10話 僕...いや、――
「師匠、さっきの話の続きなんですけど...」
「そうじゃったな、して聞きたいことはなんじゃ」
「まず、ここは一体どこなんですか?」
「ここは西の国、ダルカンじゃ。まあここは王国から遠く離れた、ミクレスが多く生息している場所じゃ」
グラディオルは薄々気づいてはいたが、まさか本当に西にいたとは思わなかった。だが、なぜこんな場所で目覚めたのか、見当もつかない。
「じゃが小僧、先程北の国オーラルにおったと言っていたな。どうして西のしかもこの荒野におったんじゃ?」
「それが僕にもわからないんです。目が覚めたら、ここにいたんです。」
「まさか...あやつが...」
老人は小さくブツブツと呟く。
「師匠、今なんていいました?」
「いや、ただの独り言じゃ。気にする必要はないぞい」
「そうですか、えっと、じゃあ、師匠はなんで魔法じゃなくて剣を使うんですか?」
「わしがなぜ剣を握っているか...か。この剣術は嶺神流といって、千年以上も前から受け継がれてきたものなんじゃ。だからのぅ、どうしても絶やしたくはないんじゃよ。今の魔法社会では廃れてしまったがの、昔は結構有名だったんじゃぞ。...それに他にも、亡き友よりも強くなるため...でもあるな」
スクリーバはどこか遠いところを見つめながら話す。
「今は亡き友ですか...」
「うむ、わしよりも格段に強かった。...そうじゃな、小僧が修行を最後まで終えることができた時、わしの全てを話すとしよう」
その後、二人は引き続き目的地へと足を運ばせた。
◇◇◇
―数時間後―
すっかり日が落ち、夕日で荒野が黄金色から紫色のグラデーションで彩られていく。
二人が歩みを進めているとスクリーバが口を開く。
「ここが嶺神流の道場じゃ」
「ここが...」
グラディオルの眼前には豪壮な門があり、中に立っている建物の多くは漆喰塗りの白壁と針葉樹で作られており、輪奐の美にあふれている。
「すごく大きい...!」
「そうじゃろう、そうじゃろう!」
グラディオルは驚きを隠しきれずにいた。
――まさか、本当にこんな荒野にあるなんて...
そのままグラディオルはスクリーバに案内されながら、建物の中へ入っていった。
◇◇◇
グラディオルは一つの素朴ながらも趣のある部屋に案内された。
「ここが小僧が暮らす部屋じゃ、自由に使ってよいぞ」
「ありがとうございます。師匠!」
「さて、明日から修行を行う。今のうちにしっかり体を休めておくんじゃぞ」
スクリーバはそう言うと部屋から出ていった。
グラディオルは部屋においてあるベッドに横たわると、右手を上に突き出す。
――僕...いや、俺は力をつけて、必ず...必ずサラの元へ行ってみせる!
グラディオルはそう固く心に誓う。
この場にはもう死にたがる少年は消え失せ、意を奮い立たせるグラディオルだけがいた。
腕がボスンとベッドに落ちる。
いろいろあったせいだろうか。グラディオルはそのまま深い眠りについた。




