表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
その野球小僧、前世知識で鍛錬中につき  作者: いのりん


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

29/33

16.5 エースの条件

 八幡野球部の監督である竹中は、スポーツの本質はあくまでも楽しむことだと考えている。そして、遊びは真剣にやるからこそ面白い。


 社会人野球まで経験した、いわゆる野球ガチ勢である竹中。その人生経験から、結果はともかく過程では『本気で勝利を目指して努力する』事でしか得られぬものがある事をよく理解していた。


 なので、生徒が貴重な高校時代のうち多くの時間を割く野球部の監督を勤める以上、第一目標は常に勝利、そして優勝である。


 二位じゃダメなんですかって?

 ダメなのだ。


 というか、最初から二位でもいいじゃん立派だよ、なんて考えているようだと、だいたい一回も勝てずに何も得ることなく終わる。二位というのは優勝を目指して死ぬ気で頑張った末、ギリギリ届かなかった者だけが得られる称号である。


 もちろん、人間形成や精神修養、チームワークも大切だ。しかしそれはあくまで副次的なもので、もしそれらをメインにしたいならボランティアとか座禅とかボーイスカウト活動とかすればいいじゃないかというのが竹中の持論であった。




 しかし、悲しいかな田舎の公立校。強豪校と対戦が決まったと伝えた今、所謂『名前負け』している選手が多く見られていた。このままで勝ちを目指して戦うことが難しく、そこには春の大会でメンタル面に脆さが露呈した三年生投手の姿もある。


 もどかしい。元の実力はけっこうある選手なのだがこの様子だと桝山商業相手に高いパフォーマンスは期待出来まい。


 こういう場面でメンタルを立て直せるかが分水嶺で、後にプロの世界に羽ばたいていったエース達はこんな場面にこそチームに勇気を与える存在だったのだが……


 チームを鼓舞しつつ、誰か萎縮していない選手もいないか観察していくと……いた。

 湊鴎賀だ。いや、湊だけではない。大樹匠とその他の一年生数名も『名前負け』する事なく闘志溢れた顔をしていた。


「さて……選手から何か一言いいたい奴はいるか?」

「僕から一言よろしいでしょうか」


 話を振ってみると、やはり食いついてきた。


「まず、初戦で桝山ますやま商業と当たれたのは僕たちにとって結構なプラスだと思います。向こうは春の大会で勝ち上がった分豊富なデータがある一方、こちらの()()()()()()は少ないはず……つまり事前対策にかなりのアドバンテージがあります。」

「あー、確かにそうっすね。社会人野球経験者での竹中監督なら、相手に合わせたナイスな攻略法を考えてくれるはずっす。」


 調子の良い事を言う奴等だと苦笑が漏れるが、萎縮されるよりよっぽどいい。そして湊の言う通り、桝山ますやま商業がこちらの()()()()()()を持っていないのは確かだ。ならば一回戦で当たったのは僥倖と考えても良いだろう。


 キャプテンの大事な役割がトーナメントグジを引く事なら、監督の大事な役割は試合に出場するレギュラーとベンチ入りメンバーを決めることである。


 この日竹中は、周囲を鼓舞する一年生をチームの中心に据えて夏を戦う覚悟を決めた。

次回、4月11日投稿予定です。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
決勝戦にいくまで何試合位こなす予定なんだろう。私は神奈川県民なので予選の試合数は多い県だと思うけど、オーガ君の地元はどんな感じなんだろう。初戦、オーガ君で準決勝まで二、三年生メインで行けば手の内をかな…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ