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その野球小僧、前世知識で鍛錬中につき  作者: いのりん


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エピローグ

「今日は絶好の野球日和だなぁ」


 現在、俺がいるのは青春時代から何度もお世話になっている阪神甲子園球場だ。


 とはいえ、現在行われているのはプロ野球の試合ではない。俺がその舞台を卒業してから、もう5年がたった。


 まあ、大きく衰えた感じはなかったし頑張ればあと2〜3年はできたかもしれないが、プロ野球のレベルは年々上がっているからな。防御率3点台、年間10勝がやっとになったロートルがいつまでも居座り若手のチャンスを奪うのもよくないだろう。


 何せ俺ってば去年還暦を迎えて妻や子供達から赤いウインドブレーカーを贈られた身だからね。会社員でも55歳で役職定年や早期退職する人は多いときくし、いい頃合いと思ったのだ。これから先は大切な家族と過ごす時間も増やしていきたい。


 プロ野球選手として頑張ってきた自負はある。

 今の知見が当時にあればもっと出来る事もあっただろうが、やり直したいとは思わない。当時できるベストは尽くしたし、やりたい事も全てやり切った。満足だ。


 ちなみに妻となってくれたのは……あえて誰かは明言しないでクイズ形式にしておこうか。


 高校時代から付き合いのあるダリア先輩、小梅ちゃん、冬雪先生、夏日、あるいはその全員と結婚したとだけ言っておこう。

 予想してみて欲しい。きっと、全パターン想像した中で一番心がときめいた選択肢が正解だと思う。




 と、少々話が逸れたな。


 プロを引退した俺が甲子園球場にいるのは、八幡高校のOBとして『マスターズ甲子園』の本大会に出場中だからである。


 マスターズ甲子園とは、全国の元高校野球部員が出身校ごとにチームを結成し、再び阪神甲子園球場を目指してプレーする全国規模の野球大会だ。

 規約によりプロの間は出場できなかったが、今なら大手を振って参加する事できる。


 そんな俺達『八幡高校』だが、3回終了時点で5ー1とリードされていた。


「すみません、やられちゃいました!」

「先輩方、後はよろしく頼みます!」


 イニングを終えてベンチに戻ってきた10〜30歳代の若手選手達から、そう声をかけられる。


「よっしゃ、まかせとけ!」

「元プロの実力を見せてやるぜ!」

「二人とも、元気っすねぇ」

「怪我だけはしないようにね」


 サムズアップを返して、同期達とグラウンドへ飛び出す。


 マスターズ甲子園には多くの選手が活躍できるように、いくつかの特別ルールが定められている。


 その最たるものは『3回までは34歳以下の選手でプレーし、4回以降は35歳以上の選手に交代』ってやつだ。


 つまりこの試合、ここから先が計算不可能な混沌の始まりであり本番だ。人生と同じだな、学びと鍛錬を続けてる奴なら序盤でリードされてても終盤でいくらでもひっくり返せる的な意味で。


 てゆーか、60歳ってまだ人生中盤くらいだな、うん。だって俺ちゃんってば、130歳くらいまでは生きるつもりだもん。昔からずっと健康には気をつけてるし、医療もどんどん発達してるんだからいけるいける。


 ちなみに、この試合は9イニングもしくは90分区切り。だから円滑に進行するために攻守交代は当然、高校球児がごとく溌剌とした駆け足だ。


 今日の俺達は高校45年生!

 プロを引退しても、男は一生野球小僧よ!


 天高く上りゆく太陽を見ながら、マウンドへ向かう。既に120点の人生だが、お楽しみははまだまだこれからだ。

最後に、蛇足のお話が2話だけあります。

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― 新着の感想 ―
下手っぴ、実に恋愛展開が下手っぴだなぁ~いのりん君。 マルチルートエンドは、各ヒロインとのあれやこれやが積み重なってどの子と結びつくか分からない…っ!!って読者がワクドキしてるところにぶち込むものだよ…
一番心がときめいた選択肢は選ばれなかった二人に刺されるルートなのだか
巻きが凄い。早送りモード。まあメジャー編を真面目にやったら終わらない(笑)
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