第四話 ゲームじゃない
「魔物に勘づかれましたね。」
「えっ。」
「サミさんそっと二人を起こしてください。さっきから索敵魔法が飛んできてます。
こんな隠すそぶりも見せないものは大型の魔物、それも強いですよ。」
「逃げますか。」
「無理ですね。もう標的にされています。」
「二人を起こしたら開けた場所に向かいましょう。迎え撃ちます。いきますよ。」
ーーー目をこすりながら先生についていく
「この森にそんな恐ろしい魔物がいるんですか?」
「城から近いですし脅威といえるようなものはいないはずなんです。いたとしてもブラックグリズリー、ランクFなんです。」
「なら私たちでも、、、」
「ブラックグリズリーは索敵魔法なんて使わないんです。そもそもブラックグリズリー以上の魔物がいていいはずがない!ですから気を付けてください。私たちが手に負えない相手なら3人で逃げてください。私はあくまで護衛ですから。」
「そんな、、」
早まる歩くスピードの中で、先生の顔がどんどん険しくなっていく
これも試験なのでは?
と聞いてきたスミレは手が小刻みに震えていた
森は暗すぎる
前がよく見えない
ケぷ
何の音だと考える暇もなく先生が吹き飛んだ
黒い光沢のある装甲が月明りを反射して怪しく光っていた。
「ガハっ、、、、」
先生が激しく木に叩きつけられ吐血している
そしてうごめく黒いものが先生のほうへ近づいて行っている
何が何だかわからない
なんで俺らは無事なんだ
あれは何?死ぬ
どうすれば助かる
ただ立ち尽くしていた
暗闇の森が一か所だけ光る
「〜集え、この掌に、ゆらめく赤の灯火よ、燃えて我が道を切り開かん!フレイム!!〜」
放ったのはスミレだった
この目ではしっかり着弾したのが見えた
苦しむでもなく痛がるのでもなくただ黒いものがこちらを見た
大型トラックほどのでかいムカデだ
とんだ勘違いをしていた
このまま勇者とやらになって
仲間と協力し各地をまわって
魔王を撃ち倒し順風満帆に世界が回るのだと
そして抜けずにいた悲現実感
それが血の気と同じく
引いていった
死んでしまう
そう思った
目の前に迫る顎
にめがけて買った短剣を刺す
体が動いた
しかし顎を傷つけるだけで俺の腕にはデカい切り傷が
痛ってぇ
ただ
ただ、この状況に燃えている自分がいる
アドレナリンが出すぎている
これだ
これこそが刺激だ
「スミレ!!水弾をあいつにぶつけてほしい!!雷魔術で一か八かやってみる!!!!」
「わかった!!サミちゃん先生のことお願い!!」
スミレが詠唱している間、木を遮蔽物にしてどうにかムカデを引き付ける
でも俺のほうに来なくなった
今度はスミレのほうに向かっている
そうか、魔力量か
走りながら必死に詠唱を始める
「水よ、、静寂なる雫よ、、、、、我が声に集まり恵みと共に、、、、」
ムカデがこちらを見て止まった
「水弾!!!!」
スミレの水弾はムカデの頭部に当たった
へこみはしたが少し退くだけで次は俺のほうに向かってくる
「水よ、静寂なる雫よ、、我が声に集まり恵みと共に、、」
やはりムカデは魔術が発生するとき気を取られる
交互に水魔法を撃って少しでもムカデを濡らし続ける
よし いける
「コウ!!いけるよ!!私はあと二発撃てる!!」
ムカデがあらぬ方向を向いた
え
いきなり方向転換したせいで飛び散った石がスミレに当たってしまった。
しかし今度は倒れたスミレのほうにゆっくりと向かって行く
「集え、この掌に、ゆらめく赤の灯火よ!!」
おかしい、今度はこっちを見ない
魔力量なら俺のほうが絶対大きい
どうして
どうして
もうだめだ仕掛けるしかない
スミレのもとに駆け出すと同時に叫ぶ
「青く紫電、収束せよ!轟く雷鳴を我が目の前に落としたまえ!」
かばう形でムカデと倒れたスミレの間に割って入る
が、遅かった
霧状の何かがムカデの口から噴射されてまともに食らってしまった
仕留めようとしていたのではない
スミレを捕食する気だった
頬がぴりついて足にだんだん力が入らなくなってくる
もう立ってられない
せめて、、
「雷気、、、」
青白い電光が俺とムカデを繋ぐ
ぼやける意識の中でムカデが倒れるのが見えた
だが痙攣している
ダメだったか、、
「ーーーーーーーーーーー」
先生の声がする
「フレイマ!!!」
少し暖かかった




