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失意の剣士とアミーウェルス  作者: 隙織尾
第一章 西の国、ダルカン王国編
14/22

13話 犯罪者用の拘束具

 グラディオルが鍛錬を続けて、2週間が経過した。

 最初6時間もかけていた外周150回も、いまでは3時間で走りきれるようになり、素振りや腕立てなども、始めたての時よりはきつくなくなってきていた。

 今日もグラディオルは朝はやく起き、走るための準備運動を軽く行っていると、スクリーバが両手を上に上げ背伸びをしながら道場から出てきた。


「あ、おはようございます師匠」

「うむ。今日から小僧にはこれをつけてもらう」


 そう言うと、茶色の金属のような材質で等間隔に文様が入っている腕輪を渡した。


「これはなんですか?」

「付けてみるんじゃ。そうすればすぐわかる」


 グラディオルは腕輪をまじまじと見たあと、左腕に腕輪をつけた。


「...うわッ!」


 つけた瞬間、全身が急に重くなり、グラディオルは思わず膝をつく。


  ――なんだこれ!? 体が急に重くなった?まるで岩が俺の上に乗っかているみたいだ...!


「それは近ごろ、ダルカンで岩石の魔法士団が発明したものでの、腕輪には重力魔法が付与されていて、装備者の重さを増大させるものじゃ。本来の使用用途は、犯罪者を拘束するためのものじゃが、小僧にとってはいい重りになると思って調達してきたんじゃ」

「...犯罪者用の...うぅ......拘束具ってこと...じゃないですか...!」


 グラディオルは踏ん張って二足で立ち上がる。


「師匠...! 流石にこれ、重すぎですよ!」

「重すぎなくらいがちょうどいいんじゃ。それをつけた状態で小僧が今まで通りに動けるようになったら、剣術の指南を始めるぞい」

「...わかりました!」


 グラディオルは腕輪をつけた状態で、引き続き鍛錬を行い続けた。


  ◇◇◇


 腕輪をスクリーバから受け取って更に2週間が経過し、腕輪をつけていなかった頃と同じくらいには動けるようになり、正午を過ぎるあたりには課せれている鍛錬も終わらせられるようになった。


「いい感じに体が仕上がってきたな小僧」

「はい」

「よかろう、それでは今後は午前中は今までのことをやれ。午後からは剣術の指南に入る。ああ、そうそう、腕輪はまだつけ続けるんじゃぞ」

「いつまでつけ続ければいいですか?」

「うーむ...そうじゃな。とりあえず、全修行過程を終えるまでじゃな」


  ――それって、当分はこれつけっぱってこと!?


 グラディオルは腕輪を手で擦りながら思う。

 そうして、その日の午後からスクリーバの剣術の指南が始まった。





――◇◇◇――


大陸日記 その3

「ミクレスの生態編」


 この世界に突如として現れた、漆黒の体に鈍い色をした緑のクリスタルを張り巡らせた異形の存在、ミクレスは、主に生き物を殺害することに快楽を覚える。これは人間でいう三大欲求と同じ、生きるうえで必ず発生する欲望である。

 ミクレスの強さは、主にクリスタルの色で概ね判断可能である。ちなみに色が淡ければ淡いほど、強い傾向がある。

 ミクレスは一部の特殊な個体を除き、基本的に意思疎通は不可能である。もちろん、言葉を使うこともない。

―余談―

 グラディオルの母を殺したのは、セシリアによって葬られた3m級の蜘蛛型のミクレスの仕業である。

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