11話 師匠の絶技
外は朝焼けに少し染まっていて、窓から入ってくる風がとても心地よく感じれた。
グラディオルは目が覚めるとグーと背伸びをし、部屋を出て外の井戸で顔を洗う。
その後グラディオルはスクリーバの用意した伸縮性バツグンの修行用の服を着て、事前に伝えられていた場所へ向かった。
◇◇◇
「師匠、おはようございます」
「起きたか、早速じゃが修行を始めるぞ」
「はい、お願いします」
スクリーバは「ほれ、これを使え」と言い、一本の真剣を渡す。
「そうじゃな...まずは、そこに置いてある石っころを斬ってみろ」
スクリーバが指を指した方向には、到底石っころと言うには大きすぎる2mほどの巨岩があった。
「まさか、アレを斬れと...? いやいやいや、無理ですよ! 先に剣が壊れますって!」
「ええいっ! ごちゃごちゃとうるさいわい。さっさとやらんか!」
「わ、わかりました...」
グラディオルは気が進まない様子で岩の前に立つ。そして、剣を構えて集中する。
「どりゃぁぁぁあああ!!」
グラディオルは大きく踏み込み、剣を振りかぶる。
ガキィンという鈍い音が鳴り響き、剣が岩に押し返されるが、当たった場所から岩の四分の一ほどのとことまでヒビが入りボロボロと崩れた。
「いってぇぇー...」
グラディオルは衝撃で手が痺れる。
一部始終を見ていたスクリーバが口を開く。
「岩を砕いてどうする。しょうがない...よく見ておれ、わしが手本を見せてやろう」
そう言うとスクリーバは木剣を構える。
――木剣であの岩を?さすがの師匠でも無理なんじゃ...
スクリーバは岩の前に立ち、軽く体を脱力させ、目を閉じ大きく息を吐いて精神を落ち着かせる。その瞬間、まるで時が止まったかのように世界が静寂に包まれる。
目を開いた瞬間、恐ろしく早い踏み込みで岩に近づき、無駄のない洗練された横薙ぎで岩を、右から左へ木刀で撫でるように斬った。
岩は形を保ったまま上下にきれいに切断された。斬られた断面は研がれた刃のように滑らかだった。
「す、すごい...!」
グラディオルはあまりの絶技に思わず驚嘆する。
「わかったか? これが斬るということじゃ。これから小僧にはこのぐらいの芸当ができるようになってもらうぞい」
「これをできるように...」
「そうじゃ、それに小僧はもっと強くなる必要がある。じゃろ?」
「はい」
「じゃから、これからの修行は厳しいものになる」
スクリーバはグラディオルの目から、強い闘志の念を感じとる。
「覚悟は......できておるようじゃな。その意気や良し。さあ、修行の続きを始めるぞい!」
――◇◇◇――
大陸日記 その2
「伝書鳩編」
大陸間で連絡を取り合う場合、大陸わたりを可能とする一部のマギアヴェルを起用するか、よくしつけてある伝書鳩を使うのがセオリー。
しかし、前者はコスパがかなり悪いため、後者を起用することが大半である。
稀に遠距離で攻撃してくるミクレスがいるため、一度の連絡で伝書鳩を3匹ほど飛ばし、情報が届かないリスクを下げる。




