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やばい……このままじゃ……複数人いたらどうにか押し返すくらいは出来るだろうって思ってたけど、どうやらそんな甘い相手じゃないようだ。それに俺以外の人たちの武器からヤバい音がしてるし……勢いがわずかに落ちた程度で、このままじゃ俺達まとめてこの巨岩のような腕に叩き潰される。
「はあああああ!」
その時だ。俺達が一生懸命腕が武器になってるやつの攻撃を受け止めてる時、更に前に出る姿が見えた。観なくてもわかる。その匂いで……え? きもい? いやいや、だってそれはアイリだし? それはわかるよ。なにせ俺は彼氏だし? 普通はゲームで匂いとか意識しないかもしれないが、LROはフルダイブゲームだ。感覚全てでこのLROの世界を堪能してる訳で、匂いだってその一部だ。
そして不思議なことにLROはちゃんと本人の匂いって奴を再現してる。LROと外のリアルの匂い。それが一致してるのだ。だからわかる。この匂いはアイリだ。彼女は俺達のように自身の武器を相手の武器にぶつけて押し返すって選択はしなかったようだ。だからって避けるような愚行はとらない。
そんなアホな女じゃない。寧ろアイリは賢い女性だ。LROなら男女の差なんてほとんどないから、一緒に押し返すのに参加してくれてもよかったとは思う。確かに最終的には? やっぱり男の方が筋力って意味では強くなるとは思う。
でも色々な要素があるし、筋肉以外にもステータスを盛ることが出来るこのLROなら、女性だって男性以上の身体能力を得ることは容易だ。実際、アイリはかなり強い部類だと思うし。
そんなアイリは俺達がなんとか耐えてる敵の腕を伝って月人の顔面に迫る。どうやら彼女はもっと直接的な攻撃を試みるつもりのようだ。でもそれを一人でやるのは危険だ。
確かにこの月人は二本腕でその腕は既に攻撃に使ってる。ならば無防備何じゃないか? と思うだろう。確かにそうなんだけど、月人はその大きな口だって武器になる。俺達の倍はあろうかという体格をしてる月人だ。そして元から月人は頭がでかい。まるできゅうりの様な頭をしてる。そしてその半分は口みたいなものだ。
まるで鳥類のような細長い口。嘴ってものではないが、そのデカい口なら近づくアイリを食べる事だってできるだろう。大きく開く口がアイリを飲み込もうと迫る。でもアイリに避ける気配はない。
口内に攻撃を叩き込むつもりか? 確かに口の中なら防御力的には低そう。でもそれでもアイリの一撃でこの月人のHPを0にするってのは無理があるだろう。よろけさせて俺達の援護をしてくれるってことか? でもそれでアイリがやられるのは許容できないぞ!
そんな事を思ってると、アイリは武器を入れ替えてその手から何個もの武器を口の中に投げ出した。




