帝国を後に
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VRでの就寝がリアルでの覚醒と入れ替わる狭間の一時。
FQをプレイして来たが建物内に入るのは私にとっては初めての体験だった。
( ログインや復活ポイントでもある聖堂は除く )
デルモニアという世界のリアリティがぐっと増した様に感じられる。
これまで巡って来た街々の建物全てにも内部設定がされていたのか。
城や寺院や住居が外観だけで無く内側まで作り込まれている事が確認できた。
人間には物理的に困難な作業量かもしれないが生成AIには容易いのだろう。
街や村は只の書割でも張りぼてでも無かった。
「有難う。よく眠れました」
現地時間の翌朝 同じ寝所に再ログインした私は部屋を出て兵士に声を掛けた。
「それは良かった。 気を付けて良い旅を」
主洞に立っていたのは昨夜と違う兵士だったが愛想良く返事をしてくれた。
砦の両側壁に二重に備わる主門の扉は既に解放されている。
天気は快晴だ。
東側のゲートから差し込む朝日が眩しい。
( ・・・良い国だったな )
東ゲートを出た私は要塞を振り返って暫し感慨に耽った。
西ゲートの向こうに麦帆の海、黄金の地平線が拡がっているのが見える。
帝国領は豊かで平和な土地だった。
長い旅路ではあったが、途上で賊や魔獣に襲われる事も無かった。
対してこれから私が向かう東側の大地は人の干渉を拒んでいるように感じる。
地形も植生も荒々しい、というか野性的な印象だ。
街道も帝国領内のそれと比べると比較にならない程に荒れている。
路を少しでも外れたら直ぐにでも野獣の襲撃を受けそうな感じがする。
魔獣の出現率もかなり高くなるらしい。
国境砦の東側には小さな集落すら存在しない無人の領域が拡がっている。
名目上は隣国の領土となってはいるものの領主や領民などは存在しない。
此処から最寄りの都市までは国を一つ越える程の距離が隔てているのだ。
"右回り"の大陸周回コースを採る者達はその街で馬か馬車を借りるのが一般的だ。
私のような"左回り"の周回者はスベニールで調達する。
( 国境砦には馬や馬車を提供してくれる業者はいない )
宿泊所のベッドで就寝してから起床するまでの短い間に私は調べてみたのだ。
これから私が辿るコスタ・ブランカまでの道程を。
そして昨夜私が過ごした帝国の国境要塞について。
スクショの存在しないFQだが、忠実に要塞の外観を描いたイラストは存在した。
要塞を貫通する主洞を描いた画像も公開されていた。
だが、要塞内部が描かれた絵は見つけることが出来なかった。
宿泊室は勿論、主洞から扉一つ入った廊下の画像すら一枚も、だ。
それどころか 『国境要塞に宿泊した』 という記述が見出せなかった。
私の昨夜の体験は非常に稀少で特異なものだったのかもしれない。
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