを出発してから7日目の昼。


あれから特にモンスターに襲われるということもなく、ヒロたちは無事に港町ジャポンに到着した。


ジャポンはハリーが言った通り、アジア系の外見を持つ人々が多かった。


武器屋などは刀だけではなく、中国系の武器や防具も置いていたので完全な日本というよりは、東洋がここに集まった町という感じだ。


そしてこの街には最高に望んでいたものがあった。


『――いただきます!!』


声を合わせてそう言うと、ヒロとセラは食事を始める。


「――あぁ…久しぶり…愛してるよ…」


ヒロが涙を流して食べているのは、焼き魚に味噌汁、茶わん一杯のごはんに沢庵が少し。


焼き魚定食と言えそうなこの食事は一食50カパーもする。


まだ米の値段が高く、庶民にはなかなか手が出せないようだ。


二人で1シルバーもしたが、ヒロは迷わず注文した。


この世界に転生して1カ月以上経つが、サザラテラでの主食はジャガイモかパンばかりで、酒場や食事処でも米にありつけることはなかった。


ごはん党のヒロにとってはかなりきつい。


それだけではなく、魚は塩漬けにされたものだけで、美味くもなんともない。


しかし今、目の前にあるのは焼き魚にほくほくのごはん。


沢庵、味噌汁もついている。


5食分の金を払ってしまっても悔いはなかった。


「美味しいよぉ、美味しいよぉ、セラもそう思うだろ?」


「え…私は…」


「え?」


「オーロラソースにあうものの方がいいかな…」


「せらあああああああああああああああああああああ」


ヒロたちが音楽グループであったなら音楽の方向性の違いということで解散していただろう。


それぐらいの衝撃があった。


確かに生まれてから今まで和食を食べたことがなかったのだから仕方がない。


とりあえずセラはパン党でヒロはごはん党という、悲しいかな異文化の溝ができてしまった。


しかし、よくよく見て見ると箸を使えないセラはフォークで食べているのだが、魚が食べにくくて仕方ないのだろう。


器用に箸を使い綺麗に食べるヒロを見て気にしているのかもしれない。


「それで、今日はこの後どうするの?」


「ん~、とりあえずはカシミール商会、魔術ギルド、武器防具屋の順に回った後に保存のききそうなものでサザラテラに持ち帰るものを探そう」


「カシミール商会からなの?」


「まずはお金がいるからね」


「お金なら20シルバーもあるけど」


ヒロとセラはそれぞれ20シルバーずつ持ってサザラテラを出発した。


20シルバーも結構な大金なのだが、装備を買ったりするならば話は別だ。


しかし、大金を持ち歩くには外の世界は物騒なので、サザラテラのカシミール商会に一時的にお金を預け、ジャポンのカシミール商会で受け取れるようにしてもらったのだ。


この世界に電話などはないので、預けたときに行き先を伝え伝書を飛ばしてもらう。


なので伝書代に1シルバーの手数料を取られるのだが、大金を持ってびくびくするよりはいいだろう。


というか、この話をお願いしたときに、アルノのニコニコした顔はこれはいい金儲けになるかもといった雰囲気を出していたので、これから別の冒険者も利用できるようになるかもしれない。


とりあえずは金を受け取る。


セラに魔法を覚えてもらって、残りの時間は買い物だ。


馬車一台分は運んでもらえそうなので、食事の充実化できるものをまとめ買いして帰りたい。


食後に出てきた緑茶に感動しつつ、ヒロたちは食事処を後にした。



――――――



「疲れたぁ…」


ベットに横になると「ふーーっ」と大きく息を吐く。


ジャポンに来てから3日目の夜。


滞在予定の7日間宿泊する宿はアルノが用意してくれた。


初日はお金を受け取った後、魔術ギルドでスキルを覚えるのに大分時間がかかり買い物ができなかった。


というか、二日間はスキルを覚えることに専念した。


スキルはゲームと違って、お金を払えばすぐに使えるわけではないので仕方がない。


スキルにもよるが、お金を払い、理屈や仕組みなどの一通り受けた後に最低限出来るまで練習する。


その後は個人で練習あるのみ。


中級魔法だったり、体術などのスキルだったりすると1週間~1ヶ月みっちり練習させる場合もあるようだ。


セラはファイアボールがしっかり使えるようになって以来、自信が付いたのか、コツをつかんだのか魔法の習得速度が速い。


その関係で二人で可能な限りの魔法を覚えたのだが、セラの方が倍近く習得した。


3日目の今日はやっと市場やお店を回ってきたのだが、大発見の連続だった。


先ずは新たな調味料が手に入った。


醤油、味醂、味噌、豆板醤、コチュジャンだ。


とくに醤油と味醂を見つけたときは感動した。


日本酒も売っていたので、和食に関しては自分の知っているレシピであれば大概は作れるだろう。


あとはウスターソースやオイスターソースが欲しいが恐らく入手は不可能だ。


というか、この世界にはまだ存在していないと思われる。


大きな壺で醤油7、味醂5、味噌3、豆板醤とコチュジャンを1。


日本酒は二樽。ごま油も手に入ったので1壺。


あとは鰹節と茶葉を大量に購入した。


装備品の方は軽くて必要な最低限の部分にだけ金属の付いた籠手と小刀を何本か。


サザラテラで買った小刀はジャポンの武器を真似して作られたもので、ジャポンで購入した小刀はまるで刀身が少し湿り気を帯びたようで、本物の違いを思い知らされた。


何本か買ったのには理由があって、そこには剣と刀の違いによるものがある。


剣は切る為のものというよりは叩き切る。ようは叩くものなのだ。


もともと剣を使って戦っていた時代には甲冑を着て戦っていたので、切るという能力はあまり役に立たない。


そこで甲冑を叩いて気絶させる。それが剣の使い方だ。


それに対して刀は切る専用で、叩くという行為にはあまり向かない。


そして厄介なのが刀は剣と違って刃こぼれで性能が著しく低下する。


生き物の骨や鎧なんか切りつけた日には、一気に性能が落ちてしまうだろう。


それもあって、砥石が使えない時ように2本は携帯することにしたのだ。


コスパを考えれば剣の方がよさそうだが、もっと筋肉をつけないと重くて使えそうにもない。


「ねぇ見て見て!」


セラが今日買った服と杖を装備してくるっと回って見せた。


魔法の行使には杖は必ずしも必要ないので登山の時に便利だなくらいにしか思っていなかったが、どうやらそうではないらしい。


杖には宝石のようなものが埋め込まれていて、その宝石によって魔法に何らかの影響があるらしい。


魔力消費を抑えるものや詠唱を短縮できるものもあるらしいのだが、そういったものは桁が変わるほど高く、一般的には特定の属性の魔法を強化するものにするらしい。


よくゲームで見る火属性+15%みたいなものみたいだ。


セラは魔力消費が上がるが、魔法効果も上がるものを購入した。


安物だったが、普通の冒険者の魔力量を考えれば、魔法の使用回数が明らかに減ってしまうのでそれもそうだろう。


しかし、セラの魔力量を考えれば賢い買い物ともいえる。


「可愛いけどさ…可愛いけど、なんでベレー帽?」


「だって可愛いんだもん」


魔法使いの帽子と言えばとんがり帽子を想像するが、なぜかセラが買ったのはベレー帽だった。


いや、とんがり帽子にどんな効果があるか分からないけど、ベレー帽じゃ見た感じ普通の女の子だ。


普通の女の子なんだけどさ。なんていうかこう…。


冒険者っぽくないんだよな。


そんな事言えるわけもなく、嬉しそうなセラにニコニコしていることにした。

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