旅は道連れ
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「皆、出て来~い」
翌日マウンドにログインした私は狼達を呼び出した。
魔導士というジョブを取り損ねた理由が分かったが残念には思っていない。
被服装備の問題であるのなら後程どうとでもできるからだ。
"拳闘士" というジョブも恐らく専用の装備が必要になるのだろう。
何方も現在のこの状況で必要なものではない。
目的地へ辿り着こうとしている今は。
[ [ [ わぅわぅ ] ] ]
目前に現れた狼達が揃って尻尾を振っている。
「これからずっと走るから。 付いて来て」
私がそう告げると狼達は頷いた。
よし。
今日は距離を稼いでやろう。
私は "疾駆" を発動し東へ向かって走り出した。
前方の風景が左右に分かれて後方へ流れ去って行く。
スキルが効いている時の私の速度はマラソンや駅伝のランナーの比ではない。
私の家は箱根駅伝三区コースの至近にあり正月は沿道で応援するのが常だった。
目の前を走り過ぎる一流アスリート達のスピードには感心させられたものだが
今の私なら区間賞どころか短距離スプリントでも金メダルを獲れるだろう。
その私に狼達はしっかり追走して来ていた。
いや、時には私の隣に並んだり先導するかの如く手前を走ったりもしている。
元より人間を遥かに凌ぐスピードを持つ彼等だが高い持久力も備えているのだ。
伴走相手としては申し分ないと言えるだろう。
「よし、ちょっと休もうか」
”疾走”のスキルが切れるインターバルはジョギング程の速度で進んでいたが
丁度小高い丘の頂上でインターバルに入ったので休憩を取ることにした。
[ [ [ わぅわぅ ] ] ]
狼達が周りに集まって来る。
傍目には長閑で和やかなシーンに見える事だろう。
此方の世界での日の出時刻にログインしたのだが既に日は高く昇っている。
とは言ってもFQでの一日はリアルでは48分だ。
私が此処まで走っていた時間は10分かそこらに過ぎない。
速度はともかくマラソンや駅伝ランナーの精神力には頭が下がる。
FQの特性上、給水や食事は必要ない( 餓えや渇水で死ぬ事はない )のだが
メンタル的にどうしても休憩は入れたくなってしまうのだ。
「・・本当に此処辺は何も無いな」
周囲を見回して思わず独り言ちる。
四方全て乾いた荒れ地が拡がっているだけだ。
建造物は勿論、灌木がまばらに散見されるだけで河川や森林も見当たらない。
地表の半分程は巨岩が露出している。 正に"殺風景" そのものだ。
越し方西方を眺めてみたが帝国の国境要塞は既に地平の彼方に隠れていた。
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