230.徹夜プレイへの決意と転送配達
「いやぁ、月夜の中での畑仕事も中々オツだな」
「気持ちはわかりますけど、みんなSTが尽きても手作業で働いてるせいか、そろそろ耕せる農地無くなりそうですよ!」
「目隠し用に果樹園を増設したせいで、目減りはしてるとはいえ、それでも300地区はあるのにスゴイな!」
「でも今日は農業ギルドも残業してるっぽいですし、耕す場所がなくなったら、管理農地のお手伝い系依頼を受けたらいいんじゃないっすか?」
「あはは、確かにそれならポイントもついて一石二鳥だな!」
「ですねぇ〜」
出店を堪能&クロード達との会合も終わり、気が付くと既にゲーム内時間で深夜2時を過ぎている。だが、俺達のクランの中で誰1人として休憩の為にログアウトするメンバーはおらず、少しでもスキルレベルを上げようと畑仕事を続けている。
(ふぅ。みんなやる気満ち溢れてんなぁ。目標としてたアース米の現物を見たんやし、気持ちはわかるけどな)
祭りでのテンションアップに加えて、アース米が『お米』だと確信を得られた。それだけでも徹夜する価値はあるのに、その上で格上冒険者のクロード達から、積極的な支援を約束されたのだ。そこまでお膳立てされたとあっては、やる気が出ない訳がないと皆は考えているのだろう。
と、1人冷静ぶって考えていた俺も、ユサタク達と同じくやる気に満ち満ちている。STを水撒き&肥料散布に費やし、MPは種化に注ぎ込む。それが尽きたら読書で情報収集&休憩スキル3種をフル活用している。
(汗水垂らして頑張ってる皆にちょっと悪い気もするけど、これが俺の最高効率プレイやから仕方ないよな。って【待機】上がった!)
心の中で言い訳していると、それを肯定する様に【待機】がレベルアップ。その後、少し時間をおいて【休憩】も上がり、どちらも後1レベルでスキルレベルMAXというところまで到達した。
(確か、休憩スキル3種を上限まで上げたら称号あるって、初日にトーマスが言ってたよな。複合称号とかポイント高そうやし、ゲットまで寝れんよな!)
ぶっちゃけアース米の種さえゲットしたら、その後は収穫までの間はログアウトして、寝て過ごそうかと考えていた。
だが新しい人参が目の前にぶら下げられたとなったら話は違う。俺は心の中で【待機】と【休憩】がスキルレベルMAXになるまで寝るつもりはないと誓った。
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ピカッ カササッ
「うん!?なんやなんや?なんや今の光と音は!?」
STとMPの回復ついでに小屋の中で読書をしていた時、窓の外が一瞬輝き、軽い何かが落ちるような音が聞こえてきた。俺は慌てて表に出て周辺を見渡すと、郵便受けに本日の新聞が差し込まれていた。
「ビックリした!もう新聞配る時間なんか……って、配達員さんどこ?一瞬で転移しちゃったんか?」
「いや、配達員は転移なんかしてないぞ」
「お、ユサタク。そこで見てたんか?」
「見てたというか、知ってるだけだ」
「うん?何それ」
朝の挨拶をしようと配達員さんを探すも、見当たらない。そんな事を不思議がっていると、ユサタクが急に現れて意味不明な事をしたり顔で言い出した。
「ソーイチはこの時間帯はいつも寝てて知らないよな。実はノア・タイムスの新聞は郵便受けに直接転送されるシステムなんだよ」
「えっ、マジで?いくら魔法のある世界とはいえ、オーバースペックにも程があるやろ」
「俺も初めて見た時は何事かとビビったもんだよ。だけど冒険者ギルドで世間話した時に、配達業務系は転送でするのが一般的らしいんだ」
「転送ねぇ〜。あっ!そういえば【木漏れ日の安楽椅子】ゲットした時に使ったアイテム。確か転送符って名前で、倉庫から手元へ転送してたわ!」
「なんだ。実例を体験済みだったんじゃないか」
「こっち世界で10日以上前の事やから完全に忘れてたわ。でも、そういう魔道具があるなら、転送ってオーバーテクノロジーが配達に使われるのも納得いったわ」
安楽椅子を撫でながら数日前の出来事を思い出した事で、ようやく自分の中で転送配達について納得できた。
「さて、疑問も解けた事だし、仕事に戻ろう。【肥料散布】と【種化】、両方がレベル4に上がった時期を考えたら近いうちに上がると思うぞ」
「そやな。とりあえず、今読んでる本を読み終わったら畑仕事再開するわ」
「ああ。今日は農業ギルドは開きっぱなしだから、早ければ早いほど良いからな」
「あいよ、頑張るわ」
ユサタクからの発破に対し、手をヒラヒラ振りながら小屋へと戻った俺は新聞配達で中断した読書を再開。そうして本を読了&感想文の書き上げまで終わらせた俺は、伸びをしながら畑へと歩いていく。
「さてと、肉体労働のお時間やな。ユサタク〜、肥料と水撒いても大丈夫な所教えて」
「ああ〜、5分後に収穫可能になる畑は30程あるから、水撒ける状態になるまで待っててくれ」
「オーケー。その間に【種化】のレベ上げしとくわ」
「こっちからお願いしといて段取り悪くてすまんな」
「クランメンバー全員が畑仕事に邁進してるんや。管理も難しくなるし仕方ないし気にせんといて」
「そう言ってくれると助かるよ」
謝るユサタクを軽く慰めた俺は収穫された野菜が使った籠のところまで行き、【種化】を開始。その結果、
ースキル【種化】のレベルが5に上がりましたー
また一歩、試練クリアに向けて前進したのであった。
※転送符は74話に登場
次回は明日か明後日の午前6時に更新予定です。
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