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第9話 ささやかな波紋

地域イベントでの成功を経て、【猫耳同好会】はすっかり名物サークルとして知られるようになっていた。


新メンバーも増え、放課後の部室はいつも賑やかだ。かつては人目を避けるように過ごしてきた私が、今では「東条会長!」と後輩たちから慕われているのだから、人生は本当にわからない。


そんなある日の放課後。部室でイベントの反省会を終えたあと、春日さんがふと思い出したように1通の封筒を取り出した。


「東条さん、これ。大学の国際交流センターから届いていたよ」


「国際交流センター……?」


封筒を開けてみると、そこには『留学生歓迎 和文化フェスティバルへの協力依頼』と書かれていた。日本の『ポップカルチャー』と『伝統的な和の装い』を融合させた存在として、【猫耳同好会】にメインステージでのファッションショーと、ワークショップの企画をお願いしたいという内容だった。


「すごいじゃない、東条さん!海外の人にもこの魔法を届けるチャンスだよ!」


春日さんは目を輝かせるけど、私は思わず息をのんだ。


(ステージでファッションショー……!?)


いくら【見えない猫耳】で勇気が出せるようになったとはいえ、大勢の観客の前に立ち、さらには言葉も文化も違う海外の留学生と交流するなんて、昔の自分からは想像もつかない大役だ。


でも、頭の上のカチューシャに触れると、不思議とやってみたいという小さなワクワクが芽生えていることにも気づく。


「……うん、やってみようか!お兄ちゃんやお義姉さんにも知恵を借りなきゃ」


私がそう答えると、部室にいたみんなから「おー!」と歓声が上がった。


その日の帰り道、夕暮れどきの川沿いを歩きながら、私はスマホを取り出した。お兄ちゃんとお義姉さんとのグループメッセージに「また新しい挑戦が増えちゃった」と送ると、すぐに二人から「楽しそうだね!全力でサポートするよ」と返信が届く。


一歩踏み出すたびに、世界はどんどん広がっていく。少しの緊張と、たくさんの楽しみを胸に抱えて、私のゆるゆるで刺激的な日常は、次のステージへと向かい始めていた。


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