23話 侵入
「おっ!あれがカタストロスか」
道場をでて3時間ほど走っていると奥の方で高さのある壁が見えてきた。
師匠によるとカタストロスは日夜ミクレスの襲撃が頻繁に起きるから防壁が築かれたらしい。
ある程度、防壁の分厚い門の前まで近づくと、壁の上で警備にあたっている魔法士に声をかけられる。
「止まれ!プレートがない、冒険者じゃねえな。何者だ!」
「旅の者です!中に入れてください!」
「はあ?こんなときに旅だあ!?頭イカれてんのか!」
たしかにミクレスがうようよいる中、旅をするなど自殺行為だ。普通ならまずありえない。
だがここで引き下がるわけにはいかない。なぜなら情報の更新をしなければいけない。
俺はオーラルの故郷でのんびりすごしていたから、世界情勢にかなり疎い。師匠も長い間道場から離れていないし、アクティオの腕輪を調達したときも、それ以外は特になにもしなかったそうだ。だから、世界の状況を把握する必要がある。
「お願いします!入れてください!」
「だめだ!怪しいやつを入れるわけにはいかねえんだよ!」
その時、防壁の右側が騒がしくなった。
「ミクレスだ!襲撃に備えろ!」
「休憩中のやつらを呼んでこい迎撃するぞ!」
鈍い緑のクリスタルを輝かせたミクレスが、奥の方からそれなりの数が迫ってきた。
「くそタイミング悪いな!」
魔法士が目を逸らす。俺はその一瞬を見逃さなかった。魔法士の視界から瞬間に地面を蹴り、軽く壁を飛び越える。
「お前はそこでじっとしてろよ!後でまた話を...ってあれ?いねえ...」
俺は町の侵入に成功して、そそくさと町の奥へと進んでいった。
◇◇◇
「この後どうしよう...町に入ったはいいものどうすればいいかわからん」
わけもわからず歩いていると後ろから女性に話しかけられる。
「ちょっとそこの君。お悩みかな?」
振り返るとそこには、ブラウンの髪色で胸元がはだけた露出度の高い服装をしていて、首元には淡い黄色のプレートをぶら下げているひとが立っていた。
「少し困っているように見えてね。お姉さんに手伝えることはなにかあるかな?」
「いいんですか?じつは......」
師匠のもとで鍛錬していたことは師匠に口止めされているため、情報収集が必要なことだけを伝える。
「なるほどね...情報が集まる場所ならわかるよ」
「ほんとですか!」
「今から行こっか。あ、そうそうあたしミネルバ・トリトン。よろしくね」
「俺、グラディオル・セルフォスっていいます」
軽く自己紹介を済ませると俺はミネルバさんについていくことにした。ミネルバさんが優しい人でほんとによかった。
「ところでグラディオルくんはなんで剣なんて持ってるの?」
「恥ずかしながら魔法が使えないんです。だから俺の武器は魔法じゃなくて剣なんです」
「あらまあ、それは大変でしょうね。まさかとは思うのだけどミクレスとは戦ったことがあるの?」
「一応まあ...」
ミネルバはグラディオルの剣をちらっと見るとすぐに視線を戻し、不敵な笑みをこぼした。




