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複数の大きな月人が目の前に迫る。腕を高く掲げて振り下ろそうとしてるやつ。胸の前でクロスして突貫して来ようとしてくるやつ。腕が二股の奴はその腕の先端を何やらうねうねとさせて前にいるデカい月人の間から迫りきてるやつ。色々だ。
それらが迫ってきてて、もうすぐそこにそれはある。そして俺達はシステムのオート機能により、移動が終わるまではこの体を動かすことはできない。1秒が長い。貯めて放つタイプの攻撃はできない。速攻で動くしかない。すでに敵は十分な距離……所謂間合いってやつに入ってる。
こうなると選択肢としては2つ。向かい打つか避けるか? でも……俺達はそれなりに密集してる。これが心通わせてるいつものメンバーだけなら、いきなり動いても上手く仲間のことは避けて更に敵の攻撃だって避けれる自信はある。
でも今はそんな心通わせた仲間達だけじゃないのが実情だ。人数も多いし、ここでいきなり誰もが攻撃を避けようと動くとどうなるか? きっと互いの体が邪魔をし合うだろう。そうなると、最悪だ。互いの体がぶつかり合って動きが止まった所に––ズドン––とされたら……攻撃を諸に受けることになる。もしもクリティカルにでもなったら……このゲーム、確率でクリティカルが出る……とかはない。
普通のゲームならクリティカル率ってやつがあって、攻撃のたびにそのクリティカル率を参照して計算を導き出してるんだろうが……LROは違う。クリティカルを出すにはちゃんと相手の弱点を付く必要がある。体のどの部分を攻撃しても、確率でそれがクリティカルになるってことはない。
人でいうなら頭や目とか胸とかさ……そこら辺が弱点となるだろう。普通に攻撃されたらただでは済まない場所が普通に弱点だ。モンスターには意外な部位が弱点設定されてたりもする。あとはその生物の特徴とかもある。更には動きを注視してたらわかる弱点ってのもある。
実は怪我をしててその場所を庇ってるとか……だとその怪我してる場所は攻撃が通りやすい……とかな。
今、俺達を襲おうとしてる月人は普通の月人よりも巨体だ。普通の月人でも2メートルはあるだろうに、今ここに集まって前に出てきてる血の気の多い奴らは4・5メートルはあると見ていい。そんな奴らなら俺達の弱点なんて気にせずに振れば、どこか弱点にあたるだろう。
奴らは気にする必要がない。でも……こっちは気にしないといけない。大きさは武器だ。それだけ一撃の重さは違うし、こっちは向こうの弱点を突くのが難しくなる。避けるにしたって、奴らはデカい。必然的に当たる範囲だって大きくなる。
ならば……避けるのは現実的じゃないって皆が思ってるだろう。
遂に足が地面に……世界樹へと再び触れる。その瞬間、オートは解除された。その瞬間、皆が一斉に避けるなんて選択肢は捨てて、目の前で一番手近な月人へと向かっていく。どうやら皆、考えてる事は同じだったようだ。




