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第4話 相談

「実はね、二人に相談があるの……」


温かい紅茶を一口含んだあと、私は意を決して切り出した。


普段の私は、大学に行くときには猫耳カチューシャを外している。あのお守りを身につけていないと、どうしても生来の引っ込み思案な性格が出てしまい、周りの目を気にして自分から人に話しかけることすら出来ないのだ。


「プライベートなら平気なんだけど、大学で猫耳をつける勇気はさすがになくて。でも、このままじゃダメだな、変わりたいなって思ってて……」


俯きがちに打ち明けると、お兄ちゃんとお義姉さんは顔を見合わせ、包み込むような優しい笑みを浮かべた。


お兄ちゃんは温かい手で私の頭をポンポンと撫ででこう言った。

「そっか。でもね、詩織。あのお守りは、勇気を出す【きっかけ】でしかないんだよ。本当に優しいのも、勇気を出してお散歩に出たのも、全部詩織自身の力なんだから」


続いてお義姉さんが、自分のカチューシャを鞄から出して机の上に置き、いたずらっぽく微笑んだ。

「そうよ。カチューシャは魔法の道具じゃなくて、自信を思い出すための目印なの。どうしても勇気が出ない日は、見えない猫耳を頭に乗せているのをイメージしてみて!今の私は、あの可愛い猫耳をつけているんだから大丈夫って」


お義姉さんは私の手をそっと握りしめ、「それにね、どうしてもダメな日は、大学が終わったあとに私たちがいくらでも本物の猫耳をつけに飛んで行ってあげる!」と付け加えた。


お兄ちゃんも「うん、僕も付き合うよ」と笑う。


二人の言葉が、じんわりと心に沁み込んでいく。カチューシャを外していても、私の中にはちゃんと、家族がくれたあの温かな魔法が残っているんだ。


「うん、明日から、小さく見えない猫耳をつけて頑張ってみるね」


私が笑顔でうなづくと、窓の外で桜の花びらが舞い、二人も嬉しそうにうなづいてくれた。


一歩ずつでいい。私のゆるゆるな日常は、少しづつ新しい明日へ向かってて動き出していく。




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