15話 荒野の戦闘
―3年後―
静寂に満ちている荒野の奥が少しずつ明るくなってくる頃合いに、地面を一定間隔に蹴る音が響く。
「ふっ...ふっ...ふっ」
小さく息を吐きながら走るグラディオルは今年で17歳になる。背丈もぐっと伸び、すっかりスクリーバの目線よりも高くなった。そして、いつもの鍛錬がいまでは日々の日課のような立ち位置なり、外周は1時間もかからず走り終るし、素振りなどの鍛錬もサクッと終わらせられるようになった。
――だいぶ、この量の腕輪にも慣れてきたな
あれからスクリーバが新しい腕輪を調達し続けるので、グラディオルは両腕と両足に2つずつ装備している。2つ目以降の腕輪をつけた時、確かに体は重くなったが1回目ほどの衝撃はなかった。それほどグラディオルの体が仕上がっているということになる。
鍛錬を終えたグラディオルは、一度自分の部屋に戻り服を着替える。
最近では実技の修行が増え、ミクレスを相手にすることが増えた。そのため、スクリーバから支給された簡素ながらも軽量で安心感のある防具を身につけることが多くなった。
防具の紐をキュッと締めるとグラディオルは、スクリーバの元へと赴いた。
「師匠。お待たせしました」
門前に立っていたスクリーバに声をかける。
「おぉ、きたか。それじゃあ行くとするかのぅ」
「はい」
◇◇◇
道場からかなりの距離の場所にきた2人は、今しがた4匹の狼型ミクレスと接敵していた。
「俺がやります!!」
スクリーバの脇を颯爽とすり抜け、ミクレスと対峙する。
グラディオルは1番前にいたミクレスに、左から右へ剣をなぎ首を切り落とす。剣を振り抜いた勢いに任せて体を回転させ、近くにいたミクレスの体を斜め上から剣で切り下ろす。一刀両断した剣は地面に当たるとズドンッと大きな音を立てて、地面を叩き割り砂が巻き上がった。
「まさか、たった3年でここまで嶺神流を我がものとするとはな...」
スクリーバが感心している間に、グラディオルはもうミクレスの懐に潜り込んでいた。
その驚異的なスピードで詰められたミクレスはたじろぎ、がら空きな胴にグラディオルが突きを繰り出す。貫かれたミクレスは一瞬で絶命する。
最後の一体がグラディオルに飛び込みざまに噛みつきかかるが、それを剣の刀身で抑える。
力が乗っているグラディオルの剣はびくともせず、逆にミクレスを押し返しそのまま剣を振り抜き、口から後頭部にかけておもいっきり切断する。ミクレスは大量の体液を撒き散らしながら絶命した。
グラディオルはここまで激しく戦闘を行ったにもかかわらず、息一つ乱れていなかった。
その後、2人はミクレス狩りを続けて、日が暮れる前に道場へ戻った。
――◇◇◇――
大陸日記 その4
「アクティオの腕輪編」
アクティオの腕輪は通称、重力拘束具とも呼ばれる。
腕輪の効果は装備者の重さを増大させるものだが、その重さは当事者の感覚・身体に帰属し、周りに一切の干渉をしない。つまり、当人の体(各所筋肉)には重力で多大な負荷をかけるが、計量してみると装備前と後で重さに変化はないということ。
だから、犯罪者に腕輪をつけても重さに変化がなく運びやすいため、拘束具として非常に重宝されている。
ぜひアクティオの腕輪を一家に一台いかがだろうか。




