表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
23/48

23.



⭐︎23.





 自己紹介を終えた一行は、スタッフに案内され、それぞれの部屋へ荷物を運び始めた。


 二階。


 女性メンバーの部屋。


 白を基調にした広々とした空間には、大きなリビング、その先には六つ個室が並び、大きな窓からは海が見える。


「かわいー!」


 一番最初に声を上げたのは橘ひまりだった。


 ベッドへ飛び込む。


「ホテルじゃん!」


「ほんとだ。」


 天野莉子も窓を開ける。


 潮風が部屋へ流れ込み、白いレースカーテンがふわりと揺れた。


「景色すごい。」


「毎日ここで起きるの?」


「最高じゃない?」


 自然と笑顔になる。


 一方。


 ほたるは部屋に行き黙々と荷物を整理していた。


 スーツケースを開け。


 パジャマ。


 スキンケア用品。


 充電器。


 台本。


 大量のお菓子。


「……。」


 白石あやめが部屋を覗き込み、思わず二度見した。


「ほたるちゃん。」


『はい?』


「そのお菓子、全部食べるの?」


『うん。』


「そんな細いのに!?」


『甘いもの好き。』


 きっぱり。


 そこだけ即答だった。


「あはは!」


 部屋中が笑う。


「なんか安心した。」


 小鳥遊美月が微笑む。


「アイドルって、もっとストイックなイメージだった。」


『食べるよ?』


 ほたるは首を傾げる。


『踊るから大丈夫。』


「なるほど……。」


 説得力が違う。


 そのときだった。


「ねぇねぇ。」


 ベッドへ寝転がったひまりがニヤニヤしながら言う。


「聞いていい?」


『?』


「ドラマで共演してる四人!」


「めっちゃ仲良かったじゃん!」


「あれ何?」


 部屋中の視線が集まる。


 ほたるは少し考えたあと。


『みんな優しい。』


「それだけ?」


『うん。』


「いやいやいや!」


 莉子が笑いながら突っ込む。


「水城くんなんて、ほたるー!って一直線だったじゃん!」


『宗真さん、いつもあんな感じ。』


「黒瀬くんも自然だったし。」


『晃一さんも。』


「神崎さんまで普通に話してた!」


『晋也さんも優しいよ。』


 四人とも名前で呼ぶ。


 それがいかにも自然で。


 逆にいやらしさがない。


「あぁ。」


 あやめが納得したように頷いた。


「ドラマでずっと一緒だったのね。」


『うん。』


「だからかぁ。」


「私たちから見たら、なんか兄妹みたいだった。」


『兄妹?』


 ほたるはきょとんとする。


『そうかな?』


「うん。」


 美月も笑う。


「みんな、ほたるちゃんに優しいじゃない。」


『そう?』


「本人が気付いてない。」


 莉子が吹き出す。


「天然だ、この子。」


「かわいい。」


 ほたるはよく分からないまま首を傾げた。


 そんな様子に、また笑いが起こる。


 ひまりは頬杖をつきながら男性陣を思い浮かべる。


「でもさぁ。」


「イケメンしかいなくない?」


「目の保養なんだけど。」


「分かる。」


 莉子も大きく頷く。


「一ノ瀬さん、本当に俳優オーラすごい。」


「神崎さんも大人って感じ。」


「櫻井さん、落ち着いてるし。」


「黒瀬くん、犬っぽい。」


「水城くんは絶対モテるタイプ。」


「弓弦くんなんて反則。」


 みんな好き勝手に話し始める。


「ほたるちゃんは?」


 突然、ひまりが振り返る。


「誰が気になった?」


『?』


「恋愛対象!」


『……。』


 ほたるは真剣に考える。


 一分ほど。


 本気で考えた。


 そして。


『みんな、かっこいい。』


「それは知ってる!」


「その中で!」


『……。』


 また考える。


『方向音痴の人。』


「一ノ瀬さん!?」


「そこ!?」


『迷子になるの可愛い。』


「あはははは!」


 部屋中が笑いに包まれる。


「そこに行くとは思わなかった!」


「天然すぎる!」


 笑い転げる五人を見ながら。


 ほたるだけが、本気で不思議そうな顔をしていた。


『なんで笑うの?』


「もう、この子ダメ。」


 あやめが目尻の涙を拭う。


「守りたくなる。」


「分かる。」


「最年少って感じ。」


「妹みたい。」


 自然と距離が縮まっていく。


 その輪の中心には、いつの間にかほたるがいた。


 本人は何もしていない。


 ただ、素直に話しているだけ。


 それなのに。


 気付けば全員が笑っている。


 この部屋でも。


 ほたるは、あっという間に太陽になっていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ