×仲直り
あのサーカスの子に今更合うことになるなんて、正直突然殴ってしまったナコの気持ちもわかります。………いやいけません、いくらナコが苦しめられたことだからって、突然殴ったことは別です、謝らせなければ…
…でもそれ以前に急に昔のことを思い出してナコは大丈夫でしょうか
日が落ちて暗い草原を駆け抜けながら牛の頭は心配と自分の責務に気持ちが定まらないでいた。
そしていつものあの家につくと、家からも明かりはついていなかった。
ここまで来てナコは別の場所にいったのかと、他に行ったことのある場所を振り返りながらドアを開けると、そこには暗闇の中で床に座ってまるまっている背中があった。
部屋の灯りをつけるとナコが泣いているのがわかった
「ナコ………」
なんと声をかけていいのか、牛が叱るべきか慰めるべきか迷っていると、ナコは鼻水をすすりながら話し始めた
「あたしどうしよう………ぐすん…フーシ…親父さん死んじゃったって言ってた、あいつきっと辛いときなのに、絶対不安になってるのに、あたし殴っちまった、……ぐすん……」
牛は少し驚いて、それからナコの背中をさすった
「フーシ君は強い男の子ですから、きっと大丈夫ですよ。でも明日謝りに行きましょうね」
「……………うん」
かつて自分を孤独にするきっかけを作った彼のために泣ける、そんな風に育っていたことが牛には予想外で嬉しかった
次の日、朝ギルドに行くと昨日の宴会していたところにアドラとリサ、そしてフーシがいた。
入ってきてフーシに近づいていくナコを心配するように、リサは手を胸の前で握っている。
「昨日は昔のことで急に殴って悪かった、このとおりだ」
機能の夜までは泣きじゃくっていたナコであったが、朝にはすっかり落ち着いてた。
頭を下げるナコの隣で牛がフーシを見上げるると彼の頬はまだかなり腫れていた。しかし彼の顔は爽やかなものだった。
「いやいいんだよナコ、頭を上げてくれ」
ナコが直ると、フーシは茶髪の頭をかきながら微笑んで話し始めた。
「俺こそごめん、実はあの時日にちを間違えちゃったことはずっと気にしてたんだ、サーカスは移動式だけどこの街にはあれ以来いけなかったし、ずっと謝りたかったんだけど俺一人で行くわけにもいかなくてさ、むしろ殴ってもらって気が楽になったぐらいだよ」
「いや、でも親父さんのこととか…」
「それももう整理ついてるから、ナコは心配しないで」
ナコが頷くとリサと牛は安堵の表情を浮かべた。
「よっし、それじゃあ新メンバー同士これから頑張ってな!」
話がまとまっていく中で、牛はフーシの昨日との表情の違いに覚えた違和感や、ただ日にちを間違えたという回答に対する懐疑心を表には出さず、心にしまいこんで忘れた。
それはナコの友達を疑うことを嫌ったからだった。




