ニシノ3
ワシらのSIT は Scientific Institute of Transcendence 超科学研究所の略称。
陰謀論的な名前や。
総人員は2,535人。職員は1,100人おる。
各部門ごと、総合管理250名、生物研究部450名、人工知能300名、軍事・警察部門100名に分かれとる。
全ての制御はコマチが完璧にやってくれとる。
コマチが全てのタスクを行い、人がコマチと雑談しながら作業を完成させて行く、そう言う業務形態。
一部の我の強い人びとを除いて...。汗
この部屋は「統合監視・管制•司令室」と言う名前や。
人員は13名。
地上30mの高さにある。
4.2km²の敷地内も、55mの防護壁の外も、コマチがカメラやモニターで監視し把握てくれとる。
カナイヒャクや、ブクロセンからの映像も、全て。
磁気嵐が激しい日は、ファザスフォーメーションシールドが、この巨大施設を覆う。
地下に設置されとる、強大アルマダイ高圧炉にとっては、コマチやシールドの莫大なエネルギーを賄うことなど、朝飯前や。w
アルマダイ高圧炉もまた、コマチに完璧に制御されとる。
窓から差し込む日差しも強なってきた。
朝のタルカントの風はまだ静か。
オレンジ色の砂の世界が鮮やかさを増して行く。
一昨日の豪雨で、防護壁の外には、サンドパープル、デザートブルーベルなど、青、ピンク、色とりどりの花が一面に咲いとる。
この部屋は、30m × 30m(900㎡) の六角形のハニカム構造になっとる。
仕切りは会議ブースの場所だけ。
最初は外部の攻撃を想定して、広く設計された。
ようけ機材や軍事のプロがここに集まる予定やった。
が、びっくりするほど脅威が少なく、ガラガラになってもうた。
六角形の傾斜した壁面には全部光学モニターが配置されとる。
今はただ、タルカントの風景映像を流すだけ。
モニターの下には広い窓、施設内が見渡せる。
その前にはコントロールパネルとコックピット。
全く使われとらん。
椅子には、届いたお中元が積まれとる。汗
その下には、書類が入った灰色の事務用ロッカー。
壁や道路の補修、エアコンの修理、水漏れ、手作業やからコマチを通すより手書きがええらしい...。汗
メゾネット方式で、2階は、休憩室、給湯室、個室、仮眠室もある。ほんまに昭和、レトロ。靴を脱ぐ畳スペースも多い。
家具やデスクは、くみ子のセンスが反映されとるので、全部昭和...。
前は機材がギュウギュウに詰まっとったが...。
床は普通のタイル。
また松田くんがモップを出しっぱなしや。汗
広いのに、みんなのテーブルはここ1箇所に集まっとる。
「ばらけろ」、「広がれ」、「散れ」と言うてるのに、みんなのデスクは、ワシのデスクの近くに集結しとる。
広く使ったらええのに、ワシの指示が聞こえんとか、寒いとか、何とか言うて来て。
指示しても聞かんやないの。あんたらは...汗。
真面目なキョイだけは頑張って部屋の端っこにおったが、その反動でか今や一番ワシの近くに座っとる。
この真面目さをみんなも見習えと言った翌日だったのでワシの面目は丸潰れや。
大きなソファーが4箇所に配置されとる。
くみ子が今東側のモニターの下で、気ぃ失のうとる。w
この恐ろしい兵曹の映像の下で...。
あかん!。起きたらまた気絶する..。
これ消しとこ...w。
...ぽちっ...
...ブウウウゥゥゥゥーーーーン...
中央に全員で打ち合わせができる円形の大きなスペース。
接客ブースが4つ、応接セットが1つ。物置になっとる。
良く手入れされた観葉植物もぎょうさん植っとる。
なぜか連絡はホワイトボード。
いつの時代や...。汗
何千年前の人類や...。
ん?。重要?。何が重要や...?。
【重要】冷蔵庫のプリンを勝手に食べた人は名乗り出ること。
お客様用です!。私は怒ってます!!。武部くみ子。
私じゃありません 彩子
私も食べてません 千恵
そもそも私はプリンを食べません 長谷川
ニシノさんとマツダさんが食べてました キョイ
あぁ?.......。汗
あ...6時45分や。
そろそろ、みんなが出勤してくるころや。
居住区から、みんなは自転車か、歩いてくるか、だが、タナカくんだけは車でくる。
この至近距離を。
営業部(統合監視・管制•司令室付)のタナカくん。
タナカくんはペットの亀をとても愛している。
マツダはまだ、ぼーっとしとる。
さっきのことは口止めしておこう...。
朝礼に差し支える。
「おはようございますーー。」
「おはよう。」
袋小路彩子や。
広報部(統合監視・管制•司令室付)。
アヤコさんは、とにかくおしゃべり。ずっとしゃべっとる。
「あれ?..。くみ子さん?。あれ?。くみ子さんどうしちゃったの?。汗」
アヤコはくみ子の元に走り寄る。
「おはようございます!。」
統合総務 受付の三浦亜紀。
明るく親しみやすい施設の顔。
綾子のおしゃべり仲間や。
「おはようございまーす。」
「ういーす。」
「おはようございます。」
「おはようっす!。」
「おはようございます。」
ハジブ・ラーマンは、統合購買部長(統合監視・管制•司令室付)。
みんな入ってきた。
くみ子が、みんなに起こされとる。
やっとのことで立ち上がる。
相当ショックだったらしい...。
「アレ?マツダサンドウサレマシタカ?。」
テオ・マルロー。
この男は、マツダくんより2つ年上の52歳。
統合 軍事・警察部門 副部門長(統合監視・管制•司令室付)。
親しみやすいが、この施設の、警察や軍隊部門のナンバー2や。
「そろそろ始めますよー!。くみ子さん大丈夫ですかー?。松田さん大丈夫ですかー?。」
「今日はジュリーちゃんの当番?。」
ジュリー・カーターは、統合経理(統合監視・管制•司令室付)
子供や若手職員の相談役。くみ子と気が合う。
「ハルトマンさんが、人知の会議で遅れるそうなんで、私が。」
エリック・ハルトマンは、人工知能開発部門 副部門長(統合監視・管制•司令室付)。
32歳で、ハセガワより若い。
「くみ子。調子悪かったら、上で休んどってもええぞ?。仕事都合つくんやったら、休み?。牧田さんにでも頼んで。松田君も。」
くみ子は給食部門長や。世話焼き。おせっかいおばさん。ここのボスや。
「大丈夫です!。怒」
な...何を怒っとるんや...。汗
「私も大丈夫です。」
「では、各部門ごと連絡事項お願いします。」
「あれ?。所長なんか、お話あるんじゃないですか?。」
くみ子が言う。
「朝礼の最後にするわ。」
「そうですか...。ごめんねジュリーちゃん。進めて。」
「くみ子さんからお願いしてもいいですか?。」
「あそっか。今日は金曜日か。私からだった。そうだそうだ。ええと...。昨日、育成部のお昼ご飯、子供達の喧嘩で、全部こぼれちゃったので、冷食?ヤマケイさんの冷食のストックから54人分出しました。丁度発注ライン切ったので、購買さんの方に発注出しときました。あとでコマチから連絡行くと思います。他は問題ありません。後、スーパーの方で、お野菜の種類を増やして欲しいというお声があるので、
ハジブさん、あとでお時間頂いていいかしら。」
..全部って凄いな...
...まあ..いいじゃないの...
「はい。大丈夫です。」
「ああ良かったわ...以上です。」
「はい。ありがとうございます。では次は...。」
「はい!。私。営業部タナカです。先週は、第7営業課の村井君が、エイジンネットワーク社 テスラバスナ支社様と、コマチとの連携の長期契約を締結、第2営業課の山口さんがジュールホールディング様からバグー北西部の地質調査でのコマチの使用のご依頼いただきましたぁ!。」
「テスラバスナは北アトラやね?。」
「そうです。そして、ついに、ついに、ワタクシ 田中は...オラトリア連邦政府から軍事連携の長期案件、獲得しましたー!。」
「やったな!田中。」
...おぉ!...
...凄い!...
...凄いやないの...
「そして、何と...?。営業部門全体の、今期予算の達成率は.....今の時点で105%になりました!。はい。拍手ーーーーーっ!。」
...おぉーーー...
...うぉおお...
...パチパチパチパチパチパチパチパチパチパチ...
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「ありがとうございます!。」
「カメちゃん元気?。」
「はい。今日も出勤前の1時間私の膝の上2人だけの時間を過ごして来ました。」
...wwwwwww...
「以上です!。」
「次は...ええっと...マルロー副部門長さんお願いします。」
「ジュリーさん?。テオで良いデスヨ。エエっと、昨日ハ、来客用居住区ノ方デ、不審生物ガイルトノコトデ、久シブリニ、レティナー・ダイ・アルタイルを出動サセマシタ、オ客様ガ連レテ来ラレタ、ペットノワンチャンデシタ。ソシテ、育成生徒寮デ大キナ喧嘩アッタノデ、レティナー・ダイ・アルタイルヲ、ソノママ向ワセマシタ。笑。喧嘩シテイタ生徒、スグ大人シクナッタ。スグ寝マシタ。w。以上デス。」
「はい...。ありがとうございます...。汗。」
「まぁ、それで少しは大人しくなるやろ。w」
「では、松田さん。」
「一般居住区の東D棟で、全館エアコンの入れ替えがあります。各部屋の個別機は問題ありません。東D棟には館内放送と張り紙でお知らせします。ほんで、来週の月曜日は朝10:00から防災訓練がありますので、皆さんよろしくお願いします。テオさんとこと合同でやりますよって、テオさんよろしくお願いします。」
「了解デス。」
「今回は全施設同時にやるんですよね?。」
「そうです。総合管理部門、生物研究部門、人工知能開発部門、商業部門、居住区、みな一緒にやります。ご家族も一緒に...せやから総勢2,535人になるんやろか...。汗。」
「育成生徒も出るのかしら?。見られるのが嫌という子もいるけど...。居住区のお子さんたちには怖がる子もまだいるし。」
「大分慣れて来ていると言うことやし、実際の避難はもっと大変だと思うので、ニシノさんと相談して、今回も育成生徒も参加にしました。」
「育成生徒がごちゃごちゃ言うなら、また、レティナー・アルタイル置いといたらええがな。ガハハハ。笑」
「レティナー・アルタイルは容赦ないからね。笑」
...wwwwwww...
「では、綾子さんお願いします。」
「広報部の袋小路 彩子です。今日の夜11:00から CATVでウチの施設が放送されます。先々月みなさんに協力していただいた件です。」
「やっと?。笑」
「そうです、くみ子さん。やっとです...。w」
...パチパチパチパチパチパチパチパチパチパチ...
...パチパチパチパチパチパチパチパチパチパチ...
「最初は15分だったんですけど、25分に時間枠を拡大していただきました。」
「90分の特集で25分って凄いですね。」
「そうなんですよ!。それもこれもみなさんのおかげ。後で館内放送と、施設内のデジタルサイネージで告知されます。」
「綾子さん、本格テレビデビューですか?。笑」
「いえいえ。テレビデビューだなんてそんなそんな...。テレビデビューは千恵ちゃんにお任せするわ。」
「私はただのアイドルオタクですから。」
「そしたら、次、千恵ちゃん何かある?。」
「ここの所、風邪が流行ってますので、みなさん、睡眠をよく取って、うがい、手洗い徹底しましょう。」
...はーい...
...ハーイ!...
...了解...
「亜紀ちゃん?。」
「受付のお花、新しくなりました。すごく綺麗なので見に来てください!。」
...おぉ!...
「私、朝見たけど、おっきい花だったわ。凄く綺麗だったわ。」
「あとは...権田原君。キョイ君。」
「はい。生物研究部門 育成部門で、昨日、育成生徒同士の喧嘩で、せっかく給食部門の方が用意してくださった、昼食36人分、全部を無駄にしてしまいました。
監督者としての僕の責任です。くみ子さんを始め、給食部門長の方々、皆様、大変申し訳ありませんでした。」
「ワシも、長谷川君も気づくのが遅れ、キョイにも大変な思いをさせてしまって、申し訳ありません。迷惑をかけました。ワシからもお詫びします。」
「それで、タイガー君は、どこにいたの?。」
「タワーに登っていました。ニシノさんと僕で探しに言って話を聞いたら、先日亡くなった育成生徒のクーのお葬式の件が気になっていたとかで。」
「悪いのがおって、昼飯のムニエルはクーの肉やってタイガーに言うたらしい。」
...えぇっ!?...
...酷い...
...それならまだ理解できる...
「ふれあいの日の、クーちゃん可愛かったわぁ...私を気に入ってくれて、私が水槽に手入れたら、クーちゃん顔を私の手に、ピッタリとくっついて来てくれて。クーちゃんやお魚に取って、私らの体温は高すぎて火傷するほどなのに...ずっと...私、クーちゃんが賢くて、可愛すぎて泣いてしまったわ...。泣」
「居住区ノ人デ、酷イコト言ウ人モ多カッタデス。食ベタラ美味シイトカ。鯉こくニシタラ良イトカ。私叱リマシタ。クーハ言葉分カルシ、ミミ良イカラ。陸ノ音遠クマデ聞コエルカラ。」
「外見はただの5mの鯉だから、クーと接したこと無い人に理解してもらうのは難しいですね。」
「そうね。私も最初そうだったし。クーに優しくされるまで、私も気づかなかった。」
「ふれあいの日、なんで止めたんでしたっけ?。最近は、乱暴する育成生徒もいないと思うけど。」
「監視緩くて居住区の高校生3人がクーの水槽に侵入して、クーを捕獲しようとして...。」
「ああそうだった。そうだった。あの後クーはショック受けて、水槽の壁に何度も何度も頭ぶつけてね。」
「自傷行為だね...可哀想に。」
「何でそんなことするんだろ...。」
「取り調べで、バーベキューするつもりだったとか言って笑ってたらしいよ。ホントにたまにバカな中高生いるから...。でも、その子ら、家族ごとSIT強制退去になったよね。ねぇ、所長?。」
「法律違反では無いけどな。施設ルールやからな。守れん人は退去してもらいます。たとえ理事長でも。私の独断で。ガハハ。w」
「それでも、そんなん言うたら、何にも食べられなくなりますよ。ナジマ旧約聖典では、卵や植物は食べても良いって書いてるのに、実際の研究では、仲間に危機を知らせるための、信号とか化学物質放出してるって言うじゃ無いですか?。」
「生存競争、食物連鎖、弱肉強食の世界に、神様は、俺たちを産み落としたんだから、動物や、植物を食べても許されるよ。人間もギガサニーや、ザバナに捕食される訳だし。」
「最近は被捕食される動・植物のネガティブシグナルをキャッチして、ネガティブシグナルを出さないものや部位を食べる概念が流行って来てるね。えぇと何で言うんだっけな?。」
「動物は捕食される時に、快楽物質が大量に放出されるらしい。」
「それ、どこまで本当?。」
「はいはい。それくらいにしておきましようか?。キョイ君。まだありますか?。」
「はい。みなさんにはお伝えしてたんですが、クーのお葬式は月曜日、防災訓練の後で行います。クーのこと大切に思ってくれる方たちからのご要望で、なるべく多くの方が参加できる日と言うことで、中々日程が決まらず、すみませんでした。」
...いいえ...ナンチャ..ナンチャ...
...はーい...
「えぇと...僕がタイガーに、直接日程のこと伝えてなかったので、タイガーは不信感を抱いてしまいました。昨日のことは僕が原因です。大変申し訳ありませんでした。」
...権田原くんのせいじゃないよ..普通暴れないし...
...あらら...
「責任はワシにある。すまんかった。終わったことや。また一緒に頑張ればええ。ガハハ w」
...。
..。
「ええと..ジュリーもうええか?。」
「ええと...ラーマンさん。」
「特ニアリマセン。くみ子サン打チ合ワセシマショウ。」
「長谷川さんは?。」
「特にないです。松田さんと所長。勝手にプリン食べないでください。私とキョイが疑われました。」
...wwwwwww...
「ハルトマンさん。何かあります?。打ち合わせ終わりました?。」
「中央アトラの運輸省との大型船舶用システムの打ち合わせは無事終了しました。」
「おめでとうございます。」
...パチパチパチパチパチパチパチパチパチパチ...
...パチパチパチパチパチパチパチパチパチパチ...
「では、所長から。お願いします。」
「えぇ...。みなさんありがとう。良く頑張ってくれて、ホンマにありがたい。ありがとうございます。で、大変、急な話やが、早朝から、中央アトラの兵曹がレムリア海方面からこちらに向かって来てます。」
...兵曹!?...
...えぇーーーーー!?...
...えぇっ!?...
...中央の!?...
「テオ?。光学モニターつけてくれるか?。レーダーも。」
「ハイ。今ヤリマス。」
...ブウウウゥゥゥゥーーーーーーン...
モニターに2体の軍事兵曹が映し出される。
...ひぃぃ...
...うわっ..汗...
...おぉ...
...うわあぁぁぁ...
レーダーが位置関係を知らせる。
!?。汗
20km付近で静止しとる...汗。
他の施設が目的なら、こんなに長いこと静止するやろか....汗。
ここほどは、見つけにくくない。
平常でもコマチがここを隠蔽しとるから。
...これはかなり大型の兵曹ですね..汗...
...私こんなの見たことないわ...汗...
...僕も初めて見ました...
...私も...汗...
「落ち着きなさい。前も話しましたが、この辺りは、各国の機密施設がようけあります。まだ、ここが狙われていると決まったわけではありません。」
「うちは、中央アトラから研究資金いただいてますよね?。うちではないのでは?。」
「そうや。常識で考えたら、普通はそうや!。そうですわな?。所長?。」
さっき倒れとった2人が急に元気になる...w。
「断定はできん。アトラの中の力関係でどう変わるか分からん。」
...えぇ!?...
ワシらが資金提供を受けた時は、まだ中央アトラにはアダムがおった。
アダムは色々と問題のある兵曹やったが、それでもまだ秩序があった。
元老院の暴走を食い止めとった。
市民は、メディアのプロパガンダに踊らされ、ちゃんとした検証も議論もせん内に、アダムを追放した。
間違いなく、元老院と、国際金融資本が背後におる。
莫大な資金力で選挙を操作し、政治家を擁立し、メディアや教育を買収し、大衆の意思を操作する。
そのやり方は、太古から変わらん。
この簡単なことが、市民は中々見破ることができん。
「今はまだ第2種警戒体制の段階ですが....。」
...第2種って「注意」だったかしら!?...
「くみ子。第2種は封鎖や。」
...えぇ...封鎖ですか?..汗...
「...ソノ件デ、後デ、オ話ガアリマス...。」
「?...そうか...。分かった。」
「みなさんは、部門に帰って、部門長に報告してください。通達も出ます。みなさんには直接通知も行きますが、必要な人はここに常駐してください。今の段階では仕事はいつも通りに進めてください。ええですか?。」
...はい!...
...はい...
...はい...
「以上です。ほなジュリーちゃん。あと頼むわ。」
「はい。分かりました。では、連絡事項のある方...。」
「今月の農業体験会、申込90人越えました。今月は、中央農業区の芋類栽培区でやります。参加される方、あと10人ですので急いでくださいね。当番は私と亜紀ちゃんでやります。」
「燃えないゴミ出される部署の方...。」
アスカ計画。
ワシの携わった世紀のプロジェクト。
ハフスブルグ、リヒテンシュタイン、ルクセンブルグ、ノイバンシュタイン...。
この世を支配する大金持ちたちがこぞって出資した。
当時アルマダイや兵曹の知識を最も持っていたワシは従わず、参加を拒み続け、見せしめとして殺された。
高速道路で、ワシのオンボロ車は、突然暴走し300km以上スピードを出し、曲がることも、止まることもできなくなった。
車は、猛スピードでカーブを飛び出し、下り線の橋脚に激突し、100m下の地面に落下した。
ワシはミンチになりバラバラになった...はずだった。
ワシは、夢か、死の淵で女神に会った。
イシスという名の女神に。
イシスがワシの額に手を当てると、数式、方程式、定理、法則...あらゆる叡智が流れ込んできた。
イシスは言うた。
ワシが偉大なる神の意思を具現化せよと。
具現化しこの世界を楽園に変えよと。
奇跡が起きワシは生き返った。
脚の骨折だけで済んだ。
自ら出向き、頭を下げアスカ計画に参加した。
中核に入り、支配者の意図とは真逆のものを創り出すために。
しかし、アスカ計画は、アダムゼロの暴走から始まり、失敗続きだった。
ジェニファーとアダムゼロを生み出した代償として、
ジェニファーはアトラの北区域を占領・支配し、
アダムゼロは暴走しベイエリアの大半である500㎢の消失させてしまった。
ワシらの下らん野心は、とんでもない怪物を作り上げて行った。
アルマダイの新しい融合方式が見つかると、試験体が無数に作られる。
そして、いつかは完成体が現れる。
完成体には、常に対になる逆の回転軸を持った個体が生まれる。
完成体は陽極星、他方は陰極星。
陽極星のエネルギー規模は、陰極星の69倍。
開発において、大抵の場合、陰極星が間引かれる。
陽極開発に資金や人材を注力するため。
そして、殺し合いをさせないために。
しかし、その逆の悲劇もある。
アダムとザネーサーは今から50年前、13番目のプロジェクトで生まれた。
当時、アスカ計画で最も成功していた、ジェニファーの兵曹胚を転用して。
陽極星のザネーサーの、エネルギー規模はワシらの想定を遥かに超えていた。
当時のパワープラントが幾つあっても足りないほど。
アトラの大統領マダク・シムラに警告され、ワシらは、4歳になったザネーサーを殺処分することにした。
可哀想なことに。
しかし、ザネーサーを殺すことは出来んかった。
もう手遅れやった。
あの子は生まれた時点で完全体やった。
生まれながら、殺されることを知っとった。
恐らく、人工卵巣の中で、ワシらの話を聞いておったのじゃ。
だから、自分の力を4歳まで隠蔽した。
生存するために。
自分の力が、脅威であるワシらを上回るまで。
ワシらは、唯一の頼みの綱、ジェニファーにすがった。
しかし、ジェニファーはワシらに手を貸してくれなんだ。
どうすることも出来んかった。
元老院の期待通り、アダムとザネーサーは、暴れに暴れた。
その圧倒的な戦闘力で。
あらゆる敵や脅威を殲滅し、近隣の小国の領土や資源を全て奪い尽くした。
最後に奴らは、元老院に見切りをつけ、反逆をした。
ジェニファーを手本に。
アダムはアトラの中央の領域を、サネーサーは東の領域の領有を宣言した。
アトラは他のどの国とも違う。
軍事兵曹が強く賢くなりすぎた。
人間を超えてしまった。
軍事兵曹は、自らの意思で動く。
アトラを護るが、破壊も、他国の侵略もする。
奴らは何者にも従わない。
アトラの守護者でありアトラの最大の破壊者。
そして、多くの犠牲を伴い、ワシらはついに、希望を見出した。
ユーライとタイトはその後、44番目のプロジェクトで生まれた。
ユーライは第2形態までの進化において、史上最大のエネルギー量(出力)を持つ兵曹となった。
穏やかで、知能も高く、順応性の高いユーライは、愛情が深く、人類との共生を強く望んでおる。
救世主と人々に呼ばれるようになった。
ダリウス・リン・ジェノス、スレーター・カシアン・カーン、デュランダル・レビンら中央アトラの兵曹団は、アダムを追放した。
ユーライを擁立するために。
そして、SITで、ワシとハセガワは、最後の兵曹を完成させる。
ユーライを超える、神のような兵曹を。
...ドタドタドタッドタッ...
「ニシノさん!。」
!?。
「どないした!?汗。イシカワくん。」
テオが、統合軍事・警察部門の部門長の石川を連れてきた。
「2体の兵曹は偽態を使っています。コマチが検知しました。しかもエネルギー規模もデタラメです。」
「偽態!?。汗」
偽態!?...何のために...。
...ウォ---------------ン...ウォ---------------ン...ウォ-------------------ン...
...ウォ---------------ン...ウォ---------------ン...ウォ-------------------ン...
『...こちらは統合監視・管制・司令室です。ただいま、第2種警戒体制を発令しました。施設周辺において異常事象、または脅威の兆候が確認されています。これより、施設を封鎖します...』
...ウォ---------------ン...ウォ---------------ン...ウォ-------------------ン...
...ウォ---------------ン...ウォ---------------ン...ウォ-------------------ン...
『...軍事部門、即応部隊は第2種体制へ移行してください。幹部および管理部門は第2種体制への移行手続きを開始してください。一般職員は所属区画へ移動し、次の指示があるまで待機してください。...』
...ウォ---------------ン...ウォ---------------ン...ウォ-------------------ン...
...ウォ---------------ン...ウォ---------------ン...ウォ-------------------ン...
『...居住区住民の皆様は速やかに居住区へ帰宅してください。不要不急の外出を禁止します。育成生徒は全ての校外活動を中止し、教育区画へ帰還してください。許可なき区画間移動を禁止します。...』
...ウォ---------------ン...ウォ---------------ン...ウォ-------------------ン...
...ウォ---------------ン...ウォ---------------ン...ウォ-------------------ン...
『...繰り返します。こちらは統合監視・管制・司令室です。ただいま、第2種警戒体制を発令しました。施設周辺において異常事象、または脅威の兆候が確認されています。これより、施設を封鎖します...』




