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失意の剣士とアミーウェルス  作者: 隙織尾
プロローグ
5/21

4話 今度こそ

 少年は悲しみに暮れながらもその場を後にし、まだ見つかっていない幼馴染を探しに行く。


「サラ!サラー!」


 少年はミクレスの目を掻い潜りながら、サラエルを探していると、頭にズキッと痛みが走る。


「いないのかサラー!」


 その時、遠くにサラエルがいるのが見えた。安堵したのも束の間、蜘蛛の形をした全長3mほどのミクレスが今にも少女に襲い掛かろうとしている。


「ゃ...め、やめッ...ろ!」


 言葉が詰まる。奇しくも先ほどの母の姿と重なってしまう。


  ――助けに行きたい!もうこれ以上誰かを失いたくない!


 でも体が言うことを聞いてくれない。


  ――クソッ、クソッ、クソッ!クソッ!なんでだなんで動かない!


 足が震える。助けに行くほどの勇気が出ない。


  ――あぁなんて僕は無力なんだろう。


 また少年の頭に痛みが走る。しかし今の痛みで理解した。懐かしい痛みだと。


  ◇◇◇


―8年前―


「ねぇ、グラディ。なんであの子達をなぐったの?」

「だって、サラをバカにしたんだもん」


 不貞腐れたように言う。

 パチンッと乾いた音が部屋に響く。


「そんなことで人を殴っちゃいけません。いくら相手が悪くてもそんなことしたら、相手と同じになるのよ。それでもいいの?」

「それはやだ」


 少年は頬をさすりながら言う。一瞬、母もそうなのではないか?と思ったが言うことはできなかった。一方、母は優しく叩いたつもりが少し強くなってしまったので、心の中で反省した。


「だったらすぐに殴らないのっ!わかった?」

「...うん」


 一息つくと母は口を開く。


「いい?グラディ。あなたは優しい子なんだから、もし自分の大切な仲間が危ない目にあいそうな時は、殴るんじゃなくて、必ず.........」


  ◇◇◇


  ――この痛みは母さんが叱ってくれた時の不器用なビンタに似てる。もう痛みはない。怖いけどもう震えはない。


 気付いた時にはもう駆け出していた。


「サラァァアアーー!」


  ――ごめん母さん殴るのをやめれそうにないや。でも、必ず


「助けるッ!」

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