海の見える街で(中編)
色々あって半年間書けませんでした…本当に申し訳ありません…
私もどこまで書いたか忘れてしまいましたが、もし思い出した人がいらっしゃるならば、読んで頂けたら幸いです。
前回のあらすじ
漁港に着いたら白髭でマッチョのサンタさんがいた。
『フォッフォッフォ』
「おいアポロ、フォッフォッフォって笑ってるんだが、この人はサンタクロースを知ってる訳ではないのか?」
「どうしたのタカキ、サンタクロースって誰?というか、話を聞いてくれるんじゃなかったの?」
「ああ、すまない」
アポロは再び画面を映し出した。次の瞬間に白髭のおじいさん(ムキムキ)がフォッフォッフォッと笑っていたのだから、思わず突っ込んでしまったのだ。
「もー、いちいち止めないでよ。じゃあ次にいくからね」
「うん、よろしく」
もう画面を止めないようにしよう。
「これ以上テンポを悪くする訳にはいかないもんな」
「タカキ、何言ってるの?」
…僕は何を言っているのだろう。
「じゃあ、続きを再生してくれ」
再び画面が映し出された。再び白髭のおじいさんが映る。
『どうしたんだ、お嬢さん』
まさかのドスの効いたボイス。笑い声と全然違うじゃないか。それにこのお爺さん、上半身が裸なのに寒くないのだろうか。よく見たらパンツの柄は赤と白だ。何でちょこちょこサンタ要素を出してくるのだろう。
しかし、決して画面は止めない。止めないぞ。
『おや、お嬢さん、寒いのかい。これを着なさい』
そういうと、サンタさんは唯一履いていたズボンを脱ごうとした。おい、これは事件映像じゃないのか。
『いやいやいや、良いです!良いですから!』
アポロが慌てて静止した。
『良いのかい?このズボンにはご加護がついていて、それはそれは暖かいんだぞ?』
服装の謎が解けた。そして、100%善意なこともわかった。それでも、アポロは決して譲らなかった。
僕は、思わずアポロの頭を撫でた。この子は優しい老人を守ったのだ。
「ちょ、なに!ビックリするからやめてよ!」
アポロはふいと横を向いた。金色の美しい髪の間から真っ赤な耳が見えた。
僕はその横顔を眺めていたかったけれど、映像の続きを見ることにした。
『私の名前はアポロです。実は、私は…』
アポロはすぐに名乗らずにモジモジとしていた。
「どうしたんだ?」
「いや、勇者って名乗るの、恥ずかしくて…」
そういえば、アポロが勇者だと知らない人と会うのは僕以来か。
「僕の時には堂々としていたじゃないか。何なら口調まで違っていたような」
「うるさい!もうあの時とは違うの!良いから画面を見てて!」
『私は、女神の加護を受けた、その、ゆ、ゆ…』
『ゆ?』
『ゆ、勇者なんです!』
『フォッフォッフォッ!!!』
滅茶苦茶に笑われてしまった。横を見ると、勇者は赤面していた。
『フォッフォッフォッ、フォッフォッフォッ、フォッフォッフォッ…』
引き攣り笑いになってしまった。
アポロはすっと立ち上がり、早送りを始めてしまった。
「おい、見なくて良いのか」
「よく考えたらここは重要じゃないもん!この後なの!」
上半身裸のおじいさんが笑う姿が早送りで流されている。実にシュールだ。そして、しばらくすると画面が青くなった。まさかのビデオ方式…?
「ここらへん!」
アポロが手をかざした。すると、次の瞬間、アポロは吹き飛ばされる衝撃的な映像が流れた。
カニの形の、黒い影に。




