第3話
「はあああぁぁぁ......」
クソデカため息をひとつ。
今は学校が終わり、部活に向かっている。
案の定、パツキンはずっと寝ているか窓の外を見ていた。学校に来ないので席が1番前の隅だったから、良く見えたなあ。
私は真ん中の列の前から3番目。びっくりするくらい平凡な位置。
偶に目に入る姿をちらっと見ると、パツキンが整った顔立ちをしていることに気づいた。前あった時は一瞬顔を見たあと全力で顔を背けていたので気づかなかったことだ。
あれでヤクザみたいなオールバックじゃなかったらさぞモテただろうに。いや、それが好きな人もいるか。
そう思いながらいつも練習している教室のドアを開けた。
「「「ありがとうございました!!」」」
個人練が終わったあとは全体で合奏をする。
練習が終わる時は、顧問の先生に必ず全員で挨拶をして、交代制で音楽室の鍵を直しに行く。
それがいつものルーティーンだ。
今日は偶然私が鍵当番だったので、いつも一緒に帰っている純夏と茉子に先に帰っておいて、と告げる。
一緒に帰る人がいないと帰り道暇なんだよなあ。音楽でも聞くか。
最近は◯ISIAやSuper〇lyなどの実力派歌手にハマっている。壮大な気分になるから大好きだ。
「失礼します。吹奏楽部の嶺です。鍵を返しに来ました」
「はーい、お疲れ様」
担任の先生が笑顔で手を振ってくれる。優しいから大好きだ。
でも夜の7時半まで仕事をしているのは体が心配になる。健康に過ごして欲しいところだ。
「ありがとうございます。失礼します」
慎重に職員室の扉を閉めて、靴箱に向かう。
「...?!?!?!」
クラスの靴箱の前に誰かがしゃがみこんでいる。
でかい図体と頭の金髪のお陰ですぐ気づけた。
なんでここにパツキンがいるんだ。
学校は4時に終わるはず(うちの学校は学校指定の部活だけ少し早めに終わるから、私は3時半に終わる)だから、かれこれ3時間半は待っていることになる。
本当になんで...。天を仰ぎたくなる気持ちだ。
「あ」
気づかれてしまった。まずい。こっちに向かってくる。
「わ...み...お前」
苗字迷ったのかな。本当ごめんなさい私が適当にワタナベとか言っちゃったから迷ってるんだ泣
焦りすぎているせいで苗字がどうとか変なことを考えてしまう。絶対今関係ない
「は、はひ」
どうしよう。パツキンが目の前まで来てしまった。




