18話 青刃の異形
そして、あれから10年の月日が経ち、オリヴィエは着々とその腕前を伸ばし、時期宗主に一番近いと言われるまでに至った。
わしはそんな彼の努力を一番近くで見ていたし、誰よりも彼のことをライバル視していた。
だからこそ、わしは彼と対等に渡り合えるろうになるために、血反吐を吐くほど死ぬ気で鍛錬に勤しんだ。
そのおかげか、ヴィクトリアの姉貴をも超え、門下生の中でオリヴィエを除いて一番強くなった。
じゃが、才能の差じゃろうな。凡才のわしがいくら鍛錬を積んだところで、天才のオリヴィエには敵わんかった。
「オリヴィエ、今日も俺と勝負しよう!」
「今日こそ、俺に勝てるといいなっ!」
ははっとオリヴィエが笑う。
数十秒後、スクリーバは仰向けで倒れ込んでいた。
「やっぱ、オリヴィエは強いな〜」
「スクリーバも充分強いとおもうけどな」
「まだまださ。オリヴィエに勝てるまで俺は諦めないぞ!勝ち逃げなんてゼッテー許さねーからな!」
わしはこんな日々が続けばいいと思っていた。じゃが、突如世界にはびこり始めたミクレスによって、そんな日常は引き裂かれた。
世界は未曾有の危機に迫られていた。突如としてあちこちに現れた異形の存在に、人類は蹂躙されていった。
「なんだコイツら!?刃がまったく通らねえぞ!?」
一人の門下生が叫ぶ。
周りも同じく、異形に太刀打ちできずにいた。
そんな中、オリヴィエを筆頭に一部の階級の高い門下生が異形を切り捨てていく。そのうちの一人、ヴィクトリアが叫ぶ。
「てめぇら!何人かは階級の低いやつらを守れ!!他は街の救助に行くぞ!!」
スクリーバはここに残り、オリヴィエは街に向かうようだ。
「オリヴィエ、気を抜くなよ」
「ああ、そっちもな」
お互い拳を合わせた後、背を向けて駆け出していく。
◇◇◇
「あらかた片付いたか...」
スクリーバは周りを片付け終わると、
ガゴォォォォオオオン!!
街の方から轟音が鳴り響く。
「なんだ今の音は?というか今の音...オリヴィエが向かったほうじゃないか!」
スクリーバはここを他の門下生に任せ、一目散に街へ向かう。
◇◇◇
オリヴィエは四方八方から押し寄せる異形を、一太刀で斬り伏せていく。だが、数が多すぎるせいか、どんどん押され始める。
「きりが...ない!」
「ここが踏ん張りどころだ!全部片づけちまうぞ!」
ヴィクトリアがそう言った時。突然、異形の攻撃が止む。
「な、なんだ?いったいどうなっていやがる!?」
そうすると奥の方からなにか得体のしれない者が近づいてくる。
「...あれは?」
他の異形とは違い、身長2mはあるだろう人型で、右腕に手は無く、代わりに濁った青色の鋭利なクリスタルが伸びていた。そして淡い色をした緑のクリスタルを全身にまとわせている。だが、これだけでなく異形が口を開いた。
「オマエタチ......サッキノヤツラヨリ...ツヨソウダナ」
驚くことに異形が人の言葉を喋った。
「喋った?いやそんなこたぁどうだっていい!早くこいつを始末す......」
「...姉...貴?」
ゴロゴロと転がってきたなにかがオリヴィエの足に当たる。
「アレ?オモッタヨリモロイナァ」
一瞬で距離を詰めた異形が、ヴィクトリアの胴体と頭を切断したのだ。胴体が首元から血を吹き出しながら、バタンと倒れた。




