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失意の剣士とアミーウェルス  作者: 隙織尾
プロローグ
6/22

5話 僕は負けない!

「サラァァアアーー!」


 叫びながら突進していくと大型の蜘蛛の形をしたミクレスはこちらに気付いて、少女に向けた刃の動きを止めた。


「グラディ!こっちにきてはダメ!あなたまで死んじゃう!」

「大丈夫だ!僕は絶対に負けない!!」


 そう言いながらミクレスの左前足に殴りを入れた。

 鈍い緑のクリスタルがパリンッと割れ、ミクレスの黒い体を強打すると、前足の鎌のような形をした刃が変形する。

 当たるととても拳からなるように思えない、鈍く重い轟音が奏でられた。


「キェェェェェェェエエエエ!!」


 これにはさすがにミクレスもたじろぐ。ミクレスは完全に少年を敵視している。

 右前足で反撃を入れようと足を薙ぎ払う。

 少年は滑るように身をかがめて、そのまま後ろ足に回り込み殴りを入れる。流れるように、何回も何回も連打する。


  ――いける!このまま倒す!


 少年は続けて後ろ足3本をへし折った。


「キェェエイ!」


 すると、ミクレスは残り2本の足ではその体重を支えられず、その場に倒れ込む。

 少年の手は傷だらけだがそんなことはもう気にしない。

 少年はこのミクレスにトドメを刺そうと、拳を振り上げた。


「グラディ!危ない!」


 少年の耳に届いた時にはもう手遅れだった。

 ミクレスは残っていた右足を動かし、少年の横腹を深く切り裂いた。


「ぐはァア!!」

「グラディ!」


 少女は少年を抱き抱える。


「グラディ...ごめんなさい私のせいで...」


 少女が頬を濡らす。


「そん...なことないさ、これは...僕がやりたく...てそうしたんだ...」


 少年はそう言って意識を手放した。そうこうしているうちに、ミクレスが前足を使い這いずってくる。もう対抗する手段がない。そう思った時。


「フローズンブレイク」


 どこからか聞こえた凛とした声と同時に、目の前のミクレスが一瞬で氷河の如く凍りつき絶命した。

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