聖女の頑張りと、王子の呪い ②
「」は普通の会話 『』は過去や電話など
〈〉は小声で話している () は心の声や動作
・・・は時間経過 ***は話し手交代
○○○は過去振り返 ー文章ーはナレーション
おはよう御座います。全世界の皆さん、そして聴いてくれやしませんか。
俺の記憶と言うか意識がちゃんとしていたのであれば、、、、俺は、俺は、、
リュカさんにキスをされてませんでしたっけ???いや、ここで質問形式になるんじゃなくて。
約3時間前、意識が戻った俺はアルバート師匠とイーサン師匠からの診察を終え、さっきまで幼馴染5人が俺の部屋に居て今は1人になれてる。
師匠2人から魔力切れになって意識不明になった俺に魔力を入れてくれたのがリュカさんだって聞いたんだ。
だから1人になれたから、改めて思い出す。
正式に目を覚ますその約4時間前に、俺は一度目を覚ましてる。と言っても1分ほどでまた意識失ったんだけど。
その時なんだよね、まだ俺にキス、と言うか治療してくれていたリュカさんが居て。
まぁ、その時の俺、頭が結構ボンヤリしてたから、こう思ったよね。
『(はー、まつ毛長、つか本当綺麗な顔だよなぁ、、、、この顔に今キスされてるとか、最高じゃん)』
てね。
その数秒後に意識失ったけど。
では、聞いて下さい、村井千結で、ファーストキス。
「俺もファーストキスがァァァァァ!!!!!!」
いや、分かってんだよ!分かってんだよ、治療の為にキスしたって事も分かってるんだよ!!
と言うか俺は今誰に言い訳してるんだ!!と、思いながら、ベッドの上で蹲りながら枕に顔を埋め叫ぶ。
別に、リュカさんが嫌って訳じゃない。
リュカさんは嫌いじゃないし、寧ろ人としては好きだし。ただ、たださぁ、、複雑なんだよなぁぁ。
そう思ってると、コンコンッと部屋をノックする音がしたと思ったら、今まさに俺の中で話題に上がっていた人物の声が現れた。
「千結、入っても良いかな?」
「!、は、はい!」
思わず、と言うか反射的にOKを出しちゃった!って言っても別にやましい事はしてない、、、、けど、叫んでは居た。ベッドの上で座り姿勢を正す。馬鹿な姿はこれ以上は曝け出せねー。
扉を開けると、リュカさんだけが入って来た。
珍しい、ヒューゴさんとかアフルレッドさんのどっちかが居るのに。
俺の考えを察したのか、リュカさんは優しい笑みを浮かべながら、椅子に座る。
「2人っきりにして欲しいって、頼んだんだ。こっちの方が話しやすいからね」
「そ、そうなんですか」
「それで、体調はどうだい??アルバートとイーサンに見て貰った限りは大丈夫だと報告には上がってるが」
「大丈夫ですよ!!リュカさんの処置と、師匠達の検診もあるんで元気です!、、、、ただ」
「ただ?」
「聖女、なのに意識不明になって迷惑かけるなんて、本当、馬鹿だな、って」
そう言いながら膝の上に置いてた手を強く握り締める。
全員治療し終わったとは言え、聖女本人が倒れるなんて言語道断だと思う。
迷惑だって心配だってかけたと思うし、、怒られないのは情けをかけてるのか怒る価値もないのかなぁ。
心の中がネガティヴになって居ると、当然リュカさんが俺の両手をリュカさんの両手で優しく握り締めてきた。
それに俺目を丸くして顔を上げた。
そこにはいつも通りの優しい笑顔をしたリュカさんだった。
「僕は勿論、みんな迷惑なんて思ってないよ。寧ろね、千結には感謝しかないの」
「え」
「あの場で全員を治療し切って、初めての事だらけなのに、落ち着いてやり遂げた千結に僕らただただ、感謝しかない」
「ほ、本当ですか?」
「本当だよ。聖女だからって迷惑かけちゃダメ、とかそんな法律なんてない。千結が倒れた時だって心配しかしなかった、それと同時にみんな「此処まで殆ど初対面の自分達を助けてくれてありがとう」って言う気持ちになったんだよ」
「!、そ、そんな、聖女だから、治癒魔法が使えるからやったまでで」
「うん、やっぱり千結は立派な聖女だな」
リュカさんは満面の笑顔でそう言って俺の頭を優しく撫でた。
ただそれだけの事に俺はボンッと顔を真っ赤にした。キスされた事も思い出したんだけどそれよりも、嬉しさと照れさが勝ったんだよね。
それに俺は確信したよ。
あぁこの人多分と言うか絶対綺麗な婚約者が居るな、と同時に申し訳なさを感じた。もし婚約者さんにキスの事が伝わったら、、、、怒られそうだな。
いや、でも治療の為だし、、、、うーん。と、ムムムッと頭の中で葛藤してる様子を見てるリュカさんは何考えてるんだ?って表情してたのでとりあえず誤魔化しておいたよね。
「暫くは休みなさい。魔力切れ状態になってしまった以上は、極端に魔力を使い過ぎれば、倒れてしまうからな。無茶は厳禁だ」
「う、、、、はい、分かりました」
「よろしい、、、、それと、千結が無事で良かった」
「、、、、そりゃあ、リュカさんに助けられたんですし、、無事は当たり前、ですし?」
「ふっ、確かにそうだな」
なんて結構ふわふわ〜な、会話になって来ちゃったよね。
あれ?、と言うか、リュカさんの魔力を入れられて俺、治ったんだよね?
んんん?ちょっと待てよ?俺の記憶と言うか知識が合っているのであれば、、、、あれれ、、、、???
「リュカさん」
「ん?何だい?」
「その、、、、俺、何で生きて?爆散してない???」
「何がどうしてそう言う思考回路になったのか聞いても良いかな???」
俺の質問にピシッと固まったと思ったら冷静にそう返答&質問をして来た。
だから、俺は思った事、と言うかアルバート師匠とイーサン師匠から教わった、他者の体に魔力を入れると言う事、適合率の話をしたら、少し考え事をしてから、リュカさんは教えてくれた。
「それはね、たまたま、本当たまたまね、僕と千結の適合率が高かったんだよ」
「ぁ、そうだったんですか(高いって言っても、うーん88%とか?)」
高いってのがどれぐらいなのかは分かんないけど、90%以上はなさそう。適合率って仲の良さとは違うだろうけど、めっちゃ高そうとは思えないんだよなぁ。
と言っても、リュカさんが俺の命の恩人である事には変わらない事なので、感謝を伝えようと頭を下げてありがとうと言う。
「感謝されるのは嬉しいけど、助けたいから助けただけ。それは千結も同じでしょ?」
「、、、、それはそうですけど」
「なら、ありがとうはなし。ちゃーんと療養する様に、分かった?」
「、、、、、、、、はい」
「よし笑、じゃあ僕は失礼するね。今日の夜ご飯は千結の好きなハンバーグにして貰うよ」
「ありがとうございます!!」
「早速ありがとう言われちゃった笑」
それから、リュカさんは部屋を出て俺は再び1人になった。
うーん、やっぱりファーストキスかァァァァァ、って事とそれでも俺の為にって言う気持ちで苛まれている俺って結構、根に持つタイプなんだってこんな事で知りたくはなかった今日この頃。
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
「サイラス、ごめんね、わがまま聞いて貰っちゃって」
「別にこれぐらい全然平気!寧ろ、頑張った千結のご褒美だって!」
療養期間中は結構暇だったので、サイラスに頼んで初めての王都探索をしたんだよね。まぁ、バレなきゃいっか!って言う精神でまさかの日が落ちるまで楽しんじゃったのはちょっと申し訳ないけどね。
流石異世界って感じで色々あって色々買っちゃったし、少し節約かな、って思いながら部屋に帰りながら話してるとサイラスが何か思い出した感じの顔をする。
「ぁ!そうだ!俺今日までに報告書、出さなきゃだったんだ!!!!!!」
「何でそんな大事な事忘れてるのさ」
「テヘッ」
「テヘッじゃないよ」
「とりあえず、ちょっと行ってくる!!!!!!」
「はーい、行ってらっしゃい」
そう言って爆速で走り去るサイラスを見送る。
荷物を抱えながら俺は部屋に戻る途中、隣の部屋のリュカさんの部屋の扉が少し開いてあるのが目に付いた。
開いてるの珍しいな、ってのと微かに話し声が聞こえて気になっちゃって、思わず下心って言うか、覗いちゃった。
「(バレない様、に〜)」
「リュカ、良いのか?あの事」
「別に良いだろ。アル」
「別に良くないだろ!、、、、失礼、、適合率99.9%、私やヒューゴでも此処までの結果は出なかった」
「俺も同意見だ。リュカ様なら、彼ならお前の呪いだって、」
「彼にそんな辛い事させたくないんだ!」
「???(呪、い?)」
アルフレッドさんとヒューゴさんの言葉、そして最後のリュカさんの言葉を聞いて、何の事かさっぱり分からない俺は目を丸くしながら見続ける。
でも、適合率99.9%って言う数字が異常な事も会話の中で簡単に分かる。だけど呪いと言うのが分かんないし、なんであそこまで焦ってる顔をしてるんだろ。
だがすぐに呪いの内容の一部が分かる言葉が俺の耳に届いた。
「このままだとお前は死ぬ事になるんだぞ。呪いを解除するには、千結様の力が必要なんだと分からないのか!」
「分かってるに決まってるだろ!!アル!だが、気持ち悪いだろ」
「そんな事言った所で、お前は30までに呪いの解呪が出来る相手が居ない場合、お前は灰になって死ぬんだぞ!!」
「、、、、ヒューゴ、それでも、、、、」
「、、、、(どう言う事だ?、30歳になったら灰になって死ぬ???は?)」
思わずよろめきそうになった。
リュカさんが死ぬ?信じたくない、だけどあの焦り様は嘘じゃないんだって分かる。
俺が居ないと死ぬって事?このまま、、、、なのに何で、何でリュカさんは頑なに必要ないって思ってるの?俺の事頼りないって思ってるって事??
そう、思ってたら、
「千結にこれ以上聖女のとしての苦しみを与えたくないんだ」
「!」
「千結の事だから伝えたらすぐに受け入れてくれる。だけど、そんな事、千結にはさせたくない、、、、大切なんだ」
その心からの言葉を聞いて、俺は思わずその場から走り去ってしまった。
何故かその場には居たくないって思ってしまったんだ。




