6話 マギアヴェル
いきなりミクレスが凍りつき困惑しているサラエルに近づくものたちがいた。
白を基調とした制服と、肩から肩まで金や青が織り交ぜてある装飾を、お揃いでつけている集団が町の人々の救助にあたっている。
「あれは氷塊の魔法士団!?」
サラエルはこの集団を知っている。東で氷属性の魔法士を生み出していると噂に聞いていた魔法士団だ。
そして、先ほど魔法を放ったであろう女は、髪はポニーテールで高めに結んである。なにより目や髪は海を連想させるほどの美麗な青だった。
「団長!こちら重軽傷者1名ずつ発見!どうなさいますか?」
「今行く」
団長と呼ばれた女は2人に近づく。
サラエルはやっと気付いた。この魔法士団で団長と呼ばれる存在は1人しかいない。それはマギアヴェルと呼ばれる魔法の天才8人から構成されるうちの1人。
その名をセシリア・アルフォート。1人で大陸渡りを可能とする数少ない魔法士である。
そして彼女には生まれつきの異能がある。それは相手の魔法の素質を見抜く力だ。
「私はセシリア・アルフォートだ」
やはりそうだ。間違いない、かの有名なマギアヴェルだ。
「おい、貴様」
「は!はひ!」
サラエルは緊張して声が裏返る。
「貴様は一体何者なんだ?」
マギアヴェルが何の意味があって一介の町娘に名を聞くのか。まあいっかと思いサラエルは自分の名前を言う。
「わ、私はサラエル・マリアベータ。この町の...」
「そうではない。貴様は何者なんだと言っている」
セシリアの圧が増す。サラエルはまったくもって質問の意図を理解できない。
だがそんなことよりも、グラディを早く治療してもらわなければならない。
「そ、そんなことよりも、セシリア様!私の幼馴染を助けてください!どうか、どうかお願いします!」
サラエルは頭を下げる。
しかし、帰ってきた返事はまるで悪魔のようだった。
「私がそんなゴミを助けて何の得があると言うのだ。だったらそこらに転がってる死体を持ち帰って再利用した方がマシだ。」
ごく自然にかつ、まったくもって悪気がない口調で言った。
「その点、貴様は素晴らしい!これほど魔法の才に満ち溢れているとはな!」
一瞬、サラエルの脳は氷属性の魔法がかけられたようにフリーズした。




