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より速く

                                   ・



「お前達はやっぱり走るのが速いな~」


 狼達を撫でながら語りかける。

スキルを得て並みの人間を遥かに凌ぐスピードで走れる様になったものの

健常な状態の狼達は楽々とそれに随走して来ていた。

今は仲間となっているから良いが、狼に襲われたら逃げ切るのは難しいようだ。


[ マエヨリハヤクナッタ ]

[ ますたーオイカケタラ ]

[ ますたースゴクハヤイ ]


 狼達が応えてくれた。 

昨日私を追って来た事で速く走れるようになった、と言っているのか?

元々が速く奔れる狼だがダメージを負った状態で私を追って来てくれた。

全力を振り絞ったのだろう。

私がオーガと闘った時に"疾走(スキル)" を得たのと同じ状況だ。


( 獣もスキルを得ることが出来るのか )

脳裏に考えが浮かぶ。

だとすればこれは新しい知見だろう。

仲間となった獣を強化する事もできるかもしれない。

或いはそれを念頭に置いて従魔や僕獣に付与された仕様だとも考えられる。



「皆はもっと速くなれるかもしれないぞ」

気付くと思わず口に出していた。


[ マズますたーガハヤクナル ]

[ ソノますたーヲオイカケル ]

[ ソレデボクラモハヤクナル ]


 狼達が即座に言葉を返して来た。

彼等は自身がスキルを得た事を自覚しているようだった。

私に『速くなれ』、と口々に言って来た。

私の疾駆スキルはLv2だが同じスキルを得たばかりの彼等の方が速い。

全力で走る私の周りを余裕満々で取り巻いていたからな。

私を置いて行ってしまう事はできない彼等は現状ではスキルアップできない。

彼等が全力疾走せねば付いて来れない程まで私が速くなる必要がある。


( これは中々難儀な事だな )

私は内心で呟いた。

相当な気合いを入れて駆け続けなければならない。

目的地へと急ぐ旅の途上なのだからそれは良いと言えば良いのだが。


 私がスキルを上げ続けても最終的には狼達の方が速くなる理屈だ。

だが主となったからには彼等の能力を少しでもアップしてやりたいとも思う。


( ・・ここは頑張るしかないか! )


 覚悟を決めて立ち上がろうとした時だった。



[ [ [ テキ ! ] ] ]


 叫びとと共に狼達が先んじて一斉に体を起こしていた。










                                   ・

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