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「くっ! 早くしろ! 戻るんだ!!」
そう言って近くのおつきのモブリに手を上げるそのお偉いモブリ。頬を思いっきり叩いて、そのおつきの人のは床に倒れ伏す。それには流石に我関せずと見てたプレイヤーの面々(俺含め)、「この野郎」――と思っただろう。
いくら偉いからってから……もう拳骨でも噛まして大人しくするか? と俺はアイを見た。いや、一応アイには許可をって思ったのだ。なにせ同じチームだし? 迷惑をかけるかもしれない。だから……と思ったけど、どうやら俺よりも先にアイは動こうとしてたようだ。
でもそんなアイよりも先に動いてた人がいた。
「大丈夫ですか?」
そんな風にぶたれたモブリに優しく声をかけるのはあのイケメンタンクの人だ。床に膝をついて目線を合わせて、大きな手を差し出してそのモブリの人を立ち上がらせてくれる。
「おい! そんなやつよりも早く我の言う事を叶えろ! 戻るぞ! 気持ち悪いんだ!」
そんな風に近くで癇癪を起こしてる偉いモブリ。でもイケメンタンクの彼は完全に無視してる。優しくぶたれた人に回復薬を施して、無事を確認してようやくお偉いモブリへと視線を向けた。
「うぐっ……」
さっきまで饒舌に回ってたその舌。それが止まる。それもそのはずだろう。なにせイケメンタンクの視線は厳しい。さっきまで優しい顔をしてた彼が厳しい視線を突きつけてきたら、迫力ってものが感じられる。
それは甘やかされて育ってそうなこのお偉いモブリには受け止められるものじゃない。なにせ俺達は日常的にはモンスターと戦って死線のやり取りをしてるんだ。いやゲームだけど、真面目にやってるつもりである。
それに比べてこのお偉いモブリは戦ったことなんてあるのか? って感じだ。周囲に守られてる時は態度がでかいが、思いがけずに近くに月人とかが来た時は明らかに震えてた。自分ではきっと戦ったことなんてこいつはない。
そんな奴がイケメンタンクの厳しい視線を真正面から受け止められるわけない。でもプライドってものがあるんだろう。いや寧ろこいつにはプライドしかない。自分が偉いってプライドだ。
「な、なんだその目は! 我は、我は偉いんだぞ! 我を守るのがお前たちの役目だろう!! 役目をしっかり果たせ!!」
そんな風に奴は言い放った。まるで俺達を:部下のように言い放つその言葉に、お偉いモブリは気づいてない。周囲の空気が完全に自分を責めてるって事にさ。




