↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
36/46

第二十九章 【遠い冷たさ】

 私の周りには、優しい人たちばかり。


「──伯爵代行を立てます。どうか、閣下はご静養ください」


 けれど今は、その真綿のような優しさが、私の首を絞めていく。


「──あなたがおられずとも回せています。どうか、ご体調を戻すことに専念なさってください」


 “これは罰だ”と言われたほうが……悪意のほうが、よほど耐えられた。


 優しさは、拒めない形をしていた。


 治癒院の指揮からも、伯爵としての決裁権も一時的に外された。

 どこへ向かおうと、休んでいてください、と返される。


 どこか距離のある世界が、削がれていく。


 私は今──“何”として、今ここにいればよいのか、わからない。


 雪よ。

 父の、弟の亡骸を抱く雪よ。


 私の心を閉じていくおまえの冷たさも、もう、遠い。




 第二十九章 了

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。