表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
34/48

34.




⭐︎34.





その日はスタジオに皆んな集まっていた。


スタジオいっぱいに拍手が響く。


 十二人の出演者が横一列に並ぶと、客席からは歓声が沸き起こった。


 男性六人。


 女性六人。


 これから一か月、小さな島で共同生活を送るメンバーたちだ。


 MCが笑顔で口を開く。


「改めまして、皆さんよろしくお願いします!」


「よろしくお願いします!」


 声が揃う。


「いやぁ、豪華ですね。」


「アイドル、俳優、女優、モデル、シンガー……。」


「この十二人が恋愛するんですよ?」


「信じられません。」


 客席が笑う。


「まずは皆さんの恋愛観から聞いていきましょう!」


      ◇◇◇


「トップバッター、水城さん!」


「はい!」


 元気よく返事をする。


「どんな女性が好きですか?」


「可愛い子です。」


「早い!」


 爆笑。


「いや、でもほんと。」


「笑顔が可愛い子。」


「一緒にいて楽しい子。」


「あと距離近い子!」


「チャラい!」


「否定できません!」


 スタジオが笑いに包まれる。


「恋したら?」


「ガンガン行きます!」


「待てません!」


「なるほど!」


      ◇◇◇


「続いて黒瀬さん。」


「はい。」


「恋愛には積極的?」


「積極的ですね。」


「彼女欲しいです。」


「今?」


「欲しいです。」


「番組始まる前から?」


「始まる前から。」


 即答。


「潔い!」


「この番組、本気で来てます!」


 客席が盛り上がる。


      ◇◇◇


「神崎さん。」


「はい。」


「恋愛観を。」


 神崎は少し考える。


「……尊敬できる人ですね。」


「おぉ。」


「価値観が近くて。」


「一緒にいて自然体でいられる人。」


「恋愛より、人として尊敬できることの方が大事です。」


 落ち着いた声。


 客席から感心した拍手が起こる。


「大人ですねぇ。」


「でも今は。」


 神崎は苦笑した。


「仕事しか見えてないです。」


「島でも?」


「変わらないと思います。」


「鉄壁だ!」


      ◇◇◇


「そして!」


「王子様!」


「御影弓弦さん!」


 歓声が一段大きくなる。


 弓弦は穏やかに笑った。


「好きになったら一直線ですね。」


「おぉ!」


「ちゃんと気持ちは伝えます。」


「後悔したくないので。」


「女性から追われることが多そうですが?」


「いや。」


「追う方が好きです。」


「キャーーー!」


 黄色い歓声。


「ちなみに島で恋は?」


 弓弦は少しだけ笑う。


「いい出会いがあれば。」


 余裕ある笑顔。


 まさに王子様だった。


      ◇◇◇


「俳優、一ノ瀬さん!」


「よろしくお願いします。」


「女性人気No.1ですが。」


「いやいや。」


「恋愛は?」


「好きになったら長いですね。」


「一途です。」


「ただ。」


「方向音痴なんで。」


「デートで迷います。」


 爆笑。


「そこ!?」


「島で遭難しないでくださいね!」


      ◇◇◇


「最後、伯耆さん。」


「はい。」


 穏やかな笑顔。


「恋愛経験豊富そうですが。」


「そう見られますね。」


「実際は。」


「一人の人を長く好きになるタイプです。」


「最近お別れしたばかりなので。」


「今回は自然体で過ごせたら。」


 どこか切ない笑顔。


 会場も静かに頷いた。


      ◇◇◇


「続いて女性陣!」


「最年長、白石さん!」


「はい。」


 落ち着いた笑顔。


『年齢的にも、本気で恋愛したいですね。』


『遊びじゃなくて。』


『ちゃんと将来を考えられる人に出会えたら嬉しいです。』


「お姉さん!」


「頼れる!」


 拍手。


      ◇◇◇


「九条さん!」


『慎重ですね。』


『まず人として好きにならないと始まらないです。』


『一目惚れは、たぶんありません。』


「クール!」


      ◇◇◇


「天野さん!」


『スキャンダルが怖くて恋愛してきませんでした。』


『だから逆に、この番組は楽しみです。』


「リアル!」


「芸能人ならでは!」


      ◇◇◇


「橘さん!」


『私は好きになったら行きます!』


『待ってたら誰かに取られちゃうので!』


「肉食!」


「いいですねぇ!」


 スタジオ大盛り上がり。





      ◇◇◇





「MASHIROさん。」


 少し緊張したようにマイクを持つ。


「恋愛は……よく分からないです。」


「歌ばかりだったので。」


「でも、素敵な方がいたら、お話してみたいです。」


 照れ笑い。


 可愛らしい空気に包まれる。

  



      ◇◇◇




 

「そして最後は。」


「最年少。」


「国民的人気アイドル。」


「ほたるさん!」





 客席の空気が変わる。


 ほたるは少し照れたように笑い、マイクを持った。  




「恋愛経験ゼロだそうですね?」


『はい。』


 素直に頷く。


「どんな男性がタイプですか?」





 少しだけ考える。  


 その素振りも愛らしい。


『…自分にないものを持っている人、でしょうか。』


「おぉ。」


『私は慎重な性格なので。』


『決断力のある方。』


『前向きな方。』


『自分が知らない世界を見せてくださる方には、憧れます。』




 柔らかな笑顔。


 清楚で。


 控えめで。


 誰もが思い描く理想のアイドルだった。




 その隣で。


 弓弦は思わず目を細める。




 ──やっぱり、素敵だな。


 この子がいるだけで、話すだけで。


 場が全て持っていかれる。



 誰もが、この子を求めてしまう。


 完璧なアイドル。


 天賦のスター性。


 



 そんなことを考えているとは、誰も気付かなかった。


 







「さぁ!」


「皆さんの恋愛観も分かったところで!」


「次は、この番組だけのスペシャルライブです!」








 照明がゆっくり落ちていく。




「それでは、どうぞーーー!!」


 会場から大きな拍手が響いた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ