想いほど重い呪いはない、、、、と思う ④
「え、リュカさん知ってたんですか?5人が冒険者になる話」
「うん、一応千結を含めた5人の保護者なのは僕だし、一応戸籍とかも用意したのは僕だから」
「ぁー、そっか。それもそうでしたね」
その日の夜ご飯、リュカさんと食べながら剣一達の話をしたら、知っていたのに少しビックリしたが納得もした。
この世界では戸籍とか銀行とかがちゃんとあるから、戸籍がなきゃ銀行にお金を預けたりする事も出来ない。
だから、戸籍を用意してくれたリュカさんには本当に感謝だよ。
心の中で感謝してたら、食べてたステーキが喉に詰まりそうになったので、オレンジジュースで流し込んでると、リュカさんが突然笑った。
それに首を傾げてしまう。
「何か面白い事ありました?」
「ぁ、いや、思い出してね。剣一達が冒険者になると言って来た時のことを」
「なんて言ったんですか?俺、気になる」
「うーん、そうだな。あの日は、いつも通り良い天気だったな、、、、
『え?冒険者になりたい?1年限定で?』
『はい!騎士になりたくても学校卒業しないといけないらしいし、学校通うにはあと1年時間あるなら、訓練だけじゃなくて冒険者としても力が付けたくて!』
『そう、それは良い事だね。誠達もそうなのかい?』
『俺は剣一の付き添いです。師匠達からも何処に出しても恥ずかしくないと言われてますし』
『僕の所は師匠共が動物の世話に手間取ってんで、もう良いかなって、暇だし』
『僕も暇ですし、ゲームみたいで楽しそうだし、師匠達が仕事で忙しいっぽいんで』
『私は憧れの騎士団長様から勧められて、それで』
それぞれの理由がみんなっぽくてちょっと笑いそうになったけど、でも多分本心的には剣一を1人にはしたくない、って気持ちがあったんだろうね。
そう思って、快く受け入れたんだけど、剣一から次に言われた言葉に思わず僕は目を見開いちゃったよ。
『あの、その、リュカ様』
『ん?、何だい?剣一』
『その、リュカ様は千結が冒険に出たら嫌ですか?』
『!』
『ちょっ、馬鹿剣一!何リュカ様に聞いてるんですか!馬鹿ですか!?いや、馬鹿でしたね!!』
『馬鹿馬鹿うるせーよ!誠!、、、、んで、どうなんですか?』
最初、その問いを言われた時は驚いたのが正直な話だった。
でもちゃんと考えたよ。千結が冒険に出ると言う事は王宮から居なくなるって事だ。それは簡単に言えば呪いを解く事が難しくなるのに等しいけど、それ以外に僕の心に引っかかったんだよね笑
正直な話だと、寂しい、って感情があった。
勿論剣一達が冒険に出るのも寂しいよ?でも、千結が居なくなるのが1番寂しい、そう思ってしまった。
だからその気持ちを素直に言ったよ。
『寂しい、かな。そばに居て欲しい、』
『、、、、ハァ、こりゃあ俺勝ち目ないじゃん』
『勝ち目?』
『いや、何でもないです。じゃ、失礼します!』
『ちょっ、ハァ、リュカ様何から何まですみません!でら!』
『剣一って本当、一々聞かないと済まない性格だよね〜、では〜』
『しょうがないよ、剣一だから。では、失礼します』
『治らないでしょ、アレは、、失礼しました〜』
ってな感じで、5人は部屋から居なくなったなぁ」
「、、、、へぇぇ〜」
リュカさんからの話に、何ちゅー話してんだって一瞬剣一に怒りが湧いたが何とか抑える。
と言うか、リュカさんに嫌?とか聞くなよ。でも、寂しいって言われるのは、嬉しい、と思う。俺も呪いの事無しに、リュカさんと離れるのは、何故か分かんないけど寂しいって感じる。
剣一達と離れる方が寂しいはずなのに、何でかな、何でだろうな。
と言うか、剣一の勝ち目ない、って何の事だ?
まぁ、考えただけ無駄か。
そう思いながら食事を進める。
「、、、、そうだ。リュカさんは呪いが解けたら、何かしたい事ありますか?」
「何かしたい事?、、、、うーん、そうだな。解呪する事なんて一度も考えた事ないから、考えた事もなかった」
「なら、考えましょう!考えれば、解呪する意欲がもっと湧きますよ!」
「、、、、フッ、そうだね。それなら、、千結と王都でお出かけ、とか?」
「!、、、、なんですか、それ笑」
「変かな?」
「いや、呪い解く前に全然行けますよ。お出かけ」
まさかの答えに思わず笑みが溢れてしまう。
冗談だろうけど、それでも楽しいって言うか言ってくれるのが、嬉しいな、と感じる。
ちゃんと未来の事を考えれているってのが、良い事だって分かる。
早く解呪出来る様に頑張らないと、と心の中で思う。
「千結、は、冒険に出ないんだよね?」
「はい、、冒険は楽しいでしょうけど、俺は今はもっと聖女としての力を付けたいですし、リュカさんを優先したいって言うか」
「!、、、、フハッ、何それ笑、でも嬉しい」
「それは良かったです」
そんな会話をしながらも、少しだけ剣一達の事が気になる。
5人だけで大丈夫かな、って不安もあるけど全員意外と寂しがり屋さんだから、出発目前で駄々捏ねたりしないと良いな、と思いながら食事を終える。
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1週間後、5人を見送る為に王都の門でお別れをするが、その前に確認をする。
そうしないと、俺の不安が拭え切れないからだ。
「大怪我したらすぐに帰って来る事」
「「「「「はい」」」」」
「無茶はしない事」
「「「「「はい」」」」」
「馬鹿な事しない事」
「「「「「はい」」」」」
「人様に迷惑かけない事」
「「「「「はい」」」」」
「分かった???」
「「「「「はい!!!!!」」」」」
「よろしい」
元気な返事に思わず笑みが溢れそうになったが何とか我慢する。だけど、5人の表情は真剣そのものだし、ちゃんと成長しているんだってのは伝わるし、覚悟を感じる。
それがちょっとだけ嬉しく感じてしまう俺は多分チョロいんだろうな。
「俺らが居なくて千結泣くんじゃねーぞ?」
「いつ泣くって言ったさ、剣一の方こそ俺が居なくて寂しいんじゃないの〜???」
「ッ!/////////ハァ、んな訳ねーだろ!!ジンシキカジョウなんじゃねーの!!?」
「剣一、それは自意識過剰です。動揺し過ぎですよ、アホ」
「アホじゃねーし!!!」
「ねぇ、早く行こう。じゃないと、鈴が飽きてゲームするからさ」
「寧の言う通りだよ。それに、私も騎士団長様に会えない禁断症状が出そうだし」
「遥はもう少し我慢を覚えたら。ゲームはないと生きてけないし、僕」
「鈴は本当にゲーム好きね笑、、、、とりあえず、怪我はしないで。次会う時、大怪我したら許さないからね」
「「「「「はい!」」」」」
「、、、、行ってらっしゃい!」
「「「「「行って来ます!!!!!」」」」」
そんなこんなで無事、見送る事が出来た。
不安だった感情も今では、ちゃんと見送れて良かったって気持ちになった。それと今、俺はある事を思った。
想う事って誰に対しても誰もがやる事だって事、そしてその想いがいつしか重くなって重くなって重くなる程
呪いに化けるんじゃないかって、俺は思う。
そうやって呪いの連鎖、とかが起こるんだと、思っている。
人を想うほど重い呪いってないからね。
「なーんつって。帰ろ、リュカさん達が待ってる」
そう呟きながら、踵を返して王宮へと帰る俺であった。




