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野獣街道 6

                                   ・



[ オイテカナイデ ]

[ ツレテイッテ ]

[ マスタァァ ]


 聞き間違いではない。 確かに狼達が喋っている。

古龍や神獣のような厳かさは欠片も無いし、知性もそれ程感じられない。

身体は立派な成獣であるのに声色はまるで幼児のようだ。

・・・いや、それにしても。



「ごめんごめん」

私は思わず狼達に謝ってしまっていた。


「…まさか附いて来るとは思わなかったんだよ」

制圧し無力化してからは敵意のような物は感じ無くなっていたし、

嘗てリアルで親しんでいた犬達に感じていた様な思いが湧きかけたのは事実だ。

だが、まさか私の "疾走" 1クールを追って来るとは思わなかった。


[ タスケテクレタ ]

[ オンジンダカラ ]

[ ケライナリタイ ]


( 家来? )

三匹が口々に訴えて来る言葉に頭が混乱する。

( つい先程 "マスター" という語を耳にして ) 

先の戦闘で私が何らかの条件をクリアし彼等が従魔化したのかとも思ったが

どうも違うようだ。

自分達を従魔にして欲しいとアピールして来ている。

( 狼は魔獣ではなく野獣であるから "僕獣"というのが適切かもしれない )

それにしても徒手とはいえ一度は叩き伏せられた相手を恩人呼ばわりとは。

聊か大袈裟に過ぎるのではないだろうか。

( 経験値の為に殺されるのが彼等の常である事を思えばそうでもないのか )



「別に構わないよ。 というか仲間になってくれ」

特に迷う事も無く私は即答していた。

そもそもがFQ(VRゲーム)である。

『家来にしてくれ』 と請われて断る選択肢は無いだろう。


 もう実世界でペットを愛でる事は出来ない身だ。

犬替わりと言っては何だが三匹の狼達が連れになってくれるなら願ったりだ。



[ ヤッタ~ ]

[ ウレシイ ]

[ マスタ~ ]


 狼達が喜んでいる。 

これで彼等は私の僕獣になったのだろうか?

システムのアナウンスや視覚効果的なギミックは特に無かった。

それらを期待した訳ではない。 

狼達のステータスを確認してみたいという気持ちも然程強くなかった。

彼等に囲まれて過ごす和やかなこの状況が只嬉しかった。



( こちらの世界(デルモニア)にも知り合いが増えて来たな )



 道標(マウンド)の傍らで私は目的地(コスタ・ブランカ)へと急いでいたことを暫し忘れていた。








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