4話 酒でも解決できないこと
「ヤッホーーー」
「騒ぐな、頭がやられる」
「そんなこといって、シルさんもだいぶ出来上がってるじゃないですか。」
「、っ、誰のせいで、ん、、こんなに飲んでいると思っている!第一私は参加する気は無かったのだ!!!それをお前が、"報酬まだもらってません"などというからだ!!
いったい、いつから我が国の騎士団はキャバクラの真似事をすることになった!そもそも」
「あーあー、わかりました、わかりました、僕のわがままに付き合ってもらってありがとうございます、ささ、もういっぱいどうぞ」
「うむ、いただこう」
夜、人々を暗闇が包み込み、月明かりが照らす
酒場は光をあげ勇者達は一夜の宴を開く
「さぁ、酒だ、酒だ、酒をもってこーーい!!」
男が酒をうたえば酒がくる
「お肉も美味しいですよー」
しかしこの少年の興味はもっぱら肉
酒もうまいが肉もうまい
火竜の肉、食って食って食いまくって
飲んで、飲んで、飲みまくる。
宴はまだ始まったばかり
「しかし、相変わらずの食べっぷりだな」
テーブルにそびえ立つ皿の山と骨、
いまだに増え続けるそれには麗しき軍師も驚愕
「いやー、こういう場だとたくさん食べちゃうんですよね」
「いや、そういうレベルでは・・・まぁいい」
男どもははしゃぎまわり、女も負けじと酒を飲む
人の繋がりを明るく照らすこの場所で
向かい合う男女もまた、酒と夜が理性を外す
「・・・随分といいタイミングでのご登場だったな、まさか景気を見計らって居たのではないだろうな、、、っひく」
「はは、まさか、偶然ですよ、そもそもぼく自身ここに立ち寄る気無かったんですから」
「・・・・・・・・次の場所は決まっているのか、」
「いえ全く、なのでゆっくり決めようと思ってます」
「・・そうか、」
一瞬の沈黙、夜の生み出す静寂に比べればなんてことはない。しかし、この一瞬を私は長く感じた、全ての音が消え、世界と自分が切り離された感覚、ドクン ドクンと鼓動を感じる
「・・仁」
「はい」
意識がハッキリしない、
目の前の少年が肉を食う姿をただ見ている
回った酔いが何かを企む前に
「・・・知っての通り我が国の騎士団は常に人手不足だ、特に前衛に関しては逸材と呼べる者は少ない、皆優秀ではあるが、今我々が求めているのは、組織やチームとしての優秀さではなく、個人としての技量であって、言うなれば切り込みたい」
「シルさん」
「・・・なんだ」
「短めに」
「・・・・・我が国の騎士に、ならないか」
「・・・・・」
「もちろん待遇や生活は保証する!
ハンターという不安定な生活より、安定した職を持った方が親御さんも安心するだろう。それに君が望むのであれば隊長を任せてもいい!戦闘面でも君は優秀だが戦術指揮という面を見ても決して私に引けを取らない、給料に関してもだ、平均の10倍出すよう上と交渉しよう、陛下も君のことは買っておられるきっと二つ返事で許可が降りるだろう。ああ君は肉が好きだったな毎日高級で上質な肉を提供しよう」
「シルさん」
「そういえば君は15歳だったな、成人にはまだ早いが婚約者を作る分には何も問題はないはずだ、君なら引くて数多だろう、なんなら私が立候補してもいい、何より、優秀な君を自分たちの配下に入れようとしている者たちも多いと聞く、どこの馬の骨かもわからない奴らにつくのは危険だ我々のように歴史や伝統ある組織の後ろ盾をへて行動するべきだ」
「・・・」
「だから」
酔いが回っている
「・・・」
「だから、、、」
キミトイタイ
「・・・」
「・・・」
賑やかな酒場に静寂が混ざる
空が星を宿し、夜が闇を孕む、月はその目を開き、恋と愛には大きな差がある。
万物万象、この世の理は我々を強く縛ると同時に何かに導く
束縛は可能性の限定、無数の未来から何かを選び取るための手段。
「、、せっかくのお誘いですが、遠慮しときます」
「・・・・」
自らが育った地を離れられる者と旅立てる者、両者に差などない、ただ生まれつきそうだったかどうかの話。
手に入らないと分かっていても、人は手を伸ばさずにはいられない。
「すまない、分かってはいたのだがな」
「・・・」
伝えたいことを言葉にするのは難しい、
時に酒の勢いに任せて吐き出したい時もある
しかしその酒でさえ力及ばぬ時がある。
男と女、大人と子供、愛と恋
人間関係の煩わしさ、後悔
怒り、嫉妬
全部全部、酒に任せて吐き出そう
夜が全部受け止める。
宴はまだまだ始まったばかり。




