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FQの常識

                                   ・



 剣術や弓術は特に自分で調べたりせずとも習得する事ができた。

狼達は特に意図せずとも私の僕獣となり、テイムのスキルも身に付いていた。

だが長らく疑問のままだった "魔法"は一般プレイヤーには周知の事項だった。

ほぼ常識と言って良い程の。

何が当たり前で何が特別なのかはプレイヤーによって異なるのかもしれない。


 各ギルドが支給する初期装備のスペックをオフィシャルは公表していない。

数多のプレイヤーが一つ一つ装着時のステータスをチェックした上でスキルを使用して検証・解析を重ねた情報が日々集積されているのだ。


 魔法についての情報はそれだけ一般プレイヤーの関心が高いのだと言える。

それでも魔導士のジョブに就く者は剣士や弓術士と比べると圧倒的に少ない。

あまりにも防御力が低い為に戦闘時の死亡率が非常に高いからだ。

FQが公開された当初は剣術や弓術とそれ程遜色ない志望者がいたらしいが

ソロでのLvアップが困難であることが周知されるとその数は激減して行った。

確かに魔術(スペル)の威力は凄まじい。

高位呪文の威力は剣や弓のそれとは比較にならない。

強力な魔導士は高Lv魔獣の討伐や大規模戦闘の帰趨を左右し得る存在だ。

だがそのような位階に至るのは非常に困難であるのが現実だった。


『魔導士は明確なビジョンを持つパーティが計画的に育てるもの』

というのが最近の認識らしい。



 だがそれを知った私の感想は別の物だった。


( なんだ。 衣装を替えれば良かったのか )


 私は内心で自身の軽挙妄動を呪った。

私の手元には魔導士の衣装は既に無くなっている。

漠然と 『ジョブを決定するのは武器』 と思い込んでいたからだ。

殆ど防御効果の無さそうなケープやマントは真っ先に売り払ってしまった。                

( 実際 "防具"という観点からみればその通りだった訳だが )



 私は意図せずに狼達を僕獣としテイムのスキルを得る事が出来たが

その一方で軽々しい思い込みから魔導士になり損ねてしまっていたのだった。








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