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拳神の使命

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 レベルを上げ装備やスキルを獲得してより強力な魔獣に挑む。

それがFCに於ける通常のプレイヤ―達の目的であると言えるだろう。

当初からそれとは異なる行動様式を採って来た私だが、今振り返っても

FC世界(デルモニア)での過ごし方としては決して悪くなかったと思える。

いや、これが正解だったとすら言い切ってしまっても良いくらいだ。


 私はKFでは頂点にまで上り詰めた、 そしてそれを維持している。

だが"拳神"となることがKFの唯一の正解なのかと言えばそうでもない。

KFを楽しんでいるプレイヤーは全て正解を得ていると解釈すべきだろう。

攻略に至適解はあれどプレイスタイルに正解など無いのだ。




「さあ行こうか」

登りゆく太陽に向かって私は走り出した。

身体機能や知覚認識機能を失った人々が集うという地に到達する為に。

そのような人々が五体満足で五感を取り戻せるVR環境、

それが当たり前となる時を一日でも早める僅かな一助になれるかもしれない。


 全力でダッシュした。 "疾駆" が起動する。

路面は荒れているものの街道は険しい大地の上に明確に視認できた。

朝日に照らされた道を駆けていると心まで晴れやかになっていくように感じる。

自分が目的に向かって近付いているように思えるのだ。


 西南諸国連合の街道で魔獣達との戦闘に巻き込まれて得た"疾駆"だが、

帝国領西側手前の峠で盗賊に襲われて復活後の転位(行脚)の為に道標(マウンド)まで走った後は

昨夕にスベニールの街から東部国境要塞まで走り通しただけだ。

それでも優に百回以上はスキルを使用した為か速度が若干上がったようだ。

スキル持続時間もいくらか長くなっているように感じる。

のんびりと徒歩で旅して来た私だが、スベニールの市場で鑑定士の話を聞き障碍者向けVR環境の可能性を意識するようになってからはコスタ・ブランカにあるというコミュニティに早く着こうと気が急いているのを自覚している。


 勿論私自身に係る問題である訳だが、希望や期待が沸き上がるのは当然ながら

それと共に自分の胸中に"使命感"の如き感情も生まれて来ているのを感じるのだ。



 私は既にそれをゲームタイトルでもある『Final Quest』として認識していた。






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