290.ノルマ達成からの緊急依頼
最初の会敵から十数分後、トレントとの戦いを何度か経た俺たちは、ノルマ以上にトレントの特大丸太を集めることに成功。まだまだSTに余裕のある西の森チームは、余った分で柵用の木材を集めていた
「【2本切り】、【2本切り】!……ふぅ、こっちはこれで終わりや」
「あっ、私もです。それじゃあ空っぽ組はトレントにだけ注意して固まりましょうか」
「じゃあ、あっこの木陰で待機するっす」
俺とアマネ・セキライの3人は安全な場所まで移動し、他のメンバーの伐採作業が終わるまで雑談を交わしながら待つ。
「ST使い切っちゃったけど、この後の開拓用に残しとかんでええの?」
「そこは大丈夫じゃないっすか?閉門まで5時間はあるし、最悪ポーションを使えば良いだけっすよ」
「それに20人もいたら1人はキャラレベル上がりますよね」
「まあな〜。ところで話変わるけど、STばっかり使ってMP使う作業ないよな。【心眼(序)】で回復しっぱなしやのに勿体なくない?」
「確かにマロンみたいな魔法ジョブ以外はMP使わないっすもんね」
「でもウチはクランの方針上、全員が【魔力付与】のスキル持ってるっす。空いた時間に、魔力電池の充電系の依頼でも受けるってのはどうっすか?」
「……BGP稼ぎたいし、それもアリか」
STが残っているメンバーがアーツを打ちまくっている中、今後の行動や問題点について話し合う。だが、そんな悩みはあっさりと解決する事となる。
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「ごめん、ソーイチ君!拠点作成の依頼中に悪いんだけど、手の空いてる時にノア・タイムスに出向してくれない?」
資源集めの結果報告に冒険者ギルドに戻った俺に対して、リリーから申し訳なさそうに頭を下げられる。
「ノア・タイムス?……もしかして号外関係ですか?」
「そう!さっきの転移関連の発表の一部をノア・タイムスに委託することになってね。ただ、新聞は同じ規格のものを配る必要があるから、【スキャン】持ちのソーイチ君に白羽の矢が立ったのよ」
「確かに大量印刷できるのは、この場では俺だけですしね」
「お願い!ポーションもある程度は融通するし、ポイントもいっぱいつけるから!」
(よっしゃ、緊急依頼&MPの使い道ゲット!……ただ、俺1人だけってのも芸がないよな。それなら……)
切羽詰まっているのか、必死に頼むリリーと話しながら、頭の中でより良い条件がないか考える。
「それなら喜んで依頼の受注させてもらいます」
「あ、ありがとう!助かるよ!」
「どういたしまして。それより、今回の依頼って他に声かけてる人います?」
「いや、君だけなんだけど、誰か推薦したい人いるの?」
「クランに何人か【司書】系ジョブ持ちいるんで、手伝ってもらうのもアリかな〜って」
「ふむふむ……【スキャン】なしでも簡単なビラなら手書きで書き写せるし、それを【コピー】していくのはアリだね。……うん、許可をもらう必要はあるけど、参加は可能だと思うよ」
「やった!拠点作成ってMP全然使わないんで助かります!」
「ははは、確かに【開拓】も【拠点作成】もST系アーツだもんね。それじゃあ上に許可もらう時、その点もアピールしておくね」
笑いながら俺のアイデアを受け入れたリリーは、ここで話を切り上げて会議室から退室。結果がわかるまでの間、俺は今の会話をクランコールへ投下し、参加者を募っていった。
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あれから数分後、無事にビラ作成の依頼も受注成功。【スキャン】無し組は冒険者ギルドに止まり、俺はノア・タイムスへと向かった。
「大事な依頼をこなしている中、急に呼び出してすまないね」
「そもそも発見したのがウチなんで、気にせんでいいですよ」
「そう言ってくれると助かるよ。まあ、冒険と生産のギルドポイントは弾んでいいと許可も貰ったし、その点は期待しておいてくれ」
「おお〜!ランクアップ近いんですマジで助かります!ということで、早速お仕事するわ」
「あっ、待って。まずはサインだけお願い」
そう言ってルーカスは一枚の依頼書を俺の前に差し出す。
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【号外の大量印刷】
指定された記事の複製を作成する(上限2,000枚)
※【初級MPポーション】100枚当たり1本支給
必要技能:【スキャン】【メモLv10】
推奨技能:【スキャンLv3以上】【瞑想】【待機】
【報酬】(100枚当たり) 100AGP 100CGP 支給したポーションの余り
【期限】本日の18時まで
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「数日前に受けた印刷の量産と、条件は同じなんですね」
「数日前?……ああ、ソーイチ君の記事が初めて掲載された時の依頼だね。あの時も修羅場だったよね〜」
「あれはしんどかった。しかもルーカスの陰謀で【社畜】の称号取らされたし」
「ははは、そうだったね。でも、役立っているだろ?」
「そうやけど……」
依頼書にサインをしながら、少しだけ雑談を楽しむ。
「ふぅ〜。サイン書き終わったから、確認お願い」
「……うん、確認したよ。それじゃあ、いつもの作業部屋に色々と準備してるから、早速取り組んでくれたまえ」
「オーケー。それじゃあ行ってくるわ」
ルーカスと別れた俺は、通い慣れた道のりを早歩きで進み、作業部屋へ入室。そして要約新聞の量産に使用していたところに座る。
「依頼書よし!デュアルグローブの装備よし!ポーションよし!キャラレベル上がるまでの経験値の確認よし!」
そして、あえて声に出して作業前のチェックを行った俺は、依頼書に片手を当て、満足気に頷く。
「それじゃあ行きますか……【スキャン】、そして【5枚刷り】」
そして2種類のアーツを繰り出した俺は依頼通り、号外新聞の束を量産していった。
次回は明日か明後日の午前6時に更新予定です。
※追記 急なトラブルで更新を少し延期させて頂きますm(_ _)m
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