273.全ての転移ポイント開放⑧【カメラマン】と束の間のお休み
「よっしゃああああ!ってうわぁ!?」
「だ、大丈夫か!?」
ワールドアナウンスが鳴り響くのを確認した俺は、歓喜のあまり叫びながら両手を振り上げたのだが、そのせいで支えがなくなり、騎獣から転げ落ちてしまった。
「びっくりしたぁ!!……うん、HPは大丈夫や」
「ふぅ〜。嬉しいのはわかるけど、気をつけろよ……。それよりおめでとう、ソーイチ。なんとかライバルに勝てたな!」
「ホンマやで。ポイント開放ツアーの序盤で【木こり】スタートの舐めプしちゃったけど、そのせいで危うく取り逃がすとこやったもん」
「宣戦布告をわざわざしてくれた【オモイカネ】には、なにかお礼をする必要があるでしょうね」
「せやな……俺は思いつかんから、なにか面白そうな情報を売ってあげて」
もしプロスの宣戦布告を聞いていなかったとしたら、銀狼の群れ相手に省エネで挑み、最悪PPを取り逃がしていたかもしれない。
ゼロの言葉に賛同した俺は、ユサタクにお礼を渡すようにお願いした。
「オーケー、いい感じの情報を見繕っておくよ。それよりも次の戦闘が始まる前に早く帰ろう」
「ここまで来て【カメラマン】最速を取られたら残念すぎますし、急がないといけませんね〜」
「ああ、そっちを逃す可能性あるもんな!よし、急いで戻るで」
ユサタクたちの助言を聞いた俺は、慌てて転移クリスタルを取り出し上にかざす。そして教会へ直接転移するのであった。
・
・
・
ーメインジョブをカメラマンに変更いたしましたー
《ソーイチ様がプレイヤーで初めてカメラマンに転職いたしました》
(大丈夫やとは思ってたけど、なんとか間に合ったぁぁぁ)
教会へ向かった俺はいつもの手順で転職をする。新しい派生職が出現しなかったのは残念だが、見習い卒業に続いてワールドアナウンスを流せた事に安堵のため息をついた。
その後は、いつものようにクリス相手に作物と聖水の物々交換を行い、少しだけ雑談をしてから教会を後にする。そんなタイミングでプロスからコールが入った。
『見習い卒業と【カメラマン】最速転職おめでとうございます!思ったより時間がかかってたようなので、一瞬勝てるかなと思ったんですが……こちらの完敗です!』
『ありがとう。実は変異種が率いる群れと戦闘になってな。そっちが宣戦布告をしてくれたおかげで、全力で挑んで勝ち取ることができたんよ』
『変異種ですか!でも、こちらは見習い卒業にもまだ届いていないので、関係なかったかもですけどね』
そう言って謙遜するプロス。
『その魔物も気になりますけど、それより【カメラマン】になって新しいスキルやアーツは覚えました?』
『いや、そういったアナウンスはなかったな。でも、他のジョブみたいにレベル上げたり、ノア・タイムスでの聞き取りでゲットできるかもな』
『確かにありそうですね〜。では、こちらでも探りますんで、ソーイチさんも何か面白そうな情報入ったら売ってくださいね!』
『オーケー。今回のお礼に安くするよう、窓口対応役のユサタクに伝えとくわ』
こうしてプロスとのコールを終えた俺は、仲間たちが待つ第二ホームへと転移した。
・
・
・
「おかえり、ソーイチ。無事に【カメラマン】のポイントも獲得出来たようだな」
「まあな。それより、次の転移ポイント開放ツアーの続きはいつからするん?」
「一応、後30分後に出発予定だな」
「それじゃあ知らん間に回復した分を使い切ったり、【カメラマン】の性能チェックとかで時間潰しとくわ」
そう言ってその場を離れた俺は、畑仕事や冒険中に撮影した写真の現像などでMPとSTを消費していく。
(スキルの仕様上予想してたけど、騎獣に乗って移動する場合でも【休憩】と【待機】発動するんやな……)
『自ら移動しない』という制約さえ守ればどんなに騎獣が走り回ったとしても回復していくのを目の当たりにした俺は、今更スキル名と矛盾しまくりの現状にモヤっとしてしまう。
だが、自分に有利なのには変わりはない。俺は頭を強く振って気分をリセットした後、ステータスを開き【カメラマン】のジョブ情報を確認する事にした。
====================
【カメラマン】
撮影系のアーツ使用時の効果&経験値&熟練度上昇(微)
撮影系の依頼の報酬上昇(微)
視力上昇(微)
隠密行動(微)
経験値補正(サブにセット時はマイナス0.2)
司書系の行動1.2倍、戦闘0.8倍
====================
(アーツの効果と依頼の報酬アップが追加されてんな。その上がり幅がどんだけなんか気になるけど、休憩短いし今は我慢。全部転移ポイント開放し終わったら、検証するなり【オモイカネ】から情報買うなりしよか)
新ジョブの検証作業も面白そうだが、今は短い休み時間。俺はステータスを閉じ、先ほど相対した変異種(シルバーファングという名前らしい)の【インタビュー】結果を眺めたり、次の開放ツアーに参加するジョブをどれにするかを考えたりするのであった。
tips
シルバーファング
ブラックウルフの突然変異種。通常個体を遥かに凌ぐ巨体と、鈍く輝く銀色の毛並みが特徴的。さらに通常個体より知能も高いため、配下に多数のブラックウルフを従える傾向がある。
次回は明日か明後日の午前6時に更新予定です。
ブックマークや評価・誤字報告していただきありがとうございます!!
今後とも本作をよろしくお願いします。




