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ミックスジョブオンライン〜ラノベ作家はネタ集めの為賞金付きVRMMOに不遇職で挑む  作者: モトマル
4月3日①お米探しと満腹度実装

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257.試食会開始とモチョの気配り

時刻は19時、場所は第二農地のそのまた奥。周りを目隠し用の果樹園で囲まれた農地で、それは始まった。


「それでは皆様お待ちかねの試食会!ただいま開催しま〜す」


パチパチ パチパチ


司会のモチョが小さな木箱の上に昇り、大きな声を張り上げながら開催を宣言したのは『アース米の試食会』。畑の横のスペースに設置されたテーブルには30名を超える参加者が、今か今かと待ち侘びていた。


「今日は誘ってくれてありがとな。お前達が心の底から求めた食材、味わわせてもらうぞ」

「アース米の新しい可能性、存分に堪能させてもらいます!」


上座に座るのは本日のアース米の素材を提供したクロード、ヨナが率いるBランクのクラン【暁の狼】のメンバー達。


その脇を左側が俺たち【ユーザータクティクス】の面々。右側には……


「いや〜、知らない間にこんな物を発見してたとは人が悪いべ。試練の内容を流してもらってなかったら、一言物申してたかもしれないべ」

「悪かったな、でも気持ちはわかるだろう?」

「それはわかるべ。オラ達もユサタクさんの立場なら黙ってたかもしれないべ」


我らの同盟クラン【農協】の面々が行儀良く鎮座する。ユサタクとの会話から、どうやら黙秘のターンは終わり、リーダー同士で情報共有のターンに突入したようだ。

「ご歓談中失礼します。こちらの準備も整いましたので、順番にお出ししていきます」

「ヒューヒュー、待ってました!」


開催宣言から数分後、再び木箱の上に昇ったモチョは、ゲスト達を見渡し話し始めた。


「それではこの世界で最初の米料理。その栄光の第1品目は、アース米の魅力をダイレクトに味わえる料理、おにぎりです!ワイルドに手でガツっといっちゃってください」


モチョの発言と同時に各々の目の前に提供されるのは、オーソドックスな三角形に海苔のような何かが巻かれたおにぎりだった。


「おにぎりか……あの小さい粒をした実が、こんな風になるとはなぁ」


初めて米料理を見たクロードは、じっくりと眺めた後、おにぎりを手に取り豪快に食べる。


「!? これは食べたことのない食感だな。パンみたいにフカフカじゃないけど、ふにふに感が面白い!って、中に何か入ってるぞ!?」

「ふっふっふ。これがおにぎりの醍醐味、具のバリエーションで無限に味変出来るんですよ!」


イタズラが成功した少年のような目で、嬉しそうに説明するモチョ。だが、その気持ちも少しはわかる。お米初心者のクロード達はおにぎりを半分に割り、仲間達と中身を見せ合いっこしていた。


「これイイな!色んな味が味わえて、しかも片手で食える。これ冒険に持ってくのもアリじゃね?」

「冷えた時の状態次第ですが……モチョ、実際どうなの!」


「流石は腕利き冒険者さん。私たちの世界では冷めても美味しいお弁当で大人気ですよ」

「冷めても美味いのか……よかったら、お土産に貰えないか?試してみたいんだ」

「もちろん!試食会の後に包んでおきますね」

「ありがとう!」


お礼を言いつつ、美味しそうにバクバクと食べ進めるクロード達を見て、おにぎり沼への第一歩を踏み出したのだなっと、俺は物知り顔で頷いた。

「お待たせしました!おにぎりでダイレクトにお米を味わってもらった皆様には、次は真心込めて調理した別方面お米料理を味わってもらいます!」


モチョの指示に従って、【ユーザータクティクス】のメンバーたちは、流れるような手捌きで小さな器を2つずつゲストの前に並べていく。


「これこそが!香ばしいチーズがたっぷりかかった熱々のドリアと、スープで仕上げた海鮮パエリアです!」

「おおっ、そう来たか!」


配膳係を免れた俺は、いそいそとスプーンを手に持ち、まずはドリアから先に先に頂く。


「熱っ!でも旨いな!」

「少しボソボソしていたアース米を、ソースが旨味と水分をプラスして味が増してますね」

「パエリアも美味しいです!所々お焦げが入ってるのもいいですね!」


米を食べ慣れてる俺たちは、その美味しさに感激している。一方、アース米初心者のクロード達も嬉しそうに食べ進めていた。


「……! こりゃ驚いた。本当にさっきの白い塊と同じ米なのか!?淡白な米が、濃いチーズと白いソースが絡みまくって、最高だな!冷たいエールが進みそうな味だぜ」

「こっちのパエリアも最高ですよ、クロード! 色々な具材とアース米の一体感やカリッとしたところも最高です!」


スプーンでチーズの糸をびよ〜んと伸ばしながら、もぐもぐと食べるクロードに、貝やエビのような食材とお米を交互に食べながら幸せそうに笑うヨナ。

単品では未熟だったアース米が、モチョの料理スキルによって、クロード達を唸らせる逸品へと進化したのだ。


「みんな、食べたままでいいから、ちょっと撮らせてもらうで……って、あれ?」


幸せそうに夢中で食べる面々を撮ろうと、少し俯瞰して眺めた時、俺はあることに気付く。


(おにぎり、ドリア、パエリア……そうか、モチョの奴、あえて『箸を使わない料理』を選んだんやな)


この世界の住民には馴染みのない箸を強要せず、まずは手掴みやスプーンで慣れ親しんでもらう。そんなモチョの素朴で細やかな気遣いが、この宴をより温かなものにしていたのだと、俺は確信しながら撮影のためにアーツを放った。

次回は明日か明後日の午前6時に更新予定です。


ブックマークや評価・誤字報告していただきありがとうございます!!

今後とも本作をよろしくお願いします。

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