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失意の剣士とアミーウェルス  作者: 隙織尾
第一章 西の国、ダルカン王国編
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22話 勝利そして旅立ち

 頬をかすめた後、グラディオルはスクリーバを押し倒し馬乗りになって、首元に刀身を突きつける。


「はあ... はあ...俺の勝ちですね...。師匠...」


 肩を大きく上下に動かし呼吸する。


「ああ、わしの負けじゃな...」


 突きつけた剣を下げてスクリーバから体をどかす。

 スクリーバはゆっくりと起き上がり片膝を立てて座る。


「まさか剣を折られるとは思わんかったぞい」


 褒められたグラディオルは照れくさそうに頭をポリポリかく。


「いやあ、たまたまですよ。あのまま続いてたらどうなっていたか」

「謙遜はよせ。紛れもない、小僧が勝ち取った勝利じゃ」


 よっこいしょ、とスクリーバが立ち上がる。


「何にせよ、これにて小僧の修行の全過程を終了とする。誇れ、これで小僧は嶺神流皆伝じゃ!」

「...はい!ありがとうございます!」


 嬉しさのあまり、少し涙ぐむ。


「そうじゃ、小僧。腕輪なんじゃがもう外して良いぞ」

「そっか、修行が終わったから...」


 グラディオルは腕輪を軽く撫でる。


  ――俺、ここまで成長できたのはこいつのおかげでもあるんだよな...


 名残惜しみながら腕輪を両手、両足から外す。

 外した途端、体がすっと軽くなる。このまま空でも飛べそうな感覚に陥る。


「すげえ軽い!」

「腕輪のつけてない小僧ならわしの何倍ものスピードを出せるじゃろうて」


 グラディオルはトントンと軽く飛びながら話を聞く。

 すると、スクリーバが口角を上げて話し始める。


「よーし、宴じゃ宴!2人しかおらんが今からおもいっきし飲み食いするぞ!」

「えっ?!今からですか?!」


 スクリーバがグラディオルの肩に手を回す。


「小僧、たしか17じゃったよな?まだ酒は飲めんがわしにつきあうぐらいできるじゃろ!!」

「わかりましたよ...」

「そんじゃ、飯の用意じゃ!」


 その後、深夜になるまでスクリーバに付き合わされ、大量の飯を食わされたグラディオルは食事後に気持ち悪くなって道場の裏でキラキラした。夜空とキラキラどっちのほうが光ってるかと一瞬思い夜空を見上げるが、比べられた夜空が可哀想だと思いすぐやめた。


  ◇◇◇


 ―3日後―


 夜明けの門前にて、2人が話をしている。


「師匠、ほんとうに今までありがとうございました。感謝してもしきれません」

「うむ、気をつけるんじゃぞ。ここからだとカタストロスが1番近いが、それでも相当な距離がある」

「心得ています」


 グラディオルが軽く頷く。


「これから小僧には様々な苦難に見舞われるだろう。じゃが、このわしが鍛え上げた弟子である小僧ならば、必ず乗り越えられると信じておるぞ」


 そう言うとスクリーバはグラディオルに近づき、暗い色をしたフード付きのマントを渡す。


「これを持っていけ」

「これは...」

「嶺神流の修了者に渡される代物じゃ、大事にするんじゃぞ」

「...ッ!ありがとうございます!!」


 グラディオルはマントを羽織る。


「うむ、よく似合っておるぞ」

「そ、そうですか?」


 そうすると、スクリーバがグラディオルの背中を力強く叩く。


「ほれ、行って来い!小僧、必ず幼馴染の元へ行くんじゃぞ!」

「はいっ!!」


 グラディオルはスクリーバに深く、それはもう深くお辞儀をした。

 そして一歩、また一歩と荒野へと足を運ばせていった。





――◇◇◇――


大陸日記 その7

「人物紹介 グラディオル・セルフォス編」


性別... 男


年齢...17歳


身長...174cm


想い人...サラエル・マリアベータ 幼馴染


苦手なこと...講義、繊細な作業


 本作の主人公。元は幼馴染のサラエルとともにオーラルのカルロスという農作物に囲まれた町で過ごしていたが、ミクレスの襲撃によりグラディオルは故郷をなくし、謎の狐面により西のダルカンに飛ばされた。

 スクリーバのもとに弟子入し力をつけたグラディオルは、これから冒険を通して様々な出会いを、困難を経験をしていくことになる。

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