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「失礼ですが、いいですか?」
あくまで丁寧に、イケメンタンクの彼はそう切り出した。彼は笑顔だ。その甘いマスクは女性ならうっとりとしそうなほどである。でもそれを向けられてるのは今はわがままで甘やかされて育ったのが前面に出てるようなさ、そんな奴だ。当然キュンキュンするわけはない。いや、むしろキュンキュンしたらやばいまである
それにイケメンタンクの彼の笑顔は確かに甘々ではある。でもその裏……というか奥には別の感情が渦巻いてる。敏感な奴ならそれに気づくと思う。その甘い笑顔が怖い感じがあるって。けど当然だけどお偉いモブリがそれに気づくなんてことはない。
尊大な態度でこういった。
「なんだ? 我に意見するなんて百年早いぞ。まあ我は寛大だからな聞いてやる」
「……ありがとうございます。それでは――」
そういって彼は静かに、空気をいつもよりも大く吸い込む。そしてこういった。
「うっさいんじゃボケええええええええええええええ!! なにが戻れじゃ! そんな暇あるわけねえじゃろが! 今そんな事できっばい! やっちょれるんか!! できんか我は!? ここにおるんやつら皆いっしょ懸命やっちょるんや!! それを……それを、おまん一人のわがままで戻れるとおもっちょんのか!! 却下じゃ却下!!』
ポカーン……である。それはお偉いモブリだけじゃない。俺たちもそうだ。びっくりしてないのは彼のチームメイト? だけ。寧ろ彼等は「アチャー」って感じ。切れたらああなるってわかってるんだろう。
てか、方便強いな。でも別におかしなことじゃない。このLROは外国語、それこそ英語とか中国語とか外国の言葉は勝手にリアルタイム翻訳が入る。だから言語の壁? って奴をLROで感じることはない。リアルでも最近はリアルタイム翻訳って奴はできる。でもそれには手元のスマホを向けるとか、それかイヤホン? とかで音を拾ってやるとかじゃないとできないだろ。
でもLROはそんなのは必要ない。勝手にシステムが翻訳をかけてくれるから何人とかどこの国の人……とか意識さえする必要がない。でも方言は落とし穴だったようだ。だって方言も大きな括りで言えば間違いなく日本語な訳で、そこにはリアルタイム翻訳は入らないのだ。
いや、「なんて?」とは思ったけど、意味がわからないわけじゃないからいいんだけどね。それに、方言は個性でもあるし、方言女子は可愛かったりする。だから全てを標準語に合わせるってのは違うと思う。
いきなり変な口調で勢いよく言われたらからお偉いモブリは固まってたけど、徐々に自分が罵られたって理解してきたのか、その顔を真赤にしだす。
「おおおおお、お前! 無礼だぞ! 我を誰だと――うわああああああ!?」
イケメンタンクの彼は「へぇへぇこっちにゃ関係ねーよ」――といってそのお偉いモブリを片手で猫が子猫を運ぶみたいに首根っこを掴んだ。いや、服の襟だけどな。それで運ばれることになった。
当然お偉いモブリの助けを求める声を聞くやつはいない。




