12話 ひたすら鍛錬
スクリーバはグラディオルを見据えながら話す。
「わしはさっき、力で剣を使ったのでなく、力を剣に乗せたんじゃ」
「剣に力を乗せる...?」
「うむ。実際、石っころを斬ったとき、わしは小僧の半分ほどの力しか使っておらんし、ただ単純にわしと小僧で力比べをしたら、わしは負けるじゃろうて」
グラディオルは「えっ」と驚く。
スクリーバは木刀を地面に突き立て、柄の先端に両手を置きながら話す。
「いいか、小僧。剣とは技術だ。その磨き上げた技術は圧倒的な力にさえも勝る。そして、嶺神流はそれを型と成し、技とした流派じゃ」
スクリーバは続ける。
「そして、まだ小僧は成長期じゃ。その馬鹿力ももっと成長するはずじゃ。そこに嶺神流の力を乗せる技術を身につけることができれば、そこらの魔法なんざものともしなくなるじゃろうて」
そう言った後、スクリーバがニッと笑う。
「今から小僧にこれからの修行内容を伝える」
◇◇◇
俺が師匠から命じられた修行の内容は基礎的な身体能力を育てるものだった。まず道場の周りを百五十周走らされる。今の俺の走力だと、だいたい一周二分ほどかかる。つまり、6時間の走り込みだ。
昼時を少し過ぎたあたりで走り終えた俺は、もう汗がダラダラで疲れきっていた。
そうしていると、奥で師匠が手招きしている。
「ハァ...ハァ...やった、ごはんだ...」
師匠が用意してくれていた昼食を取り終わると、「まだまだ終わらんぞ」と師匠が言う。俺はまだ続くのかと思った。
次は、50kgはあるだろう鍛錬棒で素振りを千回行う。その後、筋肉を鍛えるため、腕立て、腹筋、重りをもってスクワットをそれぞれ五百回繰り返す。
そして、太陽が大地に沈み始めた頃。
「...498... 499ぅう...500ぅううう!! やっと...おわった...!」
そのまま俺は、大の字で地面に寝そべる。全身がガクガクで立てそうにない。
そして、そんな俺に師匠が話しかける。
「やっと終わったか小僧。今日の鍛錬はこれで終いじゃ」
「やったー!ようやくゆっくり休める...!」
「なに言っとるんじゃ。飯食ったら座学じゃよ」
「えっ...」
その後、夕飯を食べ終わった俺は、机と椅子の置いてある部屋に移動し、師匠から嶺神流についてや、日常生活で使う算術、この世界の歴史について話を聞く。
「...だからして、嶺神流は...て、おいっ!小僧、寝るな!」
師匠は俺の頭を軽く叩く。
「んんぅ...す、すみません。師匠」
そして講義は夜遅くまで続いた。
師匠曰く、しばらく毎日これを繰り返すらしい。
はっきり言って体がもたない。全身が筋肉痛でやばかった。だけどこんなことで弱音を吐いてなんていられない。絶対強くなるって決めたから。
そうして、修行初日は終わった。




