231.ねんがんのアース米の種をてにいれたぞ
「よし!【種化】クリア!」
「おお、やったなソーイチ!おめでとう!」
【種化】のスキルレベルが試練のクリア条件である5に上がり喜んでいると、農地全体の指揮をしていたユサタクから祝福される。
「ありがとう。後は【肥料散布】上げるだけやけど、農地の準備は出来たんか?」
「とりあえず30地区分は準備できたが、残りは既に水撒きを終えててな。だから1〜2時間くらいは掛かりそうだ」
「そっか〜。じゃあクリアの為にも30地区以内にレベル上がってくれるとええんやけどな」
「そこは熟練度次第だし考えても仕方ないさ。というか、【肥料散布】だけなら水撒き後でも出来るんだから、最悪そっちで上げてくれよ」
「う〜ん。せっかくデュアルファーマーMHのおかげで水撒きと同時に出来るんやし、肥料単品は気が乗らんなぁ」
「確かにな。だが、今一番に優先する所は別にあるだろ?数回分の効率の為に優先順位を間違えるのはしないでくれよ」
「オーケー。流石にわかってるって」
少し贅沢な愚痴を言う俺に対し、一定の理解を示しつつもリーダーらしく釘を刺すユサタク。頭の中では理解した俺は、その釘刺しに対し渋々頷き作業に移った。
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ースキル【肥料散布】のレベルが5に上がりましたー
「っっっしゃぁぁあぁあ!!」
「うおっ、ビックリした!?その様子だと目標達成出来た様だな」
「ああ。結局30じゃ無理やったけど、手作業&ポーションでなんとかレベル上げれたわ」
「ははは、それは良かったよ。それより他のメンバーがウキウキした目でこっちを見つめてるし、コールの方で続きを話そうか」
「せやな」
興奮のあまり隠すべき情報まで話しそうな気配を感じてか、ユサタクはクランコールの方へ俺を誘導した。
ソーイチ:という訳で、無事に試練クリアしたで!!
ベイクドモチョチョ:おめでとうございます!!本当におめでとうございます!
ゼロ:流石ソーイチ、想定より早いクリアですね。おめでとうございます。
セキライ:おめでとうっす!俺達も頑張って追い付けるよう頑張らないとっすね!
アマネ:おめでとうございます。セキライの言う通り、早く追い付いて種の数を確保しないとですよね
クランコールに入った途端、メンバー達から食欲や賞賛・未来への意気込み等、様々な感情の篭もった祝福コールが送られる。
ソーイチ:皆ありがとう!正直、嬉し過ぎてこのまま全員と語り合いたいけど、一旦農業ギルドに報告行ってくるわ。
ユサタク:確かに種を蒔くのは早ければ早い程良いもんな。
ベイクドモチョチョ:ええ!早い方が良いのです。
ソーイチ:じゃあ、行ってきます。って、その前にアマネ。
アマネ:はい、なんでしょう?
ソーイチ:農業ギルドで試練クリアを報告した後、アース米の説明とかあるかもしれんから、今日の要約新聞遅れるかもしれん。
ソーイチ:だから店番する時、その旨通知しといて。
アマネ:確かに必要そうですね。わかりました、任せてください!
ソーイチ:頼んだで〜。
アマネの良い返事を聞き心残りは何一つ無くなった俺は、本番であるアース米の種を受け取る為に農業ギルドへと転移した。
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「まずはソーイチさん。少し早いですが、試練クリアおめでとうございます」
「ありがとう!」
農業ギルドのカウンターで死んだ魚のような目をしていた座っていたアレンに試練クリアの報告。すると、ピョンと小さく飛び跳ねた後、ニコニコしながら個室へご案内。そして扉を閉めながら、驚きと疲労感がブレンドされた微笑みで、俺の成果を讃えた。
「それにしてもソーイチさんには驚かされますよね!比較的簡単な試練だったとはいえ、こんなに早くクリアしちゃうんですもん。驚き過ぎて眠気が吹き飛んじゃいましたよ」
「あっ、やっぱり急な残業でお疲れなんやね」
「ええ、覚悟が決まってない状態での残業は普段の倍以上疲れますからね……。途中長めの休憩やシフト変更はあるとはいえ、正直しんどいです」
「ど、どんまい……」
自分の手に届かない所で発生した業務に疲れ果てた彼女を見て、俺はありきたりな励ましの言葉しか投げかける事が出来なかった。
「って、ごめんなさい!せっかく苦労の果てに試練を達成したのに、こっちが暗くなっちゃって……。私ったら、職員失格だわ」
「ははは、気にせんでええよ。というか俺がいる時くらいは本音で話してもかまへんよ」
「!?……ふふっ、ソーイチさんはお優しいんですね」
「おうよ!優しい人気者と一部では大評判のソーイチさんやからな!」
「確かに大人気ですもんね」
目をウルウルさせて褒めるアレンに、あえて道化チックな返答をする俺。その後、場を和ませる為に雑談を少し交わしてから、本題の方に入った。
「ソーイチさんの事ですから大丈夫だとは思いますが、まずは試練をクリアしたか確認させて頂きます」
「ええよ。というかスキルとかの証明ってどうやるん?」
「こちらの水晶に触れるだけで大丈夫です。全ての条件を達成してた場合、黄色く光るんですよ」
「触れるだけか。便利な魔道具やなぁ」
机の端の方に鎮座していた水晶を中央に持ってきた後、アレンは触れるように指示を出す。俺は便利な魔道具をじろじろ眺めながら水晶をタッチ。その瞬間、ピカリと光り、試練クリアを証明する事が出来た。
「……はい。【特別試練(アース米の種)】のクリアを確認致しました。改めておめでとうございます」
「ありがとう!」
「では、前置きは省いて大本命をご用意します。少しだけお待ち下さい」
そう言って室内奥の棚を開き、中から小さな金庫を取り出すアレン。そして胸元に仕舞っていた鍵を差し込み、魔力を込める事で錠がガチャリと外れる音が鳴る。そして箱の中から布の小袋を取り出すと、彼女は俺の目を見て話し始めた。
「お待たせ致しました。こちらが試練のクリア報酬のアース米の種10粒です。お納めください」
「お、おおおお、うおおおおおおおお!」
茶色みがかった10粒の小さな小さな種。それを目にした俺は声を振るわせながら、袋を高く掲げてこう言った。
「ねんがんのアース米の種をてにいれたぞ」
次回は明日か明後日の午前6時に更新予定です。
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