4話 今度こそ
少年は悲しみに暮れながらもその場を後にし、まだ見つかっていない幼馴染を探しに行く。
「サラ!サラー!」
少年はミクレスの目を掻い潜りながら、サラエルを探していると、頭にズキッと痛みが走る。
「いないのかサラー!」
その時、遠くにサラエルがいるのが見えた。安堵したのも束の間、蜘蛛の形をした全長3mほどのミクレスが今にも少女に襲い掛かろうとしている。
「ゃ...め、やめッ...ろ!」
言葉が詰まる。奇しくも先ほどの母の姿と重なってしまう。
――助けに行きたい!もうこれ以上誰かを失いたくない!
でも体が言うことを聞いてくれない。
――クソッ、クソッ、クソッ!クソッ!なんでだなんで動かない!
足が震える。助けに行くほどの勇気が出ない。
――あぁなんて僕は無力なんだろう。
また少年の頭に痛みが走る。しかし今の痛みで理解した。懐かしい痛みだと。
◇◇◇
―8年前―
「ねぇ、グラディ。なんであの子達をなぐったの?」
「だって、サラをバカにしたんだもん」
不貞腐れたように言う。
パチンッと乾いた音が部屋に響く。
「そんなことで人を殴っちゃいけません。いくら相手が悪くてもそんなことしたら、相手と同じになるのよ。それでもいいの?」
「それはやだ」
少年は頬をさすりながら言う。一瞬、母もそうなのではないか?と思ったが言うことはできなかった。一方、母は優しく叩いたつもりが少し強くなってしまったので、心の中で反省した。
「だったらすぐに殴らないのっ!わかった?」
「...うん」
一息つくと母は口を開く。
「いい?グラディ。あなたは優しい子なんだから、もし自分の大切な仲間が危ない目にあいそうな時は、殴るんじゃなくて、必ず.........」
◇◇◇
――この痛みは母さんが叱ってくれた時の不器用なビンタに似てる。もう痛みはない。怖いけどもう震えはない。
気付いた時にはもう駆け出していた。
「サラァァアアーー!」
――ごめん母さん殴るのをやめれそうにないや。でも、必ず
「助けるッ!」




