百十三話 そんなに気になる?
「ガレオンを逃したか」
リューからの報告を聞き、ロッティはそう呟いた。
「すまねぇ」
リューは頭を下げて謝罪する。
「シロの横槍が入ったんだろう? 彼女が自分の判断で事を起こすとは思えない。なら、バルドザード王の指示だ。始めから、この事態を想定して向こうは動いていたのさ」
「向こうの方が上手だったって話か?」
「そういう事だ」
シロ自身を直接ぶつけてこなかった事は不思議だが……。
まともに戦えば、シロでは反乱軍に勝てないと判断したか?
こちらとしては過大評価だと思うが、ありがたくはある。
……シロが拒否したという可能性もあるかな。
「それで、これからどうするんだ?」
次の目標は?
という問いではないだろう。
それはリューの視線が物語っている。
彼女の注目は町の様子に向けられていた。
ガレオン配下の兵士達によって、町は略奪の被害にあっていた。
民間人にも多くの怪我人が出ており、家屋の破壊も目立っている。
ガレオンと共に襲撃してきた兵士は、不利と見るやすぐに逃げ散った者が多い。
それだけ、物品を盗んでいった人間が多いという事でもある。
「民を慰撫する時間も余裕もない」
「でも、これから大変だぜ? ここで住むやつらは」
リューは町の住人の今後が気になるようだった。
仕方ないなぁ。
「今はミラとの連絡が取れるのを待っている。それまでは駐留の予定だ。物資を渡す事はできないが、復興の人足を貸すぐらいはいいだろう」
答えると、リューは表情を明るくした。
「ありがとよ!」
礼を言うと、リューは復興作業をしている住民達の方へ駆けていった。
「ボラーに連絡を任せたから、猶予なんて半日くらいしかないんだけどなぁ」
そんな彼女の背に、私は呟いた。
始め、リューに声をかけられた住民は明らかな警戒を見せていたが、リューが真剣に作業へ取り組んでいる事に気付いたのか、徐々に打ち解けていった。
そんな様子を見て、反乱軍の中からも復興作業の手伝いを始める者が現れ始め、日が暮れる頃には労働の疲れを労うように宴会が始まった。
略奪によって食料の乏しい中、あまりにも質素な食事会ではあったが……。
住民達は殊更に楽しげな様子を見せていた。
厳しい現実を前に、少しでもそれを忘れ、気分を和らげたかったのかもしれない。
翌日。
「ちょっといいか?」
「どうした? リュー」
復興作業を行っている最中、リューが声をかけていた。
「反乱軍って名前、変えねぇか?」
「何で?」
「反乱軍って、反乱軍じゃん」
「???」
何が言いたい?
「今の俺達、何に反乱してんの?」
「ああ、そういう事」
呼び名に興味がなかったので、今まで触れなかった事だ。
リューとしては、それが気になるのか。
「リューが決めたら? 僕は何でもいいから」
「爆裂団」
すぐさま、その名がリューの口から飛び出した。
「やめろ。ダサい」
瓦礫を持った通りすがりのジーナが話に参加する。
「じゃあ、お前ならどうするよ」
「解放戦線同盟」
「長くなっただけじゃねぇか!」
そのやり取りの後、二人が私を向いた。
「じゃあ、次ロッティ」
大喜利みたいになってきた。
特にこだわりがないからずっと反乱軍だったんだけどなぁ。
私は、チラリと愛馬を見る。
たらふく干草を食べた後で、居眠りを決め込んでいる。
「アルファナンバーズとか?」
「おしゃれだな」
そうかな?
「こういうの、みんな意見もってそうだから集まった時に話した方がいいと思う」
そんな事に時間使う暇があればだけど。
「それもそうだな」
そんな時だった。
上空から、ボラーが私達の所へ降り立った。
「おかえり。思っていたより早かったね」
「一大事です」
挨拶を省き、真剣な様子で告げるボラー。
何かあったから、急いで帰ってきたのかもしれない。
その様子に、私の気持ちも引き締まる。
「何があった?」
「ミラの部隊が敗走しました」
負けた?
ガレオンはこっちに釣れたのに?
「それで、その際に殿となったクローディアが行方不明になっているそうです」
今回の更新はここまでです
ではまた、月末に




