270.全ての転移ポイント開放⑤白馬の王子様(おっさん)とお姫様(おっさん)
この度、累計300話の大台を迎えることができました。これも皆様の応援やコメント、誤字報告などのおかげです!
これからの精一杯頑張りますので、これからも本作をよろしくお願いしますm(_ _)m
突如目の前に現れたユサタクの白馬。その風貌は凛々しく、体格もサラブレッドとは比較にならないほど大きく脚も太い。
「はぇ〜、イケメンなお馬さんやな……。うん?これに乗るって、もしかして【テイマー】のジョブ経験したん!?」
「もちろん。いくら転移クリスタルがあるとはいえ、移動スピードは大正義だからな。【騎乗】スキルの情報が出回った直後に転職したんだよ」
ユサタクの言葉を引き取る形で、傍らにいたマロンが苦笑交じりに補足してくる。
「イベントに備えて主要ジョブのレベル上げに専念してたおかげで、次のサブジョブの枠が余ってたんですよね。だから休暇中のソーイチさんを除いて、みんな転職したんですよ」
「移動力目的とはいえ、メンバー全員が不遇職の【見習いテイマー】に転職するとはな。そんなギャンブルすんのは、騎士ロールに命かけてる【円卓の騎士】だけかと思ってたわ」
「ははは、確かにギャンブルかもしれんな。だが、俺たちは賭けに勝ったんだ」
「勝ったってなに?想像以上に使い勝手の良いジョブやったんか?」
「そこら辺はまだ未知数ですね」
「ああ、転職してから日が経ってないし、よくわからんか。……じゃあ、勝ちってなんなん?」
早く教えろと急かす俺に対し、ユサタクはこれ以上ないほどにやけ顔で胸を張る。
「ふふ〜ん。実は馬系の魔物をテイムした上で、【騎乗】スキルのレベルを5まで上げると、なんと!特殊職の【見習いジョッキー】に転職できるんだよ!」
「特殊職ってマジか……それなら大勝利って胸張るのもわかるな。……って、そんなヤバい情報、共有フォルダのどこにも書いてなかったで!?」
「あはは……実はリーダーがソーイチさんにサプライズを演出したいと、意図的に省いたんですよね〜」
「おいおい、サプライズ欲を満たすために情報絞るのはあかんやろ……」
そんな常識的な俺のツッコミに対して、悪びれる様子もなく、ユサタクはパチンとウインクを飛ばしながら言い訳をする。
「すまんな。でも、パーティーを組まない限り、ソーイチには関係のない話題だからな。それなら小説のネタになるよう気を配るのも、俺の役目だと思わないか?」
「くそっ!今聞いた情報のおかげで、いろんなアイデア浮かんでるのが、逆に腹立つな!」
「ウンウン。怒った演技をしつつも、感謝してるんだろう?わかるよ」
「これ以上言ったら、感謝と怒りの比率が逆転するで」
俺の創作意欲のためにしてるのは分かっているので内心感謝をしているのだが、直接伝えるのは気恥ずかしいので怒った振りをしてしまう。だが、バレバレだったのか、より一層揶揄うユサタクに今度は演技抜きでキレそうになった。
「というか、サプライズは良いですけどスタート地点で駄弁りすぎです!他のパーティーが転移してくるたびに二度見してますよ!」
「あちゃ〜。ここって中間層の狩場まで近いからな。貸し切りと勘違いしてたよ」
「……遠くで狩りをしてるパーティーから、なんかチラチラと視線感じるんやけど……うわっ、はっず!」
「よし、ソーイチの羞恥心が限界を迎えそうだし、ここから離れるぞ!」
「は〜い」
ユサタクの宣言を聞いたメンバーたちはいつの間にか召喚していた騎獣にまたがる。
「ソーイチはこっち。さあ掴まれ!」
「お、おう」
勢いよく白馬に跨ったユサタクは俺に相乗りしろと手を伸ばす。それを掴んで後ろに乗り込んだ俺は、走り始めるまでの間、周りからの好奇の視線をシャットアウトする為に背中へ顔をくっつけた。
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ドドドドド……
5頭の騎獣が列をなし砂浜を一直線に進む。その先頭を走るのは一際大きな勇ましい白馬とそれに跨る大小2つの人影。
字面だけでいえば王子と姫のタンデムに思えるのだが、残念ながら手綱を掴んでいるのはユサタクであり、その腰に掴まるのも俺だ。
「誰がおっさんの二人乗りなんか見たいんや。どうせイケメンの白馬に乗るなら、綺麗な女の子を乗せたいっちゅうねん!」
「【騎乗】スキルのないソーイチにはエスコートなんてムリムリ。それに掲示板では貴腐神たちが掛け算に勤しんでいらっしゃるぞ」
「うげぇ〜。それキツすぎなんやけど……」
「って、バカ!手を離すな!!」
「あっ、ごめん」
想像しただけでゾッとして、俺は思わず掴んでいるユサタクの腰から手を離しそうになってしまい、ユサタクに怒られた。
と、そんなハプニングや馬鹿話を挟みつつも、速度はどんどん上がっていく。途中、何度か魔物に捕捉されるも、その圧倒的なスピードで通り過ぎるので戦闘が全く起きないのだ。
「絵面は最悪やけど、楽やな」
「ははは! 移動スピードは大正義。雑魚は全部置き去りだ!」
豪快な足音に負けないくらい大きな声で笑うユサタク。確かに、恐ろしい勢いで後ろへと流れていく景色に加えて、マラソンと比較にならない楽さ。おっさん同士の密着という地獄絵図さえ目を瞑れば、これほど快適な移動はないかもしれない。
だからこそ、俺は考える。
(ポイント開放終わったら、たとえ何時間も木馬に乗る羽目になったとしても、絶対【騎乗】スキル覚えたる!そんで俺の愛馬でフィールドを駆け回るんや!)
ユサタクのどデカい体のせいでよく見えない前方の景色と、おっさんにしがみつく惨めさを糧として、俺はメラメラと意欲を燃やし続けるのであった。
話の都合でソーイチたちをおっさん呼ばわりしておりますが、アラサーはおっさんじゃありません!(じゃないと自分はおっさんを超えた存在になってしまう……)
次回は明日か明後日の午前6時に更新予定です。
※17日追記 数話分のテキストデータが消失して現在復旧中です(T-T)繁忙期とも重なってるので、申し訳ございませんが次回の更新は未定とさせていただきますm(_ _)m
ブックマークや評価・誤字報告していただきありがとうございます!!
今後とも本作をよろしくお願いします。




