274.全ての転移ポイント開放⑨眼の成長とバテない理由と広がる選択
(よし、これで決まり!)
休憩時間が終わる少し前。いくつかのパターンの中から俺が次に向けて選んだ構成は、メインジョブに【文武両道】、サブジョブに【付与魔術師】。これは手持ちジョブの中で、戦闘での経験値が一番多くなる組み合わせだったりする。
(走りっぱなしとはいえ目的地にたどり着くまで、敵との遭遇が結構あったしな。戦略的に上げないとあかんジョブもないし、今回は経験値補正重視の構成で間違いないやろ)
自分の考えた組み合わせに頷いていると、ユサタクが大きな声で話しかけてきた。
「お〜い、ソーイチ。そろそろ出発時間だ。行く前に簡単なミーティングもしたいし、こっちに来てくれ」
「オッケー。最後に回復した分使い切ってから、そっちに向かうわ」
ジョブ編成を考えている間に回復した分を消費するため、畑に向かい3度アーツを放つ。その瞬間、
ースキル【心眼(序)】のレベルが上限に達しましたー
ー称号【始まりの開眼者】取得しました。報酬としてMPが20ポイント上昇しますー
と、スキル上限&新しい称号獲得を告げるシステムアナウンスが立て続けに流れた。
(うぉっ、新称号ゲット!!MPが20も上がるの美味すぎるやろ……ただ、今回はワールドアナウンスは流れんかったな)
レアスキルなので高確率でPPを獲得できると思っていたのだが、ワールドアナウンスの片鱗すらない事に首を傾げる。そんな理由で少しの間フリーズしていたのだが、集合を呼びかけていたユサタクが、急に固まった俺に対して不思議そうな声色で話しかけてきた。
「うん?いきなり立ち止まってどうしたんだ?」
「いやぁ〜。たった今【心眼(序)】がマックスまで上がって、新称号ゲットしたんよ。だけどワールドアナウンスが流れへんかったのが少し不思議でな」
「そりゃ俺がとっくにゲットしてるからな。というか、こっちは隠してないからソーイチが見逃したんだろ」
「う〜ん、共有フォルダに目を通したんは、ログイン前の30分だけやし、そうかもしれん……」
自分ではしっかりと確認したつもりだったのだが、少々甘かったようだ。だが、よくよく考えてみると、俺は休養に入る前の時点で【心眼(序)】のスキルレベルは9だったのだ。ほぼ同じタイミングで獲得したユサタクがその間に最速で取得したのには納得できた。
「俺がゲット出来んかったんは残念やけど、チーム内で取れたんならええか」
「クランの方もレースの対象だからな。それよりみんな集まってきたしミーティングするぞ」
「あ、ごめん。すぐ行くわ」
急なイベント発生で駄弁ってしまったが、今は出発直前。俺は慌ててみんなが集まる場所に急いで向かった。
「よし、みんな集まったな。それではソーイチとアマネ以外は既に経験済みだと思うが、次の転移ポイント開放について改めて説明するぞ」
「「「「「はい」」」」」
「次の目的地である西側は平坦な道が多く、騎獣での移動がメインとなる。よって騎獣を長時間運用するために、ソーイチ以外はテイマー系ジョブのセットが必須なんだが……もちろんセット済みだよな?」
事前にわかっていたのか、ユサタクの問いかけに全員が頷く。
「よし。それじゃあ最初は騎獣に不向きな【ノアの西部の森】に転移し、2ヶ所開放。その後平原フィールドのポイントを順次開放していく。アマネとソーイチは、しんどいとは思うが、最初のマラソンは頑張ってくれ」
「「……はい」」
「今回は山道ではないんで少しは楽ですよ〜」
「……その分ペース早いし休憩も少ないんやろ?」
「あはは……」
再びくたびれそうな予感にげんなりする俺たちを慰めてくれるフワフワ。だが思わず出てしまったツッコミには、彼女も苦笑いで返すしかなかった。
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「今回はさっきよりは楽ちんやな」
「ゼェ〜。そ、そうですか?」
士気がゴリゴリと下がった状態で始まった転移ポイント開放ツアー第二部。
前半戦のようにヘトヘトになるかと思いきや、ちっとも息が上がらないので、貧弱仲間のアマネに話しかけてみたのだが、彼女は変わらず辛いだけのようだ。
「あれ?そっちはしんどそうやな」
「今回のソーイチはサブに【付与魔術師】をセットしてるからな。魔法職も一応戦闘系だし【木こり】とかの生産職より、ステータスがプラスされてるんだよ」
「それにサブジョブにセットする職業が派生職じゃないのもプラスになってますね」
「うん?どういうこと?」
同じくらい体力がない貧弱組の中、俺だけが楽に走れるようになったのか疑問だったのだが、どうやらユサタクやゼロにとっては簡単な問題だったようだ。2人は交互に解説してくれた。
「メイン職や派生職はレベルアップの時点で基礎ステータスにプラスされるのは覚えてますか?」
「うん。だからこそ派生職の発生狙って、色んなサブジョブを経験してる訳やしな……って、そうか!」
「気付いたな。サブ職はサブジョブにセットしない限り、どれほどレベルを上げても外せば補正は無くなる」
「逆にいえば、すでに基礎ステータスに反映されている派生職からサブ職に入れ替えるだけで、ステータスは上がるんですよ」
「ああ〜、前にそんな事言ってたような……」
ジョブ関連の仕様は定期的に確認していたのだが、改めて説明を聞いて色々と忘れていたのだと思い知る。
「まあ基本的にレベル上げたら強くなるから忘れる事もあるよな」
「ですね。ただ、ステータスを上げるためにも、1つは前線職のレベルを上げてみる。これも一つの選択だと思いますよ」
「そっか……新しいジョブ用の枠を1つ空けてるけど、いっそ戦士とかにするのもええかもな」
魔道具職人(アイテムへの好奇心)やテイマー(騎獣目当て)の二択で迷っていたのだが、2人のおかげで第三の選択肢が新しく現れてしまった。俺は走りながらもどの道を選ぶべきか、目的地に到着するまで考え続けるのであった。
次回は明日か明後日の午前6時に更新予定です。
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