14.男の友情と筋肉
昼飯にしようときたらギャルっぽい三人組に話かけられた。なんでも今の俺は、商業科として初めて代表挨拶をしたり紅白戦で活躍した関係で『なんか凄い新入生がいる』と噂になっていたらしい。
いつの間にそんな事に……
で、そんな新入生がベンチで一人飯をしていたのが気になったんだと。そういえば、スカーフの色をみたら二年生だわこの人達。あと制服着崩してるからたぶん商業科だな、普通科って真面目でカチッとした着こなしの子が多いし。
「お気遣いありがとうございます。でも、ハブられてるとかじゃないんで大丈夫ですよ。」
中学時代からこんな感じだったしな。というか、前世の社会人時代もこんな感じだった。でも、人間関係に何の問題も起きなかったしたぶん高校でも大丈夫だろう。
男って基本、『人は人で俺は俺』って奴が多いしな。野球や学校行事で同じ目的地に向け頑張る時間があれば、それ以外はそんなにつるまずとも、それなりの友情が成立すると思っている。
「えー、じゃあ一人で何してたん?」
「トレーニングですね、で今から栄養補給する所です。」
だから早くお引き取り頂けますと幸いです。
「そのドリンク何?」
「プロテインです」
「ヤバ、なにそれウケるー。それって筋肉つくやつだよね、なんでそれで筋肉つくの?てゆーかさ、せっかくだからメアド交換しよーよ」
リーダー格の人、めっちゃグイグイくるな……
あー……これはたぶんアレだ、ミーハー心半分と、ワンチャンでラブが始まんないかなーって期待してしている感じだろう。俺はなろう小説に出てくるような鈍感系主人公じゃないからな、その辺の機微もそれなりにあるんだ。
自慢になってしまうが、今世の俺は中学頃から結構モテるようになった。まあ、現時点では前世の貯金で成績もいいし軟式野球で全国優勝しているから目立つんだろうな。
しかし、中高校生とか正直恋愛対象外である。
だってエロゲーのヒロインと違い現実世界の中高生は、前世の娘とほぼ同い年なんだもの。流石にキツイし、少なくとも今は野球に集中したい。
勿論、一人の男として今世でもそのうちスケベはしたいが、それは十八歳になってからお金を払い、プロのうっふんお姉様にお願いすればいいやってのが今の考えだ。
てな訳で、あちらに恥をかかさない様に『コイツは恋愛対象外だな』と思って頂こう。くらえ、漫画とかだと読み飛ばし推奨の早口オタクトーク!
「プロテインは『血中アミノ酸濃度を高く保つ』為に摂取するものなんです。血中のアミノ酸濃度が高いと筋合成が促進され、低いと筋肉の分解が進むと言われています。で、そのプロテインには牛乳を原料とし吸収の早い『ホエイタイプ』と、大豆を原料とし吸収の遅い『ソイタイプ』があるんですが、身体をデカくしたいアスリートやトレーニーが買うのは、大体ホエイタイプ。これは飲んだ後1〜2時間で「血中アミノ酸濃度」がピークになると言われています。ちなみにソイタイプはヴィーガンやダイエット目的の人向けです。僕の手元にあるのもホエイタイプのプロテイン。血中アミノ酸濃度が高い状態をキープしたいから、エネルギーの枯渇する運動直後に消化吸収の早いプロテインを摂取するのは理にかなっているというわけです。と言う訳で、いまから早速摂取しようと思っています」
「え、ああ……うん」
「あと、携帯は持ってません。今はメールとかする時間があったらトレーニングと睡眠に当てたいので」
「そ、そうなんだ……」
よしよし、リーダー格の人がドン引きしているのがわかる。すまんね、他にもっといい男が沢山いるだろうから、アオハルはそっちとしておくれ。
「す、凄いねぇキミ!」
と油断していたら、なぜが隣の子に話かけられたんだが。
「それにめちゃくちゃ賢いじゃん!」
「ど、どうも?」
「ねえ、野球部ってなんかみんなめちゃくちゃ頑張ってるけど、野球ってそんなに楽しいの?」
なんか、若干目もキラキラしてるし……今の話に感心する要素、あった?
「ダリア、これ以上邪魔しちゃ悪いって。」
「そうそう、もう行こうよ」
「あー、ごめんね鴎賀くん。あたし、そんなストイックに頑張った事って今までなかったからさ。ちょっと気になっちゃった」
よくわからんが、何かがダリアという髪が長くて胸がデカいパイセンの琴線に触れたらしい。
ならまあ、せっかくなので、別れ際に一言だけ。
「いえいえお気になさらす。で、さっきの質問への回答ですが、野球部はキツイけど、楽しいですよ。特に高校野球は皆んなで甲子園を目指すお祭りみたいなもんです。野球部は女子マネージャーも募集していますので、興味があれば是非」




