幕間28.ソーイチのリフレッシュ休暇INスーパー銭湯①
ガチ姉垂涎のサービス会?
「んん〜!!これにて本日のお仕事終了!こっから先は休息タイムや!」
MJOからログアウトした俺は、背筋をグイッと伸ばして体の凝りをほぐす。そして前もって予約しておいたタクシーが到着するまでの間、財布などの忘れ物がないか確認していく。
ポーン
「タクシー着いたみたいやな」
携帯端末からタクシー到着の通知を確認した俺は、玄関を飛び出て門の前に横付けしているタクシーの元に向かう。
ピッ
QRコードを読み取り、ロックが解除された扉からするりと車内に入った俺は、車内の端末にてパスコードを入力。すると、タクシーは予め入力しておいた目的地を目指して、ゆっくり加速しながら走り始めた。
「……たまには自動運転もアリやな」
普段はネタ集めも兼ねて有人のタクシーに乗るのだが、今回はリフレッシュが最優先。余計な気遣いや会話もいらず、簡単な認証だけで、ささっと目的地まで運んでくれる無人タクシーを選択したのだ。
「せっかくファンタジー世界から戻ってきたんや。到着までコンクリートジャングルに浸るのもありかな」
微かな振動に揺られながら、俺は短い旅路を楽しむことにした。
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目的地に到着し靴をロッカーへ入れた後、デカデカとした暖簾を潜ると、心地よい木の香りが鼻をくすぐる。
「岩盤浴込みのコースで、レンタルするのは館内着とバスタオルに髭剃り……あっ、マッサージも付けちゃうか」
自動受付機に会員証アプリをかざした後、入館料などを支払い入場。レンタルタオルなどのアメニティとリストバンドを受け取った俺は、マッサージの予約だけ行い脱衣所へ向かう。
「18時半か……。予約までたっぷり時間あるし、まずはお風呂と洒落込みますか」
静かな和モダンの空間が広がる廊下を進みながら、俺を待っている癒しの数々に想いを馳せた。
パシャ パシャ
「さて、まずは全身キレイにしてからお風呂やな」
掛け湯を浴びた後、ずらっと並ぶ洗い場の中で人の少ない区画に移動し、シャワーで軽く全身を清め、頭を丁寧に洗う。
その後、うっすらと生えた髭を剃り、ボディーソープを泡立て全身を丁寧に洗っていく。
(ああ〜、これだけでも疲れ結構取れるなぁ)
温かいシャワーが、長時間のゲームで凝り固まった肩や首筋にじんわりと染み込み、肉体がゆっくりと解き放たれていくのを感じる。
「おっ、今日は空いてるやん。ラッキー!」
次はお風呂のターン。露天風呂のコーナーに向かい周りを見渡す。すると運が良いことに1人用のツボ湯に空きがあったので、迷わずIN。体温に近い38度前後の湯船に身を沈める。
「ゔぁあああああ〜」
熱すぎない温度がじんわりと体を温めて、おっさんのようなダミ声が思わず漏れてしまう。
ツボの縁に足を掛けた姿勢で、浮力に身を任せてだらぁ〜とする『何も考えない贅沢な時間』は、8倍速の中で過ごしていた俺を、現実世界へと引き戻してくれた。
(あぁ〜、ぽかぽかしたぁ……さてと、いよいよお待ちかねのサウナタイムと行こうか!)
鼻唄混じりで手にしたのは、木製の重厚な扉。開けた瞬間、蒸気の混じった熱気が全身を包み込む。
(砂時計は……よし、落ち切ってるな)
「すいません、ロウリュしま〜す」
先にサウナを満喫していたお客さんに一声かけてから、俺は備え付けてあるアロマオイル入りの水をサウナストーンに3度回しかける。そしてタオルを振り空気を循環させてから、室温が一番高い最上段に腰を下ろす。
「…………」
テレビはなく、ヒーリングミュージックだけが流れ続けるサウナ室では、誰も喋らずに自分との対話を楽しんでいる。
(……今日は騒がしい人も居らんし、超大当たりやな)
己の幸運に感謝しながら、俺は目を瞑り、呼吸に集中する。洗体で毛穴の汚れを落とし、湯船で既に温められた体からは、あっという間に滝のような汗が噴き出してきた。
体内の不純物が汗と共に、根こそぎ抜けていくような爽快感を感じつつ、俺は身体に熱を溜め込んでいった。
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(ああ〜、限界!頑張った!)
限界を迎えた俺はサウナ室を飛び出し、汗を桶の水で手早く流してから、いざ水風呂へ。
「くぅ〜〜!染みるぅぅぅ〜〜」
足先から痺れるような冷気が走り、肩まで浸かると思わず声が漏れる。
体を包んでいる薄い膜のような何かを、手をバタつかせることで壊すことで、火照った体が急速に冷やされる。熱でボヤけた頭が冷えたことで、思考がクリアになっていく。この極限の温度差こそが、サウナーにとっての最大のご褒美となるのだ。
そこからは外気浴・サウナ・水風呂をさらに二往復。少し肌寒い夜風に吹かれると、全身の血管がドクドクと脈打ち、意識がふわふわと浮遊するような、現実離れした感覚に包まれていく。
「はぁ〜、久々の『ととのい』最高すぎ〜」
健康に良いとか悪いとか色々言われるサウナではあるが、気持ち良ければそれでいいのだ。心拍数が落ち着くまでの間、ず〜と目を閉じるのだった。
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最後は広々とした露天風呂にサクッと入り軽く体を温め直し、上がり湯のシャワーでサッと流して浴室を後にする。
フワフワのバスタオルで火照った肌を拭き取った後、体重計に乗りゲーム太りしていないかチェック。なんとかおデブにならずに済んだ。
「プハぁ〜、やっぱ風呂上がりはこれよな。さてと、マッサージの予約まで30分ちょいか。時間来るまでレトロゲームコーナーでまったりしよか」
お風呂コーナーを出た俺は、自販機でコーヒー牛乳を買い腰に手を当て一気飲み。飲み終わったケースを仕舞った後、軽い足取りでゲームコーナーへと足を運ぶのであった。
予想以上に長くなったので、もう1話続きます!
次回は明日か明後日の午前6時に更新予定です。
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今後とも本作をよろしくお願いします。




