独り身で何が悪い(強がり)
ミッキー戦の黒星から少し経った頃、本部に一人の女性が入会してきました。
当時はキッズクラスに女性会員は二、三人はいましたが、大人の女性会員はいませんでした。
名前は全然憶えてませんし、次のエピソード以降も出番は無いので適当にAさんと呼ぶ事にします。
Aさんは色白でスタイルも良くて顔も美人という私の好みにバッチリでしたが、恋愛のスイッチは切っていたので「嫌われたくはないな」としか思って無かったです。
興味も無かったので、なんで入会したのかも聞きませんでした。
その時の私はというとドラッグストアの仕事が忙しすぎてジムに通える時間が作れず、かなりイライラしていた時期でした。
週2で通えたらラッキーで、週1と言う時がほとんどでした。
あと体力的にキツかったので練習サボっていたというのもあります。
加えてAさんがフリーだと分かった時、会長と辻倉さんが私とAさんをくっつけようとアレコレ画策してきて、ダブルでイライラしていましたね。
支部でAさんの話になった時、辻倉さんが「Aさんどうすか?」と単刀直入に聞いて来たので「僕じゃダメでしょ」と答えたら「いや、マエカワさんの清潔感なら本気でいったら絶対イケますって!」と興奮気味に返されました。
コーヒーが原因で歯が黄ばんでる私にとって、清潔感なんて単語は縁遠い物だと思っていたので、そんな風に思ってたのかとビックリはしましたが、やっぱりいらんお節介はやめてくれとは言えず、ただただ苦笑する事しかできませんでした。
会長は会長で「マエカワくん、Aさんのミット持ってあげて」とか「サンドバッグの打ち方教えてあげて」とか何かとAさんと私を絡ませたがっていたのがクソウザかったです。
「Aさんが彼女になってくれたらいいな」と直球まで投げ込まれました。
すいませんね二人とも、負け犬人生覚悟している人間にとって恋愛なんてのは狂気の沙汰なんですよ。
竹内さんも飲み会で「40越えて結婚してないヤツ、何考えてるんだって思います」と言っていましたが、これ書いてる時点で40近い私は「何も考えてないッス」と孤独死も覚悟の上です。
ごめんよ両親。あなた達の血は弟たちが後世に残してくれるから...
実家はどうなるかしらんけど、自分が死んだ後の事はなるべく考えないようにしています。
虚しくなるだけですからね。
結局ジムに来る事が少ないままだった私は、Aさんと絡む機会もほとんど無くなり、気付いた頃にはAさんは退会していました。
辻倉さんは「マエカワさんのせいっすよ。Aさんをいやらしい目で見るから」とからかわれたので、「失礼な、僕は紳士プレイで対応してましたよ」と返したらウケて笑っていました。
※ ※ ※ ※
この先の展開を言っておくと、私はグローブ空手の試合に出場する事になります。
ミッキー戦から半年くらいは経ってたと思います。
その前だったか後だったかは完全に忘れましたが、今度は本部に三人組の女の子が入会してきました。
なんでもスキーのシーズンオフに何かしたいという理由でキックボクシングを選んだらしいです。
もちろん全員顔も名前も忘れました。
この三人は確かフリーでは無かったので、私とくっつけよう作戦にはなりませんでした。
かわいい子達ばかりだったと記憶していますが、Aさんと同じように「嫌われたくはないな」としか思って無かったです。
彼女達から見て私の第一印象は「細いな、50kgないんじゃないか?」だったみたいです。
あと、私のふくらはぎだけ発達した色白の脚を見て「羨ましい」と思っていたと告げられました。
どうやら私は美脚だったみたいです。
その場に居合わせた辻倉さんも「マエカワさんの脚ヤバイっすよね」と同調してました。
剛毛だったので一生懸命剃っておいてよかったです。
太ももはそんなに発達して無かったので、細いだけの貧相な脚だと思っていましたが、会長は「ああいう脚の選手は強い蹴り打てるんだよ」と言っていたのが、女子に褒められるより嬉しかったです。
彼女達ともミット打ちやスパーリングをしました。
細くて殴ったら折れそうに見えた私相手に、遠慮がちに攻撃してくる彼女達の表情を見ていたら何かに目覚めそうでした。
私は他人に酷いことを"させる"のが好きなサディストかもしれません。
「全力でいいですよ」とか「ボディも狙っていいですよ」とか言ってワザと隙を作って攻撃を煽っていました。
ボディ打ちの練習はお前もしろよ! って感じですよね。
1回か2回だけ「他に誰も来れないから、この日マエカワくんインストラクターの代わりやってくれない?」と会長に電話で頼まれた事もあります。
代打も、職場に「今日〇〇時で上がらせてください」と言うのも億劫でしたね。
キッズクラスの指導をのんびりやりすぎたせいで「女子達待ってるよ」と会長に注意されましたが、だったらアンタがやってくれよとイラッとしました。
顔には出さなかったと思います。
今思えば、アレは私をインストラクターとして鍛えようとしていたのだと思います。
「クソくらえ」と思っていた事は謝りません。
『マエカワ先生だったよ~♡』というラ〇ンを送っていた子がいた事を後に知ったので、悪い印象を与えてはいなかったのだと胸を撫で下ろしました。
三人娘の内の一人は子供をキッズクラスに通わせていました。
ですが、誰の子供だったのかは興味が無かったので聞きもしませんでした。
ある日、ジムの親睦会でバドミントンをやった時、38度の熱が出ているにも関わらず参加して、小学生相手にもボロ負けするという醜態を晒して、ぶっちぎりの最下位になりました。
ちなみに私の靴のサイズは34.5で、貸し靴が女子用しか無かったのも恥ずかしかったです。
この時「いやぁ子供達にナメられちゃいますね」と女性会員の一人に話しかけたら「え? 子供達みんなマエカワさんの事『キックの凄い人』って言ってますよ」と返されて驚きました。
そうか一応尊敬されてたのか、と嬉しくなりましたね。
だからと言ってキッズクラスの指導がんばってみようかな、とは思わないのが私です。
甥っ子、姪っ子にはシャドーボクシングを見せた事があるので、弟たちが望むならパンチ・キックの打ち方を教えてあげてもいいかなとは考えています。
おじちゃんの特技は『暴力』だけなのです。
戦いごっこに付き合ってあげた時は「どうやったら倒せるんだ」と全力パンチの連打にびくともしない私に甥っ子が驚いていました。
やられたふりした時はわざとらしくて喜んでもらえなかったので、こっちの方が正解だったようです。
子供は思ったよりも賢くて鋭いので嫌いです。
三人娘の内一人はキックにハマり、後に試合に出る事になるのでBさんと名付けておくことにします。
適当すぎますかね?
三人の中で一番小柄な人で、身長は150cm無かったんじゃないかと記憶しています。
本部だけじゃなく、支部にも来てガンガン練習していたみたいです。
その時、付き添いで残りの二人も頻度は低かったみたいですが支部に行っていたようです。
蹴りやパンチのキレが他の二人とは明らかに違ったので、Bさんとのスパーリングの時は「ちょっと軽めに反撃しますね」とか「今からプレッシャーかけます」とか宣言しておいて、ガード固めて前に出て接近戦で軽めの連打をしたり、隙を見せたらジャブやカウンター当てるフリをしたり、キックも気持ち速めの物を出してみたりと、かなり神経を使いましたが、マジモードで対応していました。
余談ですが、辻倉さんが地下格闘技に出た時、車内で私の風俗遊びを暴露されたのが、この三人娘です。
Bさんの旦那さんが消防団の付き合いで風俗に通っている事を許している。
という話が出た時に爆弾落とされました。
辻倉この野郎...
後日「ちょっとバラすのやめてくださいよ」と抗議したら「いや、あの三人はマエカワさんが思っている以上にスケベなんで大丈夫です」と全く大丈夫じゃない事を言っていました。
私がいない時に本部や支部で壮絶な下ネタトークをしていたらしいです。
女子ってわかんない。
だから素人童貞なんですね。
しかし、私への好感度が落ちなかったのかどうかは定かではありませんが、暴露された当日の辻倉さんが出場した地下格闘技の大会中、三人娘はずっと私の側にいました。
辻倉さんの嫁が嫉妬深い性格だったらしく、用意されていた観戦席にはいたくなかったみたいです。
「怖い人多いんでマエカワさんの側にいていいですか?」
とか言われてちょっと嬉しかったですが(え? 俺でいいの?)と戸惑いましたね。
世界一貧弱なボディガードだったと思います。
「マエカワさんがいてくれたんで心強かったです」と大会後に感謝もされました。
社交辞令かもしれませんが「お役に立てて光栄です」と返しておきました。
全然関係無い話ですが、大会が終了して車に戻る途中で、目の前にグループがいたので「今日はお疲れ様でした!」と大声で挨拶したのですが、無遠慮に近づいていく姿が異様に映ったのでしょう。
中島さんから「びっくりしましたよ。マエカワさん喧嘩売りに行くのかと思いました」と言われました。
茶化したわけではなくマジでそう思ったみたいです。
やっぱり私は変人なのでしょうか?
他に支部の方にも別の女性会員二人組が来た事がありましたがすぐに辞めてしまいました。
その時は四谷さんと竹内さんにくっつけよう攻撃を食らいました。
マジでウザかったです。
それに二人組の容姿もまったく好みじゃなかったです。
クズですね。




