3話 火竜退治
激戦の音
銃弾と魔法が飛び交い
大地は怒号を上げる。
迷宮は未だ落ちず、天高くそびえ立つ摩天楼が人々に苦戦を強いる
「一から三は前線を下げろ、四から六、退路を確保、七から九はヒールに回れ」
火竜か現状の戦力では手が足りないな、何か手はないか
戦火轟く戦場で冷静に戦況を読む女
見つめる空には紅き竜
怒号が怒号で上書きされ血と混沌が作る世界
どこまでも果てがないと思うほどの攻防
兵の消耗が激しい、早めに退散するべきか
今一度戦場を見渡す軍師、冷静さの奥に焦りを隠す
どちらにせよ、あの火竜は厄介だ、なんとかして撃ち落としたいが。
現状の装備では奴を相手にできない。
刻一刻とすぎる時間と、消耗する兵の体力
きっこう状態、もはや限界
どうする、どうする、そんな思考が脳内を覆い尽くす。
「シルさん」
故にこいつの登場は彼女にとってはいい事だったのかもしれない。
「仁か なぜここにいる」
「辛辣! その仏頂面直した方がいいですよ」
「君のそのカモフラージュのような笑顔もな」
「え!これ結構便利ですよ、コミニュケーション全般、これでなんとかなりますし。」
にっこり、笑顔を見せた少年は何も言わずに戦場を見渡す。
自分より幼い少年の背中が今は何より頼もしい。
「火竜ですか、飛ぶ相手とは厄介ですね」
「落とせるか」
「無理ですね、火竜に集中できるならともかく、地上の雑魚どもが邪魔です。」
きっこう状態を作っていたが、それも限界。
ここら辺で手を打ちたいが
「地上の奴らをなんとかすれば、落とせるのか」
「ええ、でも結構多いですよ」
「問題ない、こちらも切り札を出し渋っていたところだ」
そう言って、
「全軍撤退、リエル」
「はっ、こちらに」
「広域魔法の準備をする、少しの間ここを任せる」
「はっ、了解しました」
席を外すシル
二人の間に沈黙
破ったのはリエル
「貴様のことは知っている、ウデの立つハンターらしいな」
「いえいえ、そんなことありませんよ」
「ふ、どうだか、言っておくがシル様に手を「待たせたな」ダソうものナラ」
「広域魔法の準備ができたこれより詠唱を開始する、、、どうした?」
「いえ、なんでもありません!!」
「? そうか」
そうらしい
「対象は地上の魔物、同時に詠唱を開始、全員の詠唱が終わり次第発動」
10人の術師が唱え始める
大地より放たれる、無常の光
あらゆる、生命の障壁
命とは大地より与えられ大地へと帰るもの
無数の光が魔物を貫く
広範囲一掃領域魔法
ルールムンドツール
「相変わらず見事な展開過程ですね」
「皮肉にしか聞こえんぞ」
「え」
「…雑魚は一掃した後は任せる」
「いったいどうする気だ」
「そりゃ簡単ですよ」
不敵に笑うアホ
作戦や戦法というものが人類が進化の過程で手に入れた武器ならば、戦いはその武器を使うことこそ人間らしいと言えるだろう。
逆にそれを使わないのは、圧倒的な強者かアホだ。
「魔力足場にして一直線ですよ」
空をかける、出だしからトップスピード
道もなければ、拒むものもない
「は?」
それの向かう先が竜でなければ見事なものだろう
「あ、あいつアホなんですか!!」
「落ち着け、いつものことだ」
火竜が火を使う
そんな常識的なこと考えるまでもない
業火を蓄えた竜が敵を見定める
直進してくる相手など狙うまでもない
放たれる火球いかにしてやり過ごすか
「しゃらくせ!」
一刀両断兜割り
アホはこうするらしい
業火をものともしない、闘牛が如き直進
遮るものあるならば打ち砕くのみ
「あいつホントに人間ですか!!」
「真似するなよ、バカがうつる」
人間弾頭 そう呼ぶに相応しい
先に待つ天空の強者を飛び越え
「♩」
天高く中に舞う、美しきその舞は、標的を捉えるための照準、見惚れたが最後、流星の一撃が捉える。
「しねごらーーー」
頭蓋を砕く一撃が竜を落とし
天より落とされる竜の体が大地を鳴らす
「対象火竜、一斉射撃」
隙を見せた竜に無慈悲の雨が降る
抜け出すことは不可能、決着は一瞬でついた。




