表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
騎士ホルスタイン  作者: コジュ
PR
36/43

第35話 奥の部屋に

ツギ・ハギとフーシたちが戦い始めたとき、ようやく牛はめり込んでいた壁から抜け出した。


戦っている皆さんには悪いですが、まずはナコを!!


牛はオクールとアドラが戦っている脇を抜け、小屋に向かって走った。

小屋の扉は半分ほど空いている。牛は小さな体を滑り込ませるように入っていった。


そもそもあれだけ強大な力を持つ敵の拠点がこんなちっぽけな小屋なことがあるのか、他にもっと大きな拠点があって、そこにナコはいるんじゃないか?という考えも浮かんだが、そんな疑念は小屋の中を一目見た瞬間に吹き飛んだ。


外から見た大きさ通りの内装、埃っぽい部屋の壁際に、痩せ細ったナコがいた。


「ナコ!!」

牛が発見すると同時に呼びかけるとナコはゆっくりと顔を上げ


「…‥‥‥もーくん」

唇をほとんど動かさずにつぶやいた。


よく見れば手錠をつけられ、その鎖は大きな岩に打ち込まれている。


「ナコ、体に異常はありませんか?すぐその手錠を切りますから」


牛はナコに近づく、近くで見るとナコの顔は青白く、やつれている。


ナコの頭の上につけられた手錠に向かって、渾身の力を込めて刀を振り下ろした。しかし、牛の力では切れない。

もう一度振り下ろすと少しだけ欠けた。これをあと数十回繰り返せば鎖も切れるだろう。


「待って…」

ナコに呼び止められ、必死に刀を振っていた牛は手を止めた。


「あたしは、ずっとここに閉じ込められてた、だから、あいつらの話をずっと聞いていた」


牛にはナコが何を言おうとしてるのかわからない、まずは何よりこの鎖から解放することが先だろう。


「その奥の部屋、あいつらのボス、マザーがいる」


ナコの目線の先にあるドアを見つめ、牛は生唾を飲んだ。


ナコをさらい監禁していた人形達のボス。人形達が二言目には口にしていたマザーがそのドアの先にいる。

牛は怒りに刀を握る手が震えた。


「姿を直接見たわけじゃないけど、あの羽のついた人形がその部屋に入ったあと、いつもマザー様って奴に話しかけていた。そいつを人質に取れば、敵はもう好き勝手できないはずだ。リサさん達が今戦っているんだろ?」


確かにそのとおりだと思った。ナコの手錠を砕いたところで、まだ敵は外にいる。監禁されマナを吸い出されて疲弊したナコが手助けに回っても何もできない。隣の部屋にいるという敵のボスを人質にできれば外のアドラ達も有利に戦えるだろう。牛は、早くナコを休ませてあげたい気持ちをこらえて、そのドアの方に向かった。


右手に刀をもち、左手をドアノブに手を伸ばすが、牛の背では届かない。ジャンプして掴んだ。

ドアノブが傾き、ドアが内側に開いていく。軋む音がする。


牛は自分を作った存在がこの先にいる敵であることを意識して、言いようのない不安を感じた。


扉が開ききった。まだ敵は見えない。

一歩足を踏み入れて部屋の中をのぞき見るとベットがあり、そこに誰か寝ている。他に人影はないことからして、あれがマザーであろう。


牛はジャンプしてベットの枕元に着地。すぐさま刀を構え、寝ている人を見た。










「あいつ、あんな感じだったか?」

ぬいぐるみ兵の攻撃をいなし反撃を入れた後で、マーがアリスに問いかけた。


「持っている棒も太くなってますし、それ以前に、確かに、様子がおかしいですね」


「殺す‥殺す‥」

バティスト・リュリはしきりにつぶやいては棒を地面につく。その目はひたすらにマーを見つめていた。先ほどアドラ達小隊を追い詰めたリュリはどちらかといえば饒舌で、嫌みなセリフを吐いてきたりしたが、今はまさに敵を倒すことしか考えていないという感じだ。


「あちらのおこのさん達が戦っている敵も、以前は美しさがどうどか言ってましたけど、今は不格好にタックルしてますし…少し気になりますね」

リサが敵を倒しつつ話した。


アドラが大剣を縦に振る、オクールは風魔法をつかった高速移動で避けると、すかさず背後から氷魔法を飛ばして反撃。

これをアドラは氷もろともオクールを大剣でふっ飛ばした。


宙をまったオクールの体は受け身をとれず、羽が地面を数メートルこすれて止まった。


速い‥‥この男‥‥依然戦った時とはまるで別人ではないか…


空を見上げるオクールの視界に、アドラの振り下ろされようとする刀が入った。


刀を振り下ろされると豪快な音が上がり、土煙が辺りを舞う。


「なあ、お前らの仲間はいったい何があった。そもそもお前らは何者だ?」


「それを教えるメリットが私にあるものですかねぇ?」

土煙の外でたたずむオクールはそう答えた。彼の右翼はアドラの一撃で半分ちぎれてしまっている。


人間ごときが‥‥


オクールの口調はいつも通りのものだったが、かつてないほどに鋭い眼光でアドラをにらみつけていた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ